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炭鉱の唄たち 前田 和男(著) - ポット出版プラス
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炭鉱の唄たち (タンコウノウタタチ) 炭坑節からプロテストソング、そして流行歌まで (タンコウブシカラプロテストソング ソシテリュウコウカマデ)

社会科学
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A5判
1072ページ
並製
価格 8,900円+税
ISBN
978-4-86642-025-7   COPY
ISBN 13
9784866420257   COPY
ISBN 10h
4-86642-025-1   COPY
ISBN 10
4866420251   COPY
出版者記号
86642   COPY
Cコード
C0039  
0:一般 0:単行本 39:民族・風習
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2024年7月1日
発売予定日
登録日
2024年1月15日
最終更新日
2024年3月29日
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重版情報

1刷 出来予定日: 2024-05-06
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紹介

※ 発売日、頁数は予定です。

目次

序章 どっこい炭鉱唄は生きている!

●なぜ苛酷な炭鉱から多くの唄が生まれたのか?
●明治の近代化で「燃え石」は「黒ダイヤ」になった
●「生き地獄」が炭鉱に唄を生んだ
●唄でまぎらわす労働地獄
●炭鉱唄にこめられた労働安全
●苦役ゆえの屈託のなさ
●炭鉱は労働運動歌も校歌・市歌も流行歌も生んだ
●〝労働の肉体離れ〟で炭鉱唄は最後の「仕事唄」となった

第Ⅰ部 三大炭坑節をめぐる生誕と流転の謎

第一章 炭坑節を戦後復興の応援歌にしたのは誰か

⦿第一節 炭坑節の生誕地が三池と誤解された歴史の謎
●「炭坑節」はどのようにして生まれたか?
●モデルは三池炭鉱にあらず!?
●発祥の地は筑豊の田川伊田炭鉱
●芸者衆が選炭唄を座敷唄に洗練
●英文ウィキペディアも発祥地を誤記

⦿第二節 足長おじさんはGHQ
●戦後復興の応援歌、進駐軍バージョン炭坑節
●米兵が感じた〝とびきりの日本〟
●なぜGHQは三池炭鉱に進駐したのか

⦿第三節 炭坑節なくして復興なし!
●石炭なくして戦後日本の復興なし
●「食」と「住」の優遇策で炭鉱へ労働者を誘導
●GHQの特別列車「黒ダイヤ号」、産炭地へ
●炭坑節で傾斜生産方式を鼓舞
●GHQ文書で明かされる占領期対日放送政策の実態
●炭鉱労働者慰安番組「炭坑へ送る夕」
●バラエティもエンタメ効果を発揮
●「炭坑へ送る夕」、石炭増産の目的を達成し「産業の夕」に統合

⦿第四節 レコード競作と紅白歌合戦で国民歌謡へ
●相次ぐレコード化にもGHQの影が
●第一回紅白で東西の炭坑節対決
●GHQに対する周囲の過剰なまでの忖度

⦿第五節 「炭坑節」異聞
●炭坑節は〝地底の差別〟を隠した
●〝エタ節〟と呼ばれる〝闇の炭坑節〟があった!?
●三池闘争を挫折させた下請け差別と部落差別
●三池炭鉱を荷役で支えた与論島の民
●炭坑節を踊るのに百年を要した与論の民
●大陸・半島出身者と炭坑節との関わりは戦後から
●〝仲介役〟は〝とんちゃん〟だった!?
●炭坑節は地底の差別と分断の記憶再生装置

第二章 常磐炭坑節はこうして国民歌謡になった

⦿第一節 東の炭坑節のふるさと、常磐炭田
●「低い」「薄い」「熱い」「危ない」の〝四重苦〟に抗して

⦿第二節 ルーツは農と鉱
●東の炭坑節のルーツは農業と鉱山由来の唄にあり
●炭坑節は鉱山唄と草刈唄の融合!?
●再論、炭坑節生誕のナゾ
●ナゾの答えは炭坑の〝現場〟にあり
●現在の常磐炭坑節はジャズ!?
●〝哀調〟のもとは足尾石刀節か
●なぜ炭坑節から〝哀調〟が消えたのか?

