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飯場へ 渡辺拓也(著) - 洛北出版
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飯場へ (ハンバヘ) 暮らしと仕事を記録する (クラシトシゴトヲキロクスル)

社会一般
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発行:洛北出版
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ32mm
重さ 430g
512ページ
並製
定価 2,600円+税
ISBN
978-4-903127-26-2   COPY
ISBN 13
9784903127262   COPY
ISBN 10h
4-903127-26-5   COPY
ISBN 10
4903127265   COPY
出版者記号
903127   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年7月
書店発売日
登録日
2017年5月25日
最終更新日
2017年6月20日
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書評掲載情報

2017-09-23 毎日新聞  朝刊
評者: 「関西の社会学者」著作続々(毎日新聞、記者、取材記事)
2017-08-27 朝日新聞    朝刊
評者: 佐伯一麦(作家)―― 体験ルポと考察の“私民族誌”
2017-08-27 朝日新聞  朝刊
評者: 佐伯一麦(作家)
2017-08-20 信濃毎日新聞  朝刊
評者: 安岡健一(大阪大学)―― 人間関係の機微、繊細に捉える
2017-08-18 週刊読書人    3203
評者: 好井裕明(日本大学)―― 豊かな体験と精緻な観察。あたたかい感性に満ちたモノグラフ
2017-07-29 沖縄タイムス    朝刊
評者: 本田由紀(東京大学)―― 選別と排除生み出す世界。共同通信社から全国の地方紙へ配信されました。
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重版情報

2刷 出来予定日: 2017-10-01
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重版(第2刷)完成。( 2017年7月1日 第1刷刊行 )

紹介

仕事ができない自分が、悪いのか?
それとも、アイツが、ダメなのか?

―― 他人と「共に働く」ことの、喜びと違和。
―― 共同性を育む、他人への信頼と期待。

   * * *

 「生産性を上げろ」という過酷な要求、上からの理不尽な圧迫と合理化、職場内の不当な排除行為。
 職場の共同性は、どんどん切りつめられ、現場は、ささくれだっていく。

 私たちは、この状況を、どのように押し返していけばよいのだろうか?

 本書は、飯場の一人ひとりの労働者が置かれた関係性に注目し、この問いに、真摯に迫っている。

 飯場とは、多くの労働者にとって、一時的な滞在場所であり、滞在期間に長い短いはあっても、入る時には出ることが念頭にあるといってよい。

 では、いったい、どういうルートで飯場に入るのだろうか。
 どんな労働条件で仕事(主に建設労働)をしていくのだろうか。
 どういった暮らしをおくることになるのか。
 どのような人たちと出会い、そして……、飯場を出て行くのだろうか。

 飯場で出会った一人ひとりの労働者たち――。すなわち、赤木さん、浅井さん、有村さん、磯村さん、井上さん、武(ウー)くん、上山さん、江口さん、遠藤さん、太田さん、大塚さん、小川さん、奥野さん、柿田さん、片桐さん、門脇さん、亀田さん、苅田くん、川野さん、川端さん、岸川さん、木戸さん、倉田さん、黒田さん、小池さん、孔(コウ)くん、小宮さん、斉藤さん、桜井くん、重岡さん、篠田さん、篠原さん、志村さん、江(ジャン)くん、白井さん、白木さん、杉浦さん、杉森さん、須藤さん、角谷さん、高田さん、高橋さん、田村さん、湯(タン)くん、坪井さん、鶴田さん、寺岡さん、富樫さん、中居さん、中野さん、中村さん、中山さん、野中さん、野村さん、羽田さん、濱田さん、原口さん、東野さん、平田さん、深川さん、藤田さん、正木さん、増田さん、松川さん、松本さん、水野さん、三田さん、森さん、保田さん、山野井さん、横溝さん……。

 著者=「僕」は、かれらと共に働きながら、その一人ひとりの言動に視線をそそぐ。
 かれらにある、一瞬の繊細な気配り、隠された冷やかさ、見返りを求めない手助け、耐えがたい混乱、息を飲む率直さ、抑えがたい苛立ち……。これら一人ひとりの言動が、共に働く現場において、固有の関係性を紡ぎあげている。この関係性を「理解」するために、「僕」は、体験を記録し、その意味に気づき、そして考察を、厚く、重ねていく。

 この本は、まずは、飯場の暮らしと仕事のありようを、著者=「僕」の飯場体験にもとづいて、「僕」の視点(身体を通した経験)から、くわしく描きだす。つづいて、この飯場体験の「記録」をふまえ、不当な排除がおこなわれる過程と仕組みについて、精巧に考え抜いていく。

 それぞれの職場で働く一人ひとりの個人が、「記録」して「気づき」、そして「理解」するという、この「誰にでもできる」やり方に取り組むこと――。そこから始めてようやく、共同性を育むいとぐちに就くことができるのではないだろうか。

   * * *

――「土工〔どこう〕の経験あるんか?」、
――「土工なめとったらあかんで」、
――「バカじゃ土工はできんのですよ」。

 「〈誰にでもできる〉ようなことは侮〔あなど〕られ、低く見られがちである。それでも、いや、だからこそ、〈誰にでもできる〉ようなところから始めるべきだと、僕は思う。」――〔本文より〕

