書店員向け情報 HELP
竹中平蔵こそ証人喚問を
- 初版年月日
- 2010年12月
- 書店発売日
- 2010年12月1日
- 登録日
- 2010年11月9日
- 最終更新日
- 2010年12月7日
紹介
竹中平蔵こそ証人喚問を。なぜなら「小泉純一郎元首相の下、偽りの『構造改革』を掲げて、日本をメチャクチャにしたからである」。“竹中組”の同じ穴のムジナである木村剛や宮内義彦、福井俊彦など、小泉の側用人だった猪瀬直樹や御手洗冨士夫、三木谷浩史他を俎上にのせて詰問する!
目次
序 竹中平蔵をこそ証人喚問すべきである
1 竹中平蔵の罪の履歴書
詰問状
竹中平蔵氏への手紙──得た果実と「痛み」との大きな落差
再び竹中平蔵氏への手紙──「特等席の経済学」を語って下さい
竹中平蔵氏への三度目の手紙──企業の表面しか見ていない
竹中平蔵氏への第四の手紙──〝逃税〟疑惑と名誉毀損訴訟について
竹中平蔵氏への第五の手紙──あなたのことを新自由主義というのが不思議です
罪の履歴書
〝政商〟ならぬ〝学商〟の群れ
自分だけがトクをする無法経済学
竹中流経済学は他人に傷みを負わせる
〝逃税〟の達人・竹中平蔵大臣に辞職を勧告する
〝居直り平蔵〟という呼称も贈ろう
とどまることなき無責任さと図々しさ
中立・公正という幻想
「郵政米営」を押しつけた小泉・竹中
2 〝竹中組〟の穴のムジナ
木村剛
木村剛氏への手紙──身内の会社に低利融資しているのは銀行法に触れるでしょう
再び木村剛氏への手紙──あなたが「居直り続ける経営者」に見えて仕方がありません
思想性のない改革者もどき
審判がプレイヤーになっていいのか、木村〝新銀行〟
宮内義彦
プロ野球混迷の《真犯人》は宮内義彦オーナーだ
宮内オリックス・オーナーの身勝手な変身
格差について鈍感すぎる
福井俊彦
政府与党に〝借り〟をつくった粗大ゴミ総裁
福井俊彦日銀総裁が下げた「責任のハードル」
日銀総裁・福井俊彦さんへの手紙──「恥を知れ」という言葉をあなたに浴びせたい
村上世彰
独り居座り続ける経営トップの無責任体質
元通産官僚の村上世彰と小林興起の違い
堀江貴文
堀江貴文はリクルート創業者の江副浩正に重なる
『日刊ゲンダイ』はホリエモン礼讃発言者を名指しせよ
3 小泉〝改革〟の側用人
猪瀬直樹
ぼくはエライんだ!
〝猪瀬ミョウバン直樹〟という筆名を進呈しよう
自分がピエロの自覚がない
猪瀬と小泉という二人のエセ改革者
謙虚さ皆無のバンザイ屋
〝石原ヒットラー〟の手下
田中直毅
〝側用人三人衆〟のご用エコノミスト
田中直毅さんへの手紙──郵政民営化は銀行が喜ぶばかり
御手洗冨士夫
弱いものを犠牲にするのが武士道か
これでは〝お手洗いビジョン〟だ
三木谷浩史
理念なき欠陥社長
林真理子
お里が知れる俗物性
渡辺恒雄
渡辺恒雄氏への手紙──「偽装改革」の曲者たちが政権中枢をうろついていますね
佐藤正明
佐藤正明さんへの手紙──未公開株の譲渡は、竹中大臣と同じですね
前書きなど
はじめに
私は元金融担当大臣の竹中平蔵をこそ証人喚問すべきだと思う。小泉純一郎元首相の下、偽りの「構造改革」を掲げて、日本をメチャクチャにしたからである。
しかも、それを恥じるどころか、『「改革」はどこへ行った?』(東洋経済新報社)などという本を出して、さらに「改悪」を続けようとしている。
竹中を証人喚問すべきだと思う理由は主に三つある。
一つは木村剛を金融庁の顧問にし、彼が会長となった日本振興銀行が破綻したのに、その責任を問われてコメントを回避していること。
二つ目は、郵政「民営化」にからむ「かんぽの宿」のオリックスへの払い下げ問題。
そして、三つ目が〝逃税疑惑〟等の個人的な問題である。
竹中が金融庁顧問に抜擢した木村剛が会長だった日本振興銀行は遂に破綻し、日本初のペイオフを発動することになった。
日本振興銀行の認可が異例に早かったことで竹中の関与が噂されているが、二〇一〇年九月一三日付の『日刊ゲンダイ』は「木村剛よりもっと悪い竹中元金融相の大罪」という大見出しの記事を掲載し、「国会招致の動きも」と報じている。しかし竹中シンパの『朝日新聞』をはじめ、なぜか、大手メディアはその動きを追わない。
それをいいことにして竹中は木村剛を尋常ならざる形でバックアップした責任を問われながら、卑怯にも逃げまわっているのである。「その件についてはコメントしない」と各メディアに言っているらしいが、メディアはなぜ、小沢一郎を断罪するくらいの勢いで竹中に迫らないのか?