⦿第三節 常磐炭坑節には有力なライバル兄姉がいた!
●常磐炭坑節の誕生は昭和一〇年前後か
●石刀唄の流れをひく「いわきハッパ節」
●閉山で地底に埋もれていた幻の炭鉱唄「トロッコバッタ」
●炭坑節の卵はいくつもあった!?
●〝危な唄〟の真室川花電車
●選炭場はエロスの解放区!?
●炭坑夫たちはなぜ近隣からやってこなかったか?

⦿第四節 〝育ての親〟は芸者衆
●東西共に〝育ての親〟は地元の芸者衆
●水戸偕楽園で美妓百名による大イベント
●地元出身の野口雨情に歌詞を依頼
●温泉と炭鉱は犬猿の間柄!?
●〝炭坑節の卵〟は一つではなかった!?
●野口雨情作詞の炭坑節
●浅野総一郎と野口雨情の共通項
●中山晋平のアレンジで進化か?
●水戸の芸妓によるレコードも
●常磐炭坑節南下進化論か北上進化論か
●なぜ炭坑節は湯本へ里帰りしたのか?

⦿第五節 常磐でも足長おじさんはGHQ
●戦後の国を挙げての石炭増産とGHQ
●炭坑夫確保のためにコメを特配
●炭鉱労働者慰安番組『炭坑へ送る夕』
●レコード競作と紅白歌合戦での東西の炭坑節対決
●炭坑節(九州)
●常磐炭坑節
●〝哀調〟が消えた裏にもGHQの影が
●常磐炭坑節が福島民謡になった背景にもGHQが

第三章 北海盆唄はなぜ炭鉱唄から国民的愛唱歌になれたのか

⦿第一節 北海盆唄は北海道の炭坑節だった
●元唄の発掘者・吉田源鵬氏
●民謡歌手と炭鉱盆踊りとの運命的出会い
●「炭坑節」から炭坑が消え「盆唄」へ
●三十五年ぶりに蘇った北海道の「炭坑節」
●幾春別の往時の面影を訪ねる

⦿第二節 北海盆唄の特徴は圧倒的卑猥性にあり
●北海道炭坑節の独自性は卑猥性
●元唄は「ベッチョ踊り」
●「踊り」にも圧倒的な卑猥性
●「炭坑型北海盆唄」が正系に
●大人も子供も「脱卑猥化」「都市志向化」へ
●「子供盆おどり唄」が果たした「脱炭鉱化」
●新作の発禁処分で卑猥唄が一瞬甦った?
●原始的ファリシズム

⦿第三節 北海盆唄とGHQ
●「足長おじさん」としてのGHQ
●増炭調査団、北海道へ
●「炭坑へ送る夕」に北海盆唄
●足長おじさんの法衣からのぞいた鎧
●フォークダンスで炭鉱踊りの卑猥性浄化を仕掛けた米諜報部員
●長崎での成果を北海道へ
●読者投稿が活写する終戦直後の盆踊り風景
●全道へ浸透するベッチョ節(踊り)
●フォークダンスと盆踊りの健全化
●阿波踊り復活の背後にもGHQ
●〝マッカーサー元帥感謝盆踊り〟も
●ベッチョ節の矯正指南としてニブロ来道
●フォークダンスによる盆踊りの健全化は奏効せず
●「盆踊り健全化」の動きは明治の開坑期から
●卑猥性の真骨頂は「踊り」にあり

⦿第四節 北海盆唄のルーツ異説異聞その一/小樽発祥節
●「元唄」のさらなる「元唄」を求めて
●小樽高島の盆踊唄の「故郷」は「越後甚句」
●『日本民謡集』(岩波書店)がお墨付きを与えた?
●鉄路が越後の盆踊唄を小樽から炭坑へ運んだ?
●ベッチョ節とは程遠い越後盆踊唄

⦿第五節 北海盆唄のルーツ異説異聞その二/根室花柳界発祥説
●根室は小樽に先んじていた!?
●卑猥性でも根室は先んじている?
●根室盆唄は踊りも躍動的
●メロディも北海盆唄に近似

⦿第六節 北海盆唄のルーツ異説異聞その三/旭川屯田兵発祥説
●盆踊大会殺傷事件が契機で「正調」制定
●「正調北海盆唄発祥地」碑の建立
●海の玄関口「増毛」、軍都「旭川」、炭鉱――三者の相関性
●「増毛発祥・旭川伝播説」の根拠

