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まるごと1冊 スペイン音楽の本 下山 静香(著) - アルテスパブリッシング
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まるごと1冊 スペイン音楽の本 (マルゴトイッサツ スペインオンガクノホン)

芸術
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四六判
664ページ
並製
定価 3,800円+税
ISBN
978-4-86559-280-1   COPY
ISBN 13
9784865592801   COPY
ISBN 10h
4-86559-280-6   COPY
ISBN 10
4865592806   COPY
出版者記号
86559   COPY
Cコード
C1073  
1:教養 0:単行本 73:音楽・舞踊
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年9月30日
書店発売日
登録日
2023年8月18日
最終更新日
2023年10月19日
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書評掲載情報

2023-10-28 東京新聞/中日新聞  朝刊
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紹介

エキゾティシズム、多様性、粋(いき)──
西洋と東洋、芸術性と大衆性の入りまじる音楽の魅力とは。
スペシャリストとして活躍する人気ピアニストによる待望のガイドブック!

「フラメンコの、胸の底から感情をしぼりだすようなカンテ、
 ギターの鮮やかな爪弾きや決然としたかき鳴らし、
 規則性のなかで本能的に刻まれるかのようなリズム……
 それらを聴くとなぜ、どうしようもなく胸が騒ぐのだろう……」(まえがきより)

カスティーリャ、アンダルシア、カタルーニャ、バスク、ガリシアほか各地域の民謡や、
フラメンコなど大衆的な歌と踊り、オペラやサルスエラといった舞台芸術も詳しく解説。
中世・ルネサンスから現代までのクラシック音楽の歴史を通覧し、
幅広いジャンルが絡みあう音楽の魅力を多角的に描きだす!

長年、スペイン音楽、中南米音楽を専門とするピアニストとしてユニークな活動を展開し、
文筆家としても活躍する著者が、満を持して世に問う「スペイン音楽大全」!

Spotify/Apple Musicで楽曲を聴きながら読める!

下山静香/ピアニスト Official Website
https://www.shizukagracia.com/

目次

 まえがき
 スペイン全図
 凡例

序章

●スペイン音楽の特色
 エキゾティシズムの正体
 ミの旋法
 歌と踊り
 多様かつ重層の文化
 スペインの粋

●スペイン音楽史概観
 8-11世紀 イスラム侵入からアル゠アンダルスの隆盛まで
 12-14世紀 レコンキスタとキリスト教世界
 15-16世紀 ルネサンスから黄金世紀へ
 17世紀 黄金世紀からバロックへ
 18世紀 外来音楽の流行とカスティシスモの目覚め
 19世紀 サルスエラの復興とスペイン国民楽派の誕生
 20世紀 世界のなかのスペイン音楽

第1章 地理と歴史

●スペインの主な地方
 カスティーリャ(カスティーリャ・イ・レオン州/マドリード州/カスティーリャ゠ラ・マンチャ州)
 アンダルシア州
 カタルーニャ州
 アラゴン州
 バスク(バスク州/ナファロア州)
 ガリシア州

●そのほかの地方
 アストゥリアス州、カンタブリア州
 エストレマドゥーラ州
 バレンシア州、ムルシア州
 バレアレス諸島州、カナリア諸島州

第2章 作曲家と演奏家

●主なクラシック作曲家たち
 アントニオ・デ・カベソン
 トマス・ルイス・デ・ビクトリア
 ドメニコ・スカルラッティ、ルイジ・ボッケリーニ
 アントニオ・ソレール
 フェルナンド・ソル
 フランシスコ・タレガ
 パブロ・デ・サラサーテ
 イサーク・アルベニス
 エンリケ・グラナドス
 マヌエル・デ・ファリャ
 ホアキン・トゥリーナ
 オスカル・エスプラ
 フェデリコ・モレノ゠トローバ
 フェデリコ・モンポウ
 ロベルト・ジェラール
 ホアキン・ロドリーゴ
 「八人組」
 ビセンテ・アセンシオ
 シャビエ・モンサルバチェ
 現代を代表する作曲家 三選(ルイス・デ・パブロ/アントン・ガルシア・アブリル/トマス・マルコ)