高杉良の実名小説『新青年社長』上下(角川書店)を読んでいて、竹中が、介護を喰い物にしたコムスンの折口雅博を持ち上げていたことも思い出した。
折口はディスコなどで急成長したグッドウィル・グループのトップ。大体、臆面もなく〝グッドウィル(善意)〟を社名に掲げるところからして怪しいが、『週刊文春』の二〇〇七年六月二一日号によれば、元首相の安倍晋三と共に竹中はこれを礼讃したという。
『週刊ダイヤモンド』で折口と対談した竹中は、「浮き沈みの激しいディスコを一〇年持たせるというのは、たいへんなことだ」と軽く褒めてから、折口が規制を突破する新規参入を介護ビジネスで果たしている、と「手放しの評価」を下した。
「きっと氏は、ものごとを戦略的に考え、プランを立て、かつそれを瞬時に行なうことのできる、稀有な人なのだろう」
これが竹中が対談を終えての折口評である。
他にも、持ち上げて知らんぷりの人は多いと思うが、この折口から木村まで、竹下が下した「評価」のまちがいをメディアはもっと検証すべきなのではないか。
竹中については「〝逃税〟疑惑」というのもあった。それで私は大臣となった竹中に辞職を勧告した。口火を切ったのは『週刊ポスト』の二〇〇一年八月一七日・二四日合併号である。見出しは「竹中大臣は住民税を払っていない? 八年で四回の『米国移住』『住民票の移動』は節税対策か」。
これによれば竹中は周囲に、
「知ってる? 『一月一日』に日本にいなければ、住民税は請求されない、つまり、払わなくていいんだ。だから毎年暮れに住民票を海外に移動し、年を越してから戻ってくれば効果的かつ合法的な節税になるよ」
と語り、それを次のように実行していたという。
ハーバード大准教授時代の一九八九年七月に住民票を米国に移し、翌九〇年四月、慶大助教授になるや東京都港区に転居。以後、九六年に教授に昇格するまで毎年のように日米間で住民票を小刻みに移動した。
この件は、高杉良が『文藝春秋』で、私も『サンデー毎日』で糾弾したが、竹中はなぜか、高杉や私は訴えず、『週刊ポスト』と『フライデー』を名誉毀損で訴えた。
二〇〇二年八月一六日号の『フライデー』の見出しは「デヴィ夫人より悪質な税金逃れ」。同誌はそこで、二〇〇一年一一月一三日の衆議院予算委員会で、民主党の上田清司議員が、
「アメリカで住民票が必要なことはありましたか」
と問いかけたのに、竹中が、
「アメリカには住民票というものはございません」
と答え、上田に、
「結局、いちいち移す必要はないということじゃないですか」
と決めつけられたと報じている。
これについての税法学の権威の日大名誉教授、北野弘久のコメントを引いておこう。
「竹中氏の場合は、故意に住民基本台帳の記録を抹消していた疑いがある。時効の問題を別とすれば、刑事犯として訴追を検討すべき事案といえます」
こんな竹中を重用した小泉はもちろん、盛んに登場させたメディアの責任も忘れてはいけないものだろう。
……
上記内容は本書刊行時のものです。