⦿第七節 北海盆唄のルーツ異説異聞その四/常磐炭鉱由来説
●北海盆唄旭川発祥説は勇み足!?
●ベッチョ節とチョンコ節の合わせ技?
●北海盆唄のルーツを女性器の卑称から考察
●北海道における「ベッチョ不在」の意味
●常磐炭鉱由来説に異論?
●チョンコ節の「代役」は〝灯台下暗し〟にあり
●福島の盆踊り唄と「曲調」「歌詞」で類似性
●山形県まで越境した常磐の盆踊唄
●エロティックな「踊りぶり」は?

⦿第八節 北海盆唄のルーツ ハワイ経由説
●ハワイに「保存」されていたベッチョ踊り
●正式名は「福島音頭」だが正体は「相馬盆唄」
●相馬盆唄の俗称は「ベッチョ」だった!?
●なぜ福島盆踊りが常夏の楽園で勝ち残ったのか?
●原型は「踊りぶり」も過激で卑猥

⦿第九節 北海盆唄のルーツ やっちき踊り流転説
●異端の踊り「やっちき」
●古代の「歌垣」の遺産か?
●北海道の「ベッチョ節」のルーツか?
●やっちきは炭鉱発祥?
●やっちきは九州の炭鉱発?
●常磐は「やっちき踊り」の中継地

⦿第十節 北海盆唄のルーツ 人口移動から検証
●「常磐➡空知」の人口移動を検証
●石狩炭田移住者の多数派は東北出身
●石狩炭田の福島県出身の順位は?
●「友子制度」がつなぐ常磐と北海道
●常磐炭田でも健在だった友子制度

⦿第十一節 総括~北海盆唄の四ルーツ説はつながっていた!
●真のルーツは天明大飢饉にあり!?
●福島浜通りを目指した越後衆
●「相馬二遍返し」は〝移民勧誘〟の唄だった?
●「相馬盆唄」と「越後甚句」の類似性
●越後が「親」で相馬が「子」?
●小樽発、根室発、旭川発の北海盆唄もみな常磐発と兄弟?
●北陸から移民は常磐地区へも流入定着した
●二世紀をかけ四つのルーツ説は一つに繋がった!
●常磐炭坑節は北海道から伝わった?
●ガス爆発→落盤、歌詞の修正の意味
●時系列的にも妥当
●伝えたのは「渡り友子」たち?
●常磐炭坑節の元唄は草刈り唄か?
●ファンタジックな〝還流ドラマ〟

第Ⅱ部 富国強兵と戦争と炭鉱唄

第一章 炭鉱を鼓舞した軍国歌謡

⦿第一節 石炭の一塊は血の一滴!
●歌は炭鉱につれ、炭鉱は歌につれ
●石炭統制会選定の軍国歌謡
●敗戦間際まで続く炭鉱プロパガンダ
●産業戦士の像と炭鉱軍国歌謡

⦿第二節 地底から沸き上がった抵抗の歌声
●悲劇の炭鉱事故から生まれた労働安全唄
●人間臭い初期の労働運動歌
●炭鉱唄にとって分水嶺となった昭和八年
●プロパガンダとプロテストの激しい応酬
●炭坑節に刻まれた戦争の記憶

第二章 戦時下の炭鉱社歌と社員慰安歌

⦿第一節 炭鉱社歌にみる三大財閥系の個性
●温度差がある大手炭鉱各社の「社歌」
●三井系の雄、「北海道炭礦汽船」社歌
●社長の〝御製〟による「三菱の歌」
●社内応募でつくられた「住友社歌」
●「人の三井」が見事に表現された北炭社歌
●「三菱の歌」は「組織の三菱」が具現化?
●「結束の住友」の面目躍如

⦿第二節 社歌にでる炭鉱企業の経営姿勢
●大倉財閥系、常磐炭田「入山採炭」社歌
●筑豊の雄、「麻生鉱業」社歌

⦿第三節 ホンネと実情がほのみえる社員慰安歌
●〝戦争臭〟なしの「北炭音頭」

第三章 炭鉱城下町の「公的唄」と戦争の影
⦿第一節 市町村歌とご当地小唄の戦時色の落差
●産炭地の「公的な唄」と戦時色
●三井鉱山の北の主力炭鉱町の〝準町歌〟
●夕張炭鉱開基四〇年を記念して公募された二曲
●筑豊と三池の三つの市歌

