師を持つということ
教育関係書籍出版のさくら社、町田です。
過日、スタニスラフスキー&ネミロヴィッチ・ダンチェンコ記念国立モスクワ音楽劇場バレエなる、長ーい名前のバレエ公演に行って参りました。
本公演はロシア文化フェスティバルの一環とのことで、今年はロシアのバレエ団の来日公演が充実しています。
バレエと言えばロシアというイメージをお持ちの方も多いかと思います。
たしかに大所以外の中堅バレエ団及びバレエ学校の充実ぶり、国民からの支持の高さを見るに、ロシアバレエは文化としての定着度が高いなと折々に感じさせられます。
ロシアのバレエ団のプログラムを見ると、ダンサーの紹介欄には決まって教えを受けた先生(往年の名ダンサーが多い)の名前が記されています。
これは他国のバレエ団ではあまり見られないのですが、指導の現場が目に浮かぶようで、私はその欄を読むのがとても好きです。
文化・教育においては、師というものが重要なのですね。
7月7日発売のさくら社新刊は、いずれも名教師であり、教師を育てる立場になっても真摯に現場と向きあう人の本になりました。
『教師の覚悟――授業名人・野口芳宏小伝』 松澤正仁編著
『対話の害』 宇佐美寛・池田久美子共著
『対話の害』では、マイケル・サンデル教授の対話式授業がいかに生徒側に多数の制約を設けた上で展開されているかを示し、その手法が適切なのか疑問を投げかけています。
書くことも、考える時間をとることも許されず、その場で口頭のみにて流れていく授業。思考の自由を確保し、ものごとの根本まで考え抜く力を鍛えるのが哲学の指導なのではないか?
著者の筆は欧米の思想を無批判に受け入れてしまう我が国の「知的植民地根性」にまで及び、教育書の枠に収まりきらないスケールの大きな本となりました。
装丁も思い切って黒を多用しており、教育書コーナーでは異彩を放つことでしょう。
ご興味をお持ち下さった方は、ぜひお手に取ってみてください!
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