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アートワーカーズ
制作と労働をめぐる芸術家たちの社会実践
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2024年3月26日
- 登録日
- 2024年1月24日
- 最終更新日
- 2024年3月26日
紹介
混乱の時代、芸術はいかに社会に応答しうるか?
ベトナム反戦運動、フェミニズム、反人種差別運動、美術制度批判……
1960年代アメリカで、自らを芸術労働者(アートワーカーズ)と定義することによって
アクションを起こしたアーティスト・批評家たちの格闘の記録を鮮やかに描き出す
ベトナム反戦運動を筆頭に、フェミニズム運動、ブラックパワー運動、ゲイ解放運動、大規模なストライキなど、政治的・社会的な運動が巻き起こった騒乱の1960–70年代アメリカ。美術界では、「アートワーカー」という集団的アイデンティティが生まれつつあった──。
芸術に関わるすべての行為を〈労働〉と捉えたアートワーカーたちは、芸術作品/仕事(アートワーク)の意味を拡張し、ベトナム戦争時代の社会不安に立ち向かう。1969年に設立された「アートワーカーズ連合」や、翌年に同連合から派生した「レイシズム、戦争、抑圧に抵抗するニューヨーク・アート・ストライキ」のアクティビズム的な熱を帯びた活動は、ミニマルアートやコンセプチュアルアートなど、制度としての芸術に異議を唱える動向と密接に関係しながら発展していく。しかし、内部に多くの矛盾や葛藤を抱えたその活動は短命に終わってもいる。
本書では、ミニマルな作品によって「水平化」を目論んだカール・アンドレ、ブルーカラー労働者との同一化を夢想したロバート・モリス、批評や小説の執筆、キュレーションという「労働」を通してフェミニズムに接近したルーシー・リパード、そして情報を提示する作品によって制度批判を行ったハンス・ハーケという4人の作品や活動を徹底的に掘り下げるケーススタディから、アートワーカーたちによる社会への関与の実相を明らかにする。
また日本語版では、読者に現代の問題として議論してもらえるきっかけとなるよう、各章に専門家による解題を付け加えた。
芸術はいかに世界と関わりうるのか? 作品という枠組みを超えて、アーティストはいかに自らの態度を表明できるのか? 今日の社会において真の連帯は可能なのか? アートワーカーたちのラディカルな実践は、半世紀以上の時を経てなお新鮮な問いを発し続けている。
目次
日本語版への序文
プロローグ
ラディカルプラクティスに向けて│ベトナム戦争時代
1 アーティストからアートワーカーへ
連合のポリティクス│アート対ワーク│一九六〇年代後半から七〇年代初期におけるアメリカの労働│ポスト工業化社会における職業化
【解題】 「境界」をめぐるアーティストたちの闘争──AWC解説 笹島秀晃
2 カール・アンドレの労働倫理
レンガ積み│ミニマリズムの倫理的土壌│アンドレとアートワーカーズ連合│物質を問題にする/問題を物質にする│戦中のミニマリズム
【解題】 カール・アンドレの階級闘争 沢山遼
3 ロバート・モリスのアート・ストライキ
仕事/作品ワークとしての展覧会│スケールの価値│アーティストと労働者、労働者としてのアーティスト│プロセス│デトロイトと建設労働者/ヘルメット集団ハードハット│ストライキ│勤務時間中のモリス、勤務時間外のモリス
【解題】 ワーカーとしてのロバート・モリス──「脱物質化」のジレンマのなかで 鵜尾佳奈
4 ルーシー・リパードのフェミニスト労働
女性たちの仕事│アルゼンチン訪問│三つの反戦展│アートについて/として執筆する女性たち│抗議を工芸クラフトする
【解題】 個人的なこと、集団的なこと、政治的なこと──執筆家ライター/活動家アクティビストとしてのルーシー・リパード 井上絵美子
「挑発」としての批評とアクティビズム 浜崎史菜
5 ハンス・ハーケの事務仕事ペーパーワーク
《ニュース》│AWCとコンセプチュアルアート──美術館を脱中心化する│情報インフォメーション│ジャーナリズム│プロパガンダ
【解題】 制度批評のありか──ハンス・ハーケと情報マネジメントの芸術労働 勝俣涼
エピローグ
謝辞
訳者あとがき
註
索引
著者略歴/訳者略歴/解題執筆者略歴/註訳者略歴
上記内容は本書刊行時のものです。