目次

◆ はじめに ――――
 ・ フィールドワークの始まり
 ・ 初めてのフィールドワークの顛末〔てんまつ〕
 ・ 寄せ場〔よせば〕の変容と飯場への注目
 ・ 用語について ─― 飯場労働者、使用者
 ・ 実際に行なった調査の概要〔がいよう〕
 ・ この本の構成

◆ 第1章 ――――
人夫出し飯場のエスノグラフィー
 ・ 「飯場日記」について

   * * *
 飯 場 日 記
 ・ 新しい出会い
 ・ 戸惑いながらの初仕事
 ・ 大工の手元をする
 ・ 飯場の手違いで舗装〔ほそう〕現場に行く
 ・ 吉野の山奥で大工初体験
 ・ 休 日
 ・ 吉田建設一日目
 ・ 仮枠〔かりわく〕解体の仕事
 ・ 吉田建設二日目
 ・ 吉田建設三日目
 ・ 吉田建設四日目
 ・ 休みのつもりが臨時の仕事
 ・ 何もない休日
 ・ 吉田建設五日目
   * * *

 ・ 「飯場日記」の特性

【コラム】 建設産業における飯場の役割とは

◆ 第2章 ――――
飯場の生活
 ・ 飯場に入るには
 ・ 飯場の労働条件・生活環境
 ・ 飯場の経営者・従業員
 ・ 飯場での暮らしぶり
 ・ 飯場労働者の人間関係
 ・ 飯場の生活

【コラム】 飯場の歴史と現在

◆ 第3章 ――――
飯場の仕事 ―― 寄せ場〔よせば〕→ 飯場
 ・ 土工〔どこう〕の技能
 ・ 労働条件
 ・ 労働者の構成
 ・ 実際の作業内容
 ・ 飯場労働の心得〔こころえ〕
 ・ 飯場の巨大化の背景

◆ 第4章 ――――
飯場の仕事 ―― 求人広告 → 飯場
 ・ 労働条件と調査概要〔がいよう〕
 ・ X建設の仕事の概要
 ・ 労働者の構成
 ・ 実際の仕事内容
 ・ X建設の戦略

◆ 第5章 ――――
飯場の労働文化
 ・ 「文化」の研究
 ・ 飯場労働者の分類・序列・関係
 ・ 飯場労働者の行動様式
 ・ 飯場の労働文化

【コラム】 気づきを理解につなげるために

◆ 第6章 ――――
つくられた「怠け者」、排除の檻〔おり〕
 ・ 「勤勉」と「怠け」という問題
 ・ 飯場労働の中身
 ・ 飯場労働者のモチベーション
 ・ 固定層と流動層のすれ違い

◆ 第7章 ――――
「怠け」の役割、排除の構造
 ・ より良い労働とは?
 ・ 使用者の認識のずれ
 ・ ゆらぐ「勤勉」と「怠け」
 ・ 「怠け」が果たす役割

◆ 第8章 ――――
不寛容なコミュニティ ―― 淘汰〔とうた〕と選別
 ・ 排除か、淘汰か
 ・ コンクリ打ちの実態
 ・ 掘削〔くっさく〕・埋め戻し、常用〔じょうよう〕の場合
 ・ 淘汰と選別

◆ おわりに ――――
 ・ 飯場の仕事は変化したのか
 ・ 飯場の暮らし
 ・ 生産性と共同性のせめぎあい
 ・ 共同性の原資〔げんし〕
 ・ 「誰にでもできること」の大切さ
 ・ 自由の行為

文献一覧 /あとがき /索 引

著者プロフィール

渡辺拓也  (ワタナベ タクヤ)  (

渡辺拓也 Watanabe Takuya
 1979年、山口県徳山市(現周南市)に生まれ育つ。大学進学とともに福岡県北九州市に移住。2002年3月、北九州市立大学文学部人間関係学科を卒業。翌年、大学院進学にともなって大阪府大阪市に移住。2011年3月、大阪市立大学大学院文学研究科人間行動学専攻後期博士課程を単位取得退学。2014年3月、大阪市立大学大学院文学研究科にて博士(文学)の学位を取得。現在、大阪市立大学大学院都市文化研究センター研究員、および特定非営利活動法人 社会理論・動態研究所研究員。専門は労働社会学。
 共著として、『ホームレス・スタディーズ─排除と包摂のリアリティ』(青木秀男編著、ミネルヴァ書房、2010年)の第4章「飯場労働者における「勤勉」と「怠け」―─労働者の選別と排除のメカニズム」を執筆。『釜ヶ崎のススメ』(原口剛・稲田七海・平川隆啓・白波瀬達也編著、洛北出版、2011年)では、建設日雇い労働のレクチャー形式の読み物(第1章「建設日雇い労働者になる」)を執筆。『占領期生活世相誌資料Ⅰ 敗戦と暮らし』(山本武利監修・永井良和編、新曜社、2014年)では、占領期の検閲資料であるプランゲ文庫の中から、「戦災孤児」「浮浪児」「闇市」「焼け跡」「労働の民主化」などに関連する雑誌記事を収集し、解題(第2章「焼け跡ぐらし」)を執筆。共編著として、『それでもつながりはつづく―─長居公園テント村 行政代執行の記録』(記録集編集委員会、ビレッジプレス、2007年)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。