⦿第二節 炭鉱をめぐる軍国歌謡と社歌と公的歌の戦時色の差
●戦時色が薄い「公的な唄」の歴史的意味

第四章 炭鉱城下町の「校歌」と戦争の影
⦿第一節 石狩炭田の小学校校歌にみる戦争の影
●産炭地の校歌から見えてくる「戦時」とは
●石狩炭田の戦前校歌を手がかりに
●「戦時色校歌」は農村より炭鉱町に多い!?
●戦時色濃厚な歌詞は戦後に改変・削除か?

⦿第二節 筑豊炭田の小学校校歌にみる戦争の影
●筑豊の直方を検証サンプルに
●「醜の米兵討つべし」の校歌も
●「脱戦時色化」がなされた可能性も
●戦前生まれでも対照的な校歌も
●直方でも「戦時色校歌」は六割に
●田川の小学校にも戦時色旧校歌
●「改変」の典型、飯塚市頴田小校歌
●石炭積出港でも「戦時色校歌」の先駆け

⦿第三節 小学校校歌(戦前)の戦時色の産炭地比較
●指標を「戦時色度」+「炭鉱色度」へ
●石狩炭田の「炭鉱色校歌」たち
●筑豊・三池の「炭鉱色校歌」たち
●「戦時色度」「炭鉱色度」ともに〝北高西低〟
●初等教育現場の戦時下風景も〝北高西低〟

⦿第四節 旧制中学校校歌の戦時色の産炭地比較
●北の産炭地では〝四校四様〟
●常磐と宇部の二校歌には「炭鉱色」なし
●旧制中学校歌の「戦時色」と「炭鉱色」の相関は?
●三池工業と旧東筑中の典型的「戦時下校歌」
●「戦争」をもっとも色濃く反映した旧制中学・工業学校校歌

第五章 「外地」で生まれ育った炭鉱唄

⦿第一節 旧満州の炭鉱社歌は「準国歌」
●王道楽土建設のシンボルソング

⦿第二節 なぜ「外地」の炭鉱慰安歌は明るいのか
●むしろ陽気な「外地」の炭鉱唄

⦿第三節 ソ連進駐で慰安歌は悲歌へ暗転
●撫順炭礦の「王道楽土」を唄った二つの慰安歌
●ソ連進駐、「慰安歌」は一転「悲歌」へ

⦿第四節 大陸侵略を支えた謎の炭鉱技術者学校
●歴史から消された特殊な技術者養成学校
●校歌・寮歌からも「満州国」が発する〝独特の匂い〟
●学費・食費免除と安定した就職で志願者殺到
●日満工業学校校歌は歴史の生き証人

⦿第五節 娼婦と共に満州にわたった炭鉱唄
●選炭唄が春歌の形をとった怨歌へ
●「死の労働」の日常化

⦿第六節 嗚呼、万人坑!
●「怨み節」を「鎮魂歌」へ

第Ⅲ部 炭鉱と唄たちの戦後 その再生と死と

第一章 戦後復興を支えた炭鉱唄たち

⦿第一節 「戦前・戦中」と「戦後は非連続ではない
●「炭鉱ゆかりの歌たち」の戦後とは
●産炭地の社歌、市歌、校歌の「戦前」VS「戦後」
●「戦前」と「戦後」は「増炭」でつながっている!?
●「増炭」の指令者はGHQ?
●むかし軍部、いまGHQ
●軍艦マーチをGHQはなぜか許容

⦿第二節 戦前と戦後をつなぐ「一山一家」主義
●戦前と戦後では真逆の「炭鉱社歌」

⦿第三節 炭鉱を「一山一家」にまとめ上げた球団応援歌
●社員と市民を元気づけた社会人野球団
●石炭と石油の野球応援歌対決
●二〇二〇東京五輪で、オール常磐応援歌をもう一度!

