第6回 「晴読雨読」
これまでは、特定の店舗で発行されている本屋フリペを紹介してきましたが、今回取り上げるのは、複数の店舗、それも同一チェーンではなく、店もチェーンも地域もばらばらの、複数の店舗の書店員が集まってつくっている本屋フリペです。その名も「晴読雨読」、略して「はれどく」。(以下、文中では「はれどく」とします。)
書店で無料配布されている出版社のPR誌と同じA5判で、20ページ。毎回描き下ろしのイラストが表紙を飾り、本文は(配布店によってはモノクロ印刷の場合もあるようですが)オールカラー印刷と、本屋フリペとしてはとてもぜいたくなつくりになっています。店頭で手にするだけで、ちょっと得した気分にさせられますし、フリペ好きならわくわくさせられること必至でしょう。
いったいどんな本屋フリペなのか、「はれどく」公式ブログの「ごあいさつ」から引いてみます。
《全国の書店員が集まって、本当に好きな本をおすすめする書店横断フリーペーパー「晴読雨読」略して”はれどく”と申します》《全国の配布店情報や、バックナンバー情報などなどを、ご覧いただける場となっております》。
ブログにあがっているのは、2015年12月12日発行のVol.12が最新になっていますが、ツイッターやFacebookの情報によれば、本稿を執筆している2016年9月上旬にちょうど最新のVol.15の配布が始まったようです。「はれどく」のツイッターアカウント(@haredoku)、2016/9/9付のツイートに、《「はれどくvol.15」の配布が始まりました!お近くの配布協力店にて手に入れてくださいましまし!今回のテーマは「まんが・コミック」です!》とあります。
最新号の配布は店頭のみで、Facebookに前号までのデータがアップされているようで、2016年9月8日付けでVol.14のデータが公開となっています。
フリペの説明に、《全国の書店員が集まって》とありますが、これは大げさでもなんでもなく、先の12号の目次を見ると、連載が4本、特集(12号は「珈琲」)15本、筆名を見るかぎりかけもちはありませんから、全部で20人弱の書店員が参加していることになります。ちょっとしたミニコミ誌の規模になっていて、書店横断のフリペとしては例を見ない規模のものだと言っていいでしょう。
執筆に参加している書店員さんたちの自店で配布されているだけでなく、北海道から沖縄まで、30数店で配布されています。ブログには配布店一覧がありますので、お近くの書店で入手できるかどうか、チェックしてみてください。
現時点でも執筆参加店、配布店ともにけっこうな数になっていますが、さらに輪を広げたいという思いが作り手側にはあるようで、公式ブログにはこんなふうに書かれています。
《私たちは、はれどくをお店でおいてもいいという書店さん、それからぜひ制作に参加したいという書店員さんを常時募集しております。ツイッター(@haredoku)でも、こちらのコメント欄でもかまいませんので、どんどんメッセージをください》。自分も執筆で参加してみたい、自店でも配布したいという書店員さんは、ぜひコンタクトをとってみるといいでしょう。Facebookページはこちら。
ところで、この「はれどく」、つくりといい構成といい、とても素人の手になるものとは思えないなあ、と思っていたら、出版社、作品社のツイッター(@sakuhinsha)、2016年9月12日付けツイートに、こんな情報がありました。《今回も、作品社のツイッター担当者が編集実務にご協力し、編集後記も書かせていただきました》《Vol.14も、作品社ツイッター担当者が編集実務を行ない、編集後記も書いております》。なるほど、編集のプロが協力していたんですね。完成度の高さも納得ですね。
晴読雨読 はれどく ブログ
・配布店一覧
晴読雨読 はれどく Facebook
●Googleマップ 「本屋フリペの楽しみ方」掲載書店
編集者・ライター。主に新刊書店をテーマにしたブログ「空犬通信」やトークイベントを主催。著書に『ぼくのミステリ・クロニクル』(国書刊行会)、『本屋図鑑』『本屋会議』(共著、夏葉社)、『本屋はおもしろい!!』『子どもと読みたい絵本200』『本屋へ行こう!!』(共著、洋泉社)がある。