●クラシック演奏家・歌手10選
 パブロ・デ・サラサーテ
 パウ・カザルス
 ガスパール・カサド
 アンドレス・セゴビア
 ナルシソ・イエペス
 リカルド・ビニェス
 アリシア・デ・ラローチャ
 ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス
 アルフレード・クラウス
 テレサ・ベルガンサ
 [番外編]アルトゥール・ルビンシュタイン

第3章 作品紹介

●鉄板名曲! 10選
 アルハンブラの思い出(タレガ)
 カルメン幻想曲(サラサーテ)
 アストゥリアス(アルベニス)
 コルドバ(アルベニス)
 アンダルーサ(グラナドス)
 オリエンタル(グラナドス)
 鳥の歌(カタルーニャ民謡)
 スペイン舞曲 第一番(ファリャ)
 火祭りの踊り(ファリャ)
 アランフエス協奏曲(ロドリーゴ)

●聴くべき名曲10選
 レクイエム(ビクトリア)
 イベリア 12の新しい印象(アルベニス)
 ゴィエスカス(グラナドス)
 ロシオの行列(トゥリーナ)
 バレエ音楽《三角帽子》(ファリャ)
 チェンバロ協奏曲(ファリャ)
 無伴奏チェロ組曲(カサド)
 10のバスクのメロディ(グリディ)
 君の上にはただ花ばかり(モンポウ)
 5つの黒人の歌(モンサルバチェ)

第4章 踊りと歌

●スペインの舞踊10
 ファンダンゴ
 ホタ
 セギディーリャス、セビジャーナス、ボレロ
 サルダーナ
 ソルツィーコ
 ハバネラ
 グアヒーラ
 サパテアード
 パソドブレ
 パサカジェ

●スペインの歌10
 カンティガス
 トゥナ、ロンダ
 サエタ
 カンテ・フラメンコ
 ロルカのスペイン古謡集
 カタルーニャ民謡
 セファルディ・ソング
 そのほかの有名な民謡(エル・ビト/ラ・タララ)
 サルスエラ
 クプレ

第5章 舞台芸術

●スペインが舞台のオペラ10選
 フィガロの結婚(モーツァルト)
 ドン・ジョヴァンニ(モーツァルト)
 フィデリオ(ベートーヴェン)
 セビリャの理髪師(ロッシーニ)
 愛の妙薬(ドニゼッティ)
 イル・トロヴァトーレ(ヴェルディ)
 運命の力(ヴェルディ)
 カルメン(ビゼー)
 パルジファル(ワーグナー)
 スペインの時(ラヴェル)

●スペイン・オペラとサルスエラ10選
[オペラ]
 テルエルの恋人たち(ブレトン)
 ラ・ドロレス(ブレトン)
 はかなき人生(ファリャ)
 ゴィエスカス(グラナドス)
 アマヤ(グリティ)

[サルスエラ]
 ラバピエスの理髪師(バルビエリ)
 ラ・グラン・ビア(チュエカ)
 パロマの宵祭り(ブレトン)
 ドニャ・フランシスキータ(ビベス)
 ルイサ・フェルナンダ(モレノ゠トローバ)

第6章 文化と都市

●芸術様式と時代
 モサラベ
 ムデハル
 ゴジェスコ、マヒスモ
 ムダルニズマ
 カスティシスモ

●スペイン文学史概観
 カトリック神秘主義
 黄金世紀に活躍した詩人、作家たち
 大ベストセラー、『ドン・キホーテ』
 現代詩の出発点、グスタボ・ベッケル
 98年の世代
 14年の世代(ノベセンティスモ)
 27年の世代

●10都市 音楽散歩
 マドリード
 アランフエス
 コルドバ
 グラナダ
 セビリャ
 カディス
 バルセロナ
 バレンシア
 ドノスティア(サン・セバスティアン)
 サンティアゴ・デ・コンポステラ

