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売りの技術は儲けの技術【増補改訂版】
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2007年12月
- 書店発売日
- 2007年12月11日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2016年3月16日
紹介
本書は、株式投資で資産づくりを目指す個人投資家にとって最大の難関である“利食い”のノウハウをわかりやすく解説している。相場全体(日経平均株価)が、利益を上げやすい「大局上昇トレンド」、難易度がやや高い「大局下降トレンド」、そして相場の先行きを読みづらい「保ち合い相場」という3つの基本パターンに応じて、筆者が勧める利食い決断のための最適なテクニカル手法は、シンプルでかつ実戦的だ。実践事例も豊富でわかりやすい。巻末には主要なテクニカル分析法を網羅したミニ解説辞典を掲載。「あの時、売っておけば儲かったのに……」と悔やんでばかりいる個人投資家、必読の書。
目次
増補改訂版の刊行にあたって
プロローグ 欲をコントロールする技術がテクニカル分析である
PART 1 儲けの技術を手に入れるための序論──買う前に“売り”をイメージしない投資では資産はつくれない
PART 2 ローリスクを実現させる全体相場の読み方──楽勝相場と総手仕舞いのタイミングがトレンド分析で見える!
PART 3 売りの技術を磨くやさしい実践テクニカル①──〈上昇トレンド対応篇〉相場攻略難易度 1~2
Introduction 上昇トレンドの攻略法は2通り/難解そうなテクニカル指標も使い方ひとつで驚くほど簡単だ
PART 4 売りの技術を磨くやさしい実践テクニカル②──〈下降トレンド対応篇〉相場攻略難易度 3
Introduction 下降トレンドの攻略法を身につければチャンスは2倍/あえてリスクをとるか、それとも休むか?/押し目と突っ込み、違いは何?/下降トレンドで勝つ技術が投資の腕前を飛躍させる!
PART 5 売りの技術を磨くやさしい実践テクニカル③──〈保ち合い相場対応篇〉相場攻略難易度 4~5
Introduction いかにも儲かりそうなボックス相場だが…/日経平均に連動する銘柄が攻めやすい/ファンダメンタルズの視点が重要だ/ボックス相場では個別材料株や仕手株が動き出す
PART 6 売りの技術を磨くやさしい実践テクニカル④──〈カラ売り入門篇〉
Introduction 下降トレンドで儲ける王道はカラ売りにあり/プロが守りとおす下降トレンドの基本
★信用取引の基礎知識
PART 7 売りの技術を磨くやさしい実践テクニカル⑤──〈柴田法則トレンド分析篇〉
Introduction 柴田法則のノウハウをよりオープンに
巻末資料 やさしいテクニカル《ミニ解説辞典》
前書きなど
増補改訂版の刊行にあたって
「また、個人投資家がやられた!」
どうして、こういつも同じパターンで、個人投資家が苦汁をなめなければならないのだろう。
例年なら年間に1度か2度ある相場の転換点が、2007年にかぎってすでに3度やってきた。日経平均株価が大幅安するこの調整局面で、かならずといっていいほど一般投資家の悲鳴が聞こえてくる。
本書の初版を刊行したのは2005年の夏のことだった。04年の異例ともいえる長期保ち合いで、やはり個人投資家は調整場面を迎えるたびに損失を膨らましていた。
個人投資家が株式投資で資産を増やすためには、評価益を利益として確定させる「売りの技術」を手に入れなければ生き残れない――。
その強烈な思いが、本書を書く動機になった
幸いなことに、「売り」をテーマにした本は売れないという常識をくつがえすことができた。堅実な投資を目指す投資家から数多くの反響をいただき、わずかなりとも個人投資家の役に立てたのではないかと、じつは若干、自惚れもした。
ところが、その後、そんな自負心も一人よがりに過ぎないと思い知らされることになる。
原著を刊行した05年夏あたりから約1年にわたり、個人投資家にとってきわめて利益を上げやすい大局上昇トレンドが形成された。
日経平均株価が約60%も上昇する一方で、IPO(新規公開株)ブームが訪れて新興市場も活況に沸いた。
その過程で個人投資家の多くが相当な利益を手にしたのは言うまでもない。いや、手にするはずだったといった方が正確だろうか。
なかには資金を何回転もさせて、評価益を何倍にも増やした個人投資家が相当数いたはずだ。
しかし、こうした個人投資家に、利益確定の重要性を説く筆者の声はほとんど届かなかった。当然である。本としてはそこそこ売れても、個人投資家の数からしたら本書を手に取ってくれた投資家の数は、しょせん知れている。
ネット取引の急増にともなって急速にその売買高を増やした個人投資家の多くは、2006年年初のライブドアショックでそれまで積み上げた評価益を瞬く間に失ったのだ。
個人投資家を襲う不運は立て続けにやってきた。06年4~6月には米国発の世界的な株安連鎖で日経平均株価は約▲20%という急落を演じたのだ。
現物株取引の投資家は塩漬けを余儀なくされ、信用取引の投資家は投げ売りに走らざるを得ない状況に追い込まれた。
「何も、変わっていない!」
どんな立派な主張をしようとも、投資家の耳に届かなければ何の役にも立たない。己の非力を実感するしかない。
目先の安値7603円をつけた03年4月から、上昇トレンドが継続している。したがって全体相場の調整入りで塩漬け株を抱えたとしても、数カ月間、我慢をすれば買い値まで回復する環境にいた。
バブル崩壊時のように致命傷とならずにすんだのは不幸中の幸いというべきだろう。
ただし、そんな相場環境がいつまでも継続する保証はどこにもない。
1989年のバブル崩壊以降の株価動向を長期的な視点で眺めると、日本株はいまだに大局下降トレンドを抜け出していない。これをけして忘れてはならない。
現実に07年11月末には、TOPIXが06年6月の安値を下に切り、中期トレンドで下降相場に転換した可能性を強めている。
新たな相場のスタート地点を模索する展開が予想され、比較的振れ幅の広いボックス相場へ移行していくだろう。
その過程で、安値をさらに切り下げるような下降トレンドへの転換があるとすれば、「売りの技術」を身につけていない投資家には、株式市場からの撤退が待ち受けているだけである。
株式マーケットはまさに「売りの技術」がモノを言う相場展開に入ったといえる。
もしあなたが、株式投資で資産づくりを考えているとしたら、「売りの技術」の習得は必須である。
なぜなら、売り損じによる損失や塩漬けによって、投資の継続が確実に妨げられるからだ。“継続”なくして資産形成はありえない。
有望株を安値で仕入れて、評価益を生んだ段階でこれを着実に売却して利益を確定させる。そして回収した資金を再投資に向けるのだ。
これを延々と繰り返すことによってのみ、資産を増やす株式投資は実現する。
「売り」で失敗する最大の原因は、人間の“欲”にある。この主張に異論をはさむ投資家はいないだろう。売り場に臨んで無意識のうちに介入してくる“欲”を排除するための道具がテクニカル分析である。
本書のヘソはPart3~5に置いた。「上昇トレンド」と「下降トレンド」、そして「保ち合い相場」という基本的な3つの相場パターンごとに、最適なテクニカル分析の活用法と、利食いのタイミングの取り方を具体的に論じた。
日本経済は近年、個人が自力で資産づくりに立ち向かわなければならない時代に突入している。株式投資にかぎらず、相場という厳しい世界でそれを実現しようとするなら、売り下手は一刻も早く解消しなければならない。
本書増補改訂版が、そのためにわずかでも力になることができるとすれば望外の幸いである。
2007年12月 出島 昇
上記内容は本書刊行時のものです。