⦿第四節 市歌と校歌に刻まれた炭鉱の賑わいの記憶①
●旧平市歌に「炭鉱」がない理由
●炭鉱に寄り添う勿来小唄
●いわき市歌の歌詞になぜ斜陽の石炭が……
●いわき市歌の先行歌、磐城甚句

⦿第五節 市歌と校歌に刻まれた炭鉱の記憶②
●産炭地の高校校歌は炭鉱を記憶しているか
●炭鉱との縁が深い工業高校の校歌
●地元炭鉱の輿望を担った平工業高校
●作詞者が土井晩翠でなく草野心平だったら……
●炭鉱を生きるバネにした草野心平
●炭鉱をうたった小中学校校歌

⦿第六節 なぜ戦後炭鉱唄が盆踊りの主役となったのか①
●いわき名物「じゃんがら」
●炭坑夫たちを慰藉した盆踊り
●炭鉱の盆踊りが生んだ日本一の回転櫓
●時代の世相を映す炭鉱盆唄
●本来「じゃんがら」に歌詞はなかった

⦿第七節 なぜ戦後炭鉱唄が盆踊りの主役となったのか②
●「炭鉱」が盆唄の歌詞に
●炭鉱発の「新作盆唄」
●炭鉱最盛期の雰囲気を伝える「盆踊り歌詞集」
●地域融和に貢献した「炭鉱発盆唄」

第二章 閉山へ捧げられた挽歌たち

⦿第一節 炭鉱との別れで歌われた唄たち
●〝熱い〟〝低い〟〝薄い〟に〝危ない〟が加わりついに閉山へ
●涙の炭坑節で鉱山に別れを告げ
●軍国歌謡の「替え歌」で別れを惜しむ
●学卒の技術者たちの「替え歌」挽歌も

⦿第二節 閉山と市歌
●対照的な茨城県側炭田の二つの市歌

⦿第三節 閉山でも校歌は消えず
●閉山と共に校歌から炭鉱も消滅
●好間地区でも校歌から炭鉱消える
●炭鉱への挽歌としての校歌

⦿第四節 提言・炭鉱唄を近代化遺産とせよ
●炭鉱地区の校歌を「ユネスコ近代化遺産」に
●校歌は地域の記憶を掘り起こす生き証人
●いわき市歌も「ユネスコ近代化遺産」に名乗りを上げよ

⦿第五節 閉山と第二の創業 常磐ハワイアンセンターの挑戦
●常磐炭礦の中興の祖、中村豊
●フローでなくストックによる〝第二の創業〟
●存亡の危機を乗り切ったフラガールたち
●そして、炭鉱の唄は歌い継がれた……
●東日本大震災を全国キャラバンで乗り越える

⦿第六節 北の大地の閉山に捧げられた唄たち
●吉田拓郎の「落陽」は閉山へのオマージュである!?
●炭鉱離職者の受皿となった新産都市・苫小牧
●サイコロじいさんは閉山の擬人化?
●サイコロじいさんはベッチョ踊りが得意だった?

⦿第七節 閉山――それでも唄は残った
●「老兵」は消えゆくのみ?!
●「閉山反対歌」の誕生
●「闘いの唄」ではなく「追憶の挽歌」として
●「がんばろう」は炭鉱組合の葬送曲
●三池閉山の鎮魂歌「炭掘る仲間」

⦿第八節 閉山後の記憶再生装置としての「音頭」と「小唄」
●恐怖の納屋制度を今に伝える「高島節」
●組合解散式で配布された「端島音頭」
●閉山後も歌い継がれる「崎戸小唄」
●子どもたちの閉山の唄は「巣立ちの歌」
●九州最後の炭鉱の記憶再生装置「池島音頭」
●閉山後につくられた追憶の唄
●「明るく楽しい記憶」だけの再生装置であってはならない

⦿第九節 日本最後の閉山地、釧路炭田
●庶路炭鉱の「赤い広場」と「赤いアコーディオン」
●うたごえの火を消した三池闘争と石炭生産転換闘争
●多種多様な「うたごえ」
●労使の「ほどよい緊張関係」
●そして「ヤマの唄」は残った!?
●閉山、そして釧路コールマインへ

