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アジア・オセアニアの英語 河原俊昭(編著) - めこん
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アジア・オセアニアの英語 (アジアオセアニアノエイゴ)

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発行:めこん
A5判
240ページ
並製
定価 2,500 円+税   2,750 円(税込)
ISBN
978-4-8396-0202-4   COPY
ISBN 13
9784839602024   COPY
ISBN 10h
4-8396-0202-6   COPY
ISBN 10
4839602026   COPY
出版者記号
8396   COPY
Cコード
C3083  
3:専門 0:単行本
出版社在庫情報
品切れ・重版未定
初版年月日
2006年11月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2013年6月12日
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紹介

言語政策の中で英語はどんな位置を占めるのか? どのように英語が教えられているのか? フィリピン、シンガポール、マレーシア、インド、韓国、香港、タイ、ベトナム、フィジー、オーストラリア、ニュージーランドの英語事情をお知らせします。

目次

まえがき
フィリピンの英語
シンガポールの英語
マレーシアの英語
インドの英語
韓国の英語
香港の英語
タイの英語
ベトナムの英語
フィジーの英語
オーストラリアの英語
ニュージーランドの英語
あとがき

前書きなど

アジアは現在、世界で最も急速な経済成長を示す地域である。ここでは、各国の間で、ヒトとモノの活発な動きが見られる。アジアの人々の相互交流は年々盛んになってきている。
アジアに住む人々は、どうやって、民族や国家を越えたコミュニケーションを行なっているのだろうか。それは英語を用いているのである。この地域の貿易や外交などで使われる言語は主として英語である。留学先の研修や観光案内でも英語が頻繁に使われる。タクシーの車内や土産物の店内でも英語が飛び交う。海賊でさえも英語を話さなければやっていけない。アジアのコミュニケーション言語は英語である。
言語の影響力に関して、他の地域と比較するならば、アジアにおいては、英語の影響力の強さが印象的である。ヨーロッパでは、ドイツ語とフランス語という強力なライバルが存在する。アフリカではフランス語が旧フランス植民地を中心に、依然として英語の競合相手である。南米ではスペイン語が共通語として強い影響力を持っている。しかし、アジアでは、共通語としては、英語の独壇場である。さまざまな国にまたがる組織を作り上げるときは、作業言語として英語以外の言語がはたして考えられるだろうか。一例を挙げれば、ASEANという地域協力機構では、組織の運営を行なう言語として、マレー語や中国語ではなくて、英語がためらうことなく選択されたのである。
各国の言語政策担当者たちはこの強力な英語に対してどうしているだろうか。韓国や台湾では小学校への英語教育の導入が大胆に行なわれている。日本においては英語の第2公用語論が唱えられたり、文科省により「英語が使える日本人育成の行動計画」が進められている。アジアの諸国の為政者たちは、自国の将来は英語と深く関係すると考えているようだ。
アジアの人々が話す英語はイギリスやアメリカのいわゆる正統英語とは若干異なっている。いろいろな歴史的な要因によって英語は太平洋の各地に広まるうちにさまざまな変種を生み出してきた。社会言語学の観点からは、この多様な英語を大きく3種類に分けることができる。
まず、ネイティヴ・スピーカーの話す英語である。次は、アメリカ・イギリスの旧植民地諸国の英語、最後に日本や韓国、ベトナム、タイなどの英語である。それらの英語は、EFL (English as a Foreign Language)と呼ばれている。ここでは、英語は日常的に使われることはなく、外国語の1つに過ぎなくて、英語に堪能な人の数は少ない。これらの国々では基本的には英語を知らないでも十分に生きていけるし、とりわけ生活に不便を感じることはない。なお、ESLとEFLの境界線にあるものとして、フィジーや香港の英語がある。
これら3種の英語の中で、どの英語が一番権威があって、人々が英語教育の規範にしようとしているだろうか。それは、英語をネイティブとする人々の英語(ENL)である。アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドは日本人の英語学習の留学先として断然人気が高い。
英語を第2言語(ESL)とする国々では、英語が国内に深く根を下ろし社会生活に欠かせない言語として機能しているが、権威という点では、これらの国々の英語は、まだ十分に認められていない。それは、英語学習のためにフィリピンやインドへ留学しようという人がまだまだ少ない点からも明らかである。
ESL国の英語は、訛った英語、不完全な英語だと言う人もいる。しかし、実は、これらの国々では英語は公用語としての機能を果たしていて、その国の文化にしっかりと根を下ろしているのである。それは、立派な英語として、価値を認められるべきだろう。今後、ESL国の英語に関する解説書や辞書や文法書がどんどん発行されて、これらの英語の存在感が増していくのではないだろうか。
3つめのEFL国の英語は、ほとんど権威が認められていない。これらの国々の英語は逸脱したものであり、真似をしてはいけない英語であると考えられることが多い。ジャパニーズイングリッシュとなれば、その存在を抹殺することが英語教育の義務であると考える日本人も多い。
しかしながら、我々の生み出したジャパニーズイングリッシュは既に我々の一部になっているのである。ジャパニーズイングリッシュを一方的に否定することは、ある意味で自己否定にならないだろうか。これらの英語に、何か存在すべき場所を与えることはできないだろうか。その意味で、英語がアジア諸国間のコミュニケーションを担っているという点に大いに注目すべきである。

上記内容は本書刊行時のものです。