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軍都久留米 山口 淳(著/文) - 花乱社
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軍都久留米 (グントクルメ) 近代都市への転換と地域の人々 (キンダイトシヘノヘンカントチイキノヒトビト)

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発行:花乱社
A5判
縦210mm 横148mm 厚さ21mm
重さ 430g
312ページ
並製
価格 2,500円+税
ISBN
978-4-910038-88-9   COPY
ISBN 13
9784910038889   COPY
ISBN 10h
4-910038-88-4   COPY
ISBN 10
4910038884   COPY
出版者記号
910038   COPY
Cコード
C0021  
0:一般 0:単行本 21:日本歴史
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年3月11日
書店発売日
登録日
2024年3月8日
最終更新日
2024年3月15日
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紹介

 日清・日露戦争後の師団・聯隊増設の国策に伴い、軍隊を誘致した久留米(福岡)県)。広大な土地の献納と多額の寄附金をもっての、官民挙げての活動の成果であった。
 建設工事や各種手配などで国・軍部の意向に時に翻弄されながらも、街は道路や通信などインフラが急速に整備され、活況を呈してゆく。そして物価高騰や地域・業種間など様々な格差、農地減少と離農、水源枯渇など“負”の代償も──。
 藩政末期から戦後の軍部解体期まで、資料で辿る国内有数の軍都の姿。

目次

はじめに
第一章 軍都の舞台・久留米
第二章 軍隊の誘致
第三章 軍は地域に何を求めたか
第四章 兵営の建設
第五章 かくして軍都となった
第六章 久留米への選地理由
第七章 軍は何をもたらしたか 久留米市の発展
第八章 地域の人々と軍隊
第九章 発展の陰で
終 章 「軍都久留米」の終焉
【資料】「福岡日日新聞」に見える兵営建設関連記事・抜粋
おわりに

前書きなど

 私が生まれ育った久留米市は、戦前「軍都久留米」と形容されていた。軍都とは文字通り軍隊、特に師団が所在する(陸軍の場合)都市のことだが、軍隊が在ることによって、新たな消費が生まれ、それを梃子に発展した都市を言う。軍隊と共存した都市である。
 久留米の場合、明治三十(一八九七)年に現久留米市国分町、当時は三井郡国分村(大正十一年に同郡国分町)に歩兵第四十八聯隊が設置されたことに始まる。その後、明治四十(一九〇七)年に第十八師団が置かれ、名実ともに軍隊の町、「軍都」となった。私の父親の世代以前は、いわゆる戦争に行った世代であるが、子どもの頃から日常的に、軍・兵隊に接してきたことになる。「軍都久留米」の響きは、房だけになった軍旗と共に、数々の戦争を戦い「勇敢」であったという歩兵第四十八聯隊の所在地として、誇らしげに使われていたようである。
 このようなことから、戦前から現在に至るまで、多くの地誌、地域史の中では「軍都」が必ず取り上げられ、論じられてきた。戦前の書物では、軍の誘致と、兵営が所在することが、郷土の誇りとして論じられている。戦後になれば、例えば『久留米市史』に見られるように、地域全体の通史の中に、各時代別に分散して記述されていることが多い。
 一方、戦後しばらくの間は、実際に出征し苦労された方々による自分史、部隊史の類が多く出版されてきた。さらに近年になれば、空襲を記録する、あるいは軍事遺産を記録し遺していこうとする活動が行われ、その記録が出版されていく。
 今一つの軸として、全国に展開した陸海軍と地域との課題を論究していこうとする動きがある。
 この小書は、最後の部類に属する。久留米という地域が、どのように「軍都」に成っていったのか、どのように変貌したのか、ここで、今一度、軍都としての発展の具体的な姿を都市形成の観点も含めて見つめ直そうとするものである。次に、久留米の人々は、どのように軍・兵隊たちと接してきたのかを論じていく。三つ目に、ややもすると、「軍都」に成ったことによって、その都市は発展した、との考えを見つめ直すこととする。軍からの利益を享受し、発展したことに相違はない。しかし、確かにそうではあるものの、「陰」となった点も多く存在する。軍都として発展したということのみに気をとられてはなるまい。兵営の「表」になれば新たな町が形成もされた。だが、「裏」になればそうはならない。兵営、あるいは演習場が設置されることは、土地を奪われることでもある。このような「陰」をも含めて、「軍都久留米」を見つめ直していく。
 ただし、本書で扱う時代は概ね明治三十(一八九七)年の歩兵第四十八聯隊他の設置から、大正十四(一九二五)年の軍縮による久留米第十八師団の廃止までとした。しかしながら、久留米の特徴を論じるために、その前後の事象についても一部記述している。
 最後になるが、本書は、軍都について幾つもに分散して書かれていたものを、一つにまとめたもの程度であるかもしれない。ただ、それはそれで、便利な本となっていればよい。今一つ、本文中に多くの資料を引用した。このことが読みづらさとなったのではないかとも思うが、できるだけ「生」の資料を提示して、後の考究の一助になればと願ったからである。意のあるところをお汲みいただければ幸いである。

著者プロフィール

山口 淳  (ヤマグチ アツシ)  (著/文

1953年,久留米市御井町に生まれる。
同志社大学にて考古学を学ぶ。
1979年,久留米市役所入所(埋蔵文化財発掘調査員)。
文化財保護課にて歴史資料類の調査,収集,保存などに従事。その後,退職前3カ年間は久留米市立中央図書館勤務。2014年,定年退職。久留米市立北野図書館嘱託職員を3カ年勤め,職を辞す

上記内容は本書刊行時のものです。