第三章 戦後復興を支えた炭鉱労働運動歌

⦿第一節 右派も左派もひたすら明るい労働組合歌
●「一山一家」を謳いあげた労働組合歌
●左派の三池労組の組合歌も怨念はなし

⦿第二節 釧路炭田が生んだ謎のうたごえ運動家
●「うたごえ運動」を下支えした炭鉱労働者
●三池の荒木栄と肩を並べた〝うたごえ運動家〟釧路の佐藤広志
●「俺ら炭礦夫だ」は幻のうたごえ?
●日鋼室蘭闘争を唄で励ます
●炭鉱仲間のうたごえサークルが伝達役に
●炭労大会、「日本のうたごえ」でさらに拡散・浸透
●佐藤広志、〝全国区〟のうたごえ運動家へ
●炭鉱では〝良き歌〟が〝良き団結・絆〟をつくる
●「お富さん」から「俺らは炭礦夫だ」へ
●隣接する庶路炭鉱労働組合歌を作曲
●ジラード事件に触発され叙事詩歌をつくる

⦿第三節 歴史の闇に消えた最高傑作「人とし生きるために」
●〝うたごえ運動家〟 佐藤広志の総仕上げの傑作
●三井三池の荒木栄とも交流
●突然消え去った〝うたごえ運動家〟
●そして、うたごえ運動も消えた

第四章 戦後復興から閉山へ。炭鉱の盛衰に連れた流行歌

⦿第一節 一九五七年が[戦後炭鉱歌謡]の分水嶺
●「炭鉱ゆかりの戦後流行歌」の年度別発売状況を精査
●東西の炭坑節をプロパガンダソングに
●炭鉱コミックソングで石炭増産を後押し

⦿第二節 炭鉱のリアルを伝える唄がアメリカから上陸
●双子の謎と矛盾
●日本に逆上陸した“Sixteen Tons”の衝撃
●フランク永井とは対照的な小坂和也のカバー曲
●「一三八〇〇円」以外にも炭鉱礼賛歌謡

⦿第三節「炭鉱は明るい」から「炭鉱は暗い」へ
●「炭鉱苦役歌謡」の嚆矢、三橋美智也の「俺ら炭坑夫」
●「炭鉱の現状理解」に労使のズレ
●三橋美智也「俺ら炭坑夫」を発禁処分に!?
●実は「俺ら炭坑夫」は坑夫たちの愛唱歌だった!?
●暗い炭鉱の予兆
●暗くて辛い炭鉱の嘆き節
●三橋美智也の原点は父親の落盤死
●三橋美智也につづいて小林旭、島倉千代子も歌った「暗い炭鉱恨歌」

版元から一言

もっとも苛酷をきわめたのが炭鉱の石炭採掘仕事。
にもかかわらず、その中から数多くの唄が生まれた。

いまや「仕事」は、ときに死をもたらす「苦役」からは無縁になりつつある。
だが、それはいっぽうで、仕事と肉体のいっそうの乖離によって人々の心の安寧をますます失わせることになる。
数年前、若い人たちの間で、美輪明宏うたう土木作業唄「ヨイトマケ」が再評価されたのは、その補償作用なのかもしれない。それは失われた仕事唄を取り戻そうとするレコンキスタ(失地回復)の兆しではないのか。
となれば、炭鉱生まれの唄たちは「過去の懐メロ」ではない。
「ヨイトマケ」よりもはるかに多様で物語に富んでいる。

著者プロフィール

前田 和男  (マエダ カズオ)  (

1947年東京生まれ。
日本読書新聞編集部勤務を経て、翻訳家、ノンフィクション作家、編集者。路上観察学会事務局。『のんびる』(パルシステム生協連合会)編集長。
●著作
『昭和街場のはやり唄』(彩流社)、『男はなぜ化粧をしたがるのか』(集英社新書)、『足元の革命』(新潮新書)、『選挙参謀』(太田出版)、『紫雲の人、渡辺海旭』(ポット出版)、『民主党政権への伏流』(ポット出版)、『MG5物語』(求龍堂)他。
●訳書
オーレン・ハラーリ『コリン・パウエル リーダーシップの法則』(KKベストセラー)、テリー・イーグルトン『悪とはなにか』(ビジネス社)他。
絵本『タンタンタンゴはパパふたり』など。

上記内容は本書刊行時のものです。