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近代日本と仏教
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2004年6月
- 書店発売日
- 2004年6月10日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2025年6月20日
紹介
丸山眞男の仏教論、アジアとの関わり等、近代仏教の多様な可能性とそこに潜む危うさを、さまざまな視点から考察する。
〔シリーズ刊行に寄せて〕「本書から新しい日本思想史が開始する」(今村仁司氏)「日本の社会と思想の転換期に適う著作」(ポール・スワンソン氏)。
目次
Ⅰ近代思想と仏教
1日本の近代はなぜ仏教を必要としたか
日本近代の重層性/漱石の場合/「個」と「個を超えるもの」/近代仏教が担ったもの/西田哲学の課題
2内への沈潜は他者へ向かいうるか-明治後期仏教思想の提起する問題-
近代仏教への視覚/ヴィクトリア『禅と戦争』の提起した問題/近代仏教への視覚/絶対天皇制下の仏教/宗教自由の得失/道徳の時代/無限責任と無責任―清沢満之/鈴木大拙は好戦的か/さまざまな可能性
3京都学派と仏教
戦争と京都学派/京都学派観の変貌/もう少し別様に/アジアという視座で
4阿闍世コンプレックス論をめぐって
阿闍世コンプレックスとは
Ⅱ解釈の地平
1和辻哲郎の原始仏教論
2丸山眞男の仏教論-〈原型=古層〉から世界宗教へ-
3『歎異抄』の現代-山折哲雄『悪と往生』に寄せて-
Ⅲ仏教研究への批判的視座
1仏教史を超えて
2批判仏教の提起する問題
3日本における禅学の展開と展望
4アカデミズム仏教学の展開と問題点-東京(帝国)大学の場合を中心に-
Ⅳアジアと関わる
1近代仏教とアジア-最近の研究動向から-
2日中比較よりみた近代仏教
3日本侵略下の中国仏教
第一節 日本侵略下の中国仏教-雑誌を手がかりに-
第二節 太虚の抗日活動とその思想
第三節 抗日仏教の展開-楽観『奮迅集』を中心に-
4大川周明と日本のアジア主義
あとがき
前書きなど
著者からのコメント
◇近代日本の思想は、丸山眞男を筆頭に、政治思想を中心に論じられることが多かった。そこには、政治がよくなれば、幸福になれるという前提があった。しかし、その前提が崩れた今日、政治思想の陰に隠れていた他の動向に目を向けなければならない。とりわけ、個の生き方を正面から問う宗教思想が注目されることになる。もう一方で、伝統思想を前近代的として否定し、欧米から齎された最新流行に乗ることばかりがもてはやされてきたことにも、反省が向けられなければならない。たとえ泥臭くても、自らの伝統に根ざした中から、どのような思想の可能性があるかが探られなければならない。
こうして、近代日本の思想を再考する上で、仏教が大きなキーワードして浮上する。仏教という切り口から、伝統と近代、政治と宗教、個と他者、日本とアジアが切り結ぶ現場に直面するとき、近代日本の思想はまったく新たな相貌を呈し、思いもかけない展望が開かれるであろう。
版元から一言
本書を推薦します―
●本書から新しい日本思想史が開始する。
―今村仁司(東京経済大学教授)
政治思想と経済思想ばかりを重視する近代日本思想史は重要な精神層を無視してきた。仏教を中心とする宗教一般の思想は日本人の精神的骨格をなしてきた。それはいまも日本精神界の重厚なエーテル層である。それを無視して近代日本人の精神の動きを語ることはできない。著者は近代思想史を根本から書き換えることを提案する。仏教思想は日本の最も重要な伝統を構成し、それによって近代日本人は自己形成をとげることができた。伝統のなかにある可能性をくみ出すことなしに、思想史はありえない。本書から新しい日本思想史が開始する。
本書を推薦します―
●日本の社会と思想の転換期に適う著作
―ポール・スワンソン(南山宗教文化研究所長)
自衛隊の海外派遣に象徴されるように、日本は今、社会と思想の大きな転換期を迎えている。末木文美士氏の、日本近代の思想を見直すこのたびの著作は、まことに時宜に適ったものである。西欧思想の美化やつまらぬ日本人特殊論に陥らず、また戦前の排他思想に向かわないためにも、広い視野と批判的立場から日本の近代を考え直すことは重要である。同時に本著作は仏教を軸にしながらも、仏教学、宗教学、哲学といった従来の領域を超えて、大胆で緻密な議論を展開している。ここから政治中心の平板な思想史ではなく、立体構造を持った新たな思想史の構築が始まる。
関連リンク
上記内容は本書刊行時のものです。
