版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
ヘンリー五世 石原 孝哉(著) - 明石書店
.
【利用可】

書店員向け情報 HELP

書店注文情報

注文サイト:

在庫ステータス

在庫あり

取引情報

直接取引:なし

出版社への相談

店頭での販促・拡材・イベントのご相談がありましたらお気軽にご連絡ください。

ヘンリー五世 (ヘンリーゴセイ) 万人に愛された王か、冷酷な侵略者か (バンニンニアイサレタオウカレイコクナシンリャクシャカ)

このエントリーをはてなブックマークに追加
発行:明石書店
四六判
340ページ
上製
価格 3,800円+税
ISBN
978-4-7503-4825-4   COPY
ISBN 13
9784750348254   COPY
ISBN 10h
4-7503-4825-2   COPY
ISBN 10
4750348252   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0323  
0:一般 3:全集・双書 23:伝記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年5月31日
書店発売日
登録日
2019年5月17日
最終更新日
2019年6月7日
このエントリーをはてなブックマークに追加

紹介

戦争で仏から領土を奪還した英雄として今も英国で人気の高いヘンリー五世。だが、そのイメージはシェイクスピアの作品によって作られたものではないか。中世の歴史劇がその後の英国の歴史観に与えた影響の大きさを、仏側の史料も駆使して明らかにする労作。

目次

プロローグ
 ヘンリー五世関連地図(15世紀頃のイングランド周辺)

第1章 少年時代と放蕩息子伝説
 シェイクスピアの描くヘンリー五世
 歴史が伝える少年時代のハル
 母メアリーの波乱万丈
 文武両道を仕込まれた少年時代
 試練のとき
 ▼コラム1 音楽家ヘンリー

第2章 皇太子となったハル
 13歳のハル、父の代理として前線に
 シェイクスピアと史実の違い
 騎士道の華、それとも恥ずべき卑怯者?
 史実は戯曲よりも奇なり
 数奇な運命
 その後のハル
 ▼コラム2 頬にささった矢

第3章 皇太子ハルの放蕩の秘密
 政争の真っただ中へ
 野心?それとも責任感?
 フランス外交をめぐる国王との対立
 対立の激化
 大逆転――ハル一派粛清される
 ハルの反撃
 君子豹変して模範的な息子に変身
 フランス外交事件は無頼伝説に置き換わる――シェイクスピア
 無頼伝説の系譜
 諸悪の根源はエドワード・ホール
 無頼伝説誕生の諸要因
 放蕩息子の説話
 ▼コラム3 キングズ・イングリッシュ

第4章 ヘンリー四世の死と嵐の船出
 シェイクスピアが描く王冠持ち去り事件
 死に至る病は神の祟り
 聖リチャードの殉教
 ヘンリー四世の死
 王冠持ち去り事件の真相
 嵐の中の船出――ヘンリー五世の戴冠
 鹿を捕まえる

第5章 ロラード派との対立とフォールスタッフの誕生
 ウィクリフの信奉者
 シェイクスピアのフォールスタッフ
 オールドカースル、フォールスタッフと改名の経緯
 歴史上のサー・ジョン・オールドカースル
 シェイクスピアのフォールスタッフとオールドカースル
 フォールスタッフのもう一人のモデル

第6章 フランス侵攻計画
 サリカ法
 テニス・ボールの贈り物
 テニス・ボール事件の真相
 周到なる準備
 虎の尾を踏む
 イングランド軍の集結

第7章 サウサンプトン陰謀事件
 国王暗殺計画
 歴史に見る3人の反逆者
 青天の霹靂
 マーチ伯の裏切り
 サウサンプトン事件の残したもの

第8章 百年戦争の再開
 フランスへ
 アルフルールの包囲戦
 アルフルールの陥落
 一難去ってまた一難
 王太子との一騎打ち
 渡河地点を巡る攻防
 平野を埋め尽くす大軍

第9章 決戦アジンコート
 シェイクスピアの名場面と史実の決戦前夜
 運命を神に委ねた英軍――勝利の夢に酔いしれた仏軍
 ヘンリーの賭け
 死に物狂いの白兵戦
 アランソン公、ヘンリーの王冠を叩き落とす
 「ヘンリーの大虐殺」
 犯罪それとも英断
 戦い済んで陽が落ちて
 勝利は神の審判
 死んだ者と生き残った者
 ▼コラム4 幽囚の詩人、オルレアン公シャルル

第10章 ノルマンディーの占領
 アルフルールの孤立
 再びフランスへ
 カーンの包囲戦
 ヘンリー、皆殺しを命じる
 ブルゴーニュ派のパリ占拠
 ルーアンの攻防
 ルーアンの陥落
 和平交渉
 ブルゴーニュ公ジャンの暗殺
 トロワ条約の締結とヘンリーの結婚
 王太子派の要塞都市を攻撃
 パリ入城
 ▼コラム5 発見されたヘンリー五世の軍船
 ▼コラム6 悪女イザボー

第11章 ヘンリー五世の死
 イングランドへの帰国
 フランスからの悲報
 パリ救援に
 病を押してブルゴーニュ救援に
 ヘンリー五世の死

第12章 ヘンリー五世像の変遷
 百年