コラム

 基礎用語ミニ知識1
 基礎用語ミニ知識2
 クロード・ドビュッシーとスペイン
 モーリス・ラヴェルとスペイン
 カナ表記における音引きの有無について
 おすすめ映画・映像作品DVD15選

 あとがき

 スペイン語発音ミニガイド
 参考文献一覧
 索引

前書きなど

まえがき

 スペイン音楽と出会ったのは、一九九〇年代初頭のこと。フランスの音楽講習会で、コンセルヴァトワールの学生たちが弾いていた強烈で個性的な曲、それが《ファンタシア・ベティカ》だった。それまで耳にしたことのない響きとエネルギーに充ちた音楽に圧倒され、弾いていた子に「それ、誰の曲?」と尋ねたら、「ドゥ・ファヤ」と返ってきた。ドゥファヤ……? 現代の作曲家なのかしら、と思って楽譜の表紙をちらっと見たら、「デ・ファリャ」とあった。「ドゥ・ファヤ」というのは、フランス語読みだったのだ。フランスの音楽専門教育の現場では、スペイン音楽がドイツやフランスの音楽と同等の地位を獲得している︱当時の私には、そのことも新鮮に思えた。
 帰国後、さっそく楽譜を入手して弾きこんだ。それまでにも、アルベニスの小品を自己流で演奏してみたことはあったけれど、本格的に取り組んだのはこの《ファンタシア・ベティカ》が初めてだった。自由に解き放たれていながら、どこかで厳しく律するものがあるアンダルシア的な世界、その核に近づきたいともがきつつ、人生最初のリサイタルをこの曲で締めくくることに迷いはなかった。四年後スペインに住むことになるなど知る由もない、一九九五年のことである。
 でも本当は、“スペインの音”にはずっと以前から魅せられていた。フラメンコの、胸の底から感情をしぼりだすようなカンテ、ギターの鮮やかな爪弾きや決然としたかき鳴らし、規則性のなかで本能的に刻まれるかのようなリズム……それらを聴くとなぜ、どうしようもなく胸が騒ぐのだろう、といつも不思議に思っていた。
 やがてさまざまな出会いに導かれてスペインに渡り、寝ても覚めてもスペイン音楽漬けの日々を送るうちに、その謎が解けた気がした。フラメンコの音楽は、かつて自分がマグマのように内に溜めながら持て余していた何かと共鳴していたのだ。スペインでの生活は、それを自然に噴出させてくれた。音楽も演奏も、その“生活”の延長線上にあるものとなった。
 そして無我夢中の数年が過ぎた頃、気づけばバッハもモーツァルトもベートーヴェンもショパンも私のなかで人間的な存在へと生まれ変わっていて、彼らの音楽もより身近に、よりいとおしく感じられるようになっていたのだった。
 そんな不思議な力を、スペインの音楽はもっているように思う。それを育んだのはいうまでもなく、変化に富んだ気候風土であり、複雑かつ劇的な歴史であり、その歴史を創ってきた人々だ。スペインの音楽を知ろうとするなら否応なく、スペインという国そのものを知ることにつながる。その世界は広く、奥深いが、本書がその探検のささやかな道標となれることを願ってやまない。

著者プロフィール

下山 静香  (シモヤマ シズカ)  (

ピアニスト、執筆家。
桐朋学園大学卒。1999年度文化庁芸術家在外研修員(スペイン)。
リサイタルや録音、内外演奏家との共演といった演奏活動のほか、TV・ラジオへの出演、執筆、朗読など多彩な活動を展開。ソロCDは13枚。JML音楽研究所で「スペイン音楽演奏講座」開講中。
単著『裸足のピアニスト』、編著書『マドリードとカスティーリャを知るための60章』、訳書『サンティアゴ巡礼の歴史』ほか。
日本スペインピアノ音楽学会理事。

上記内容は本書刊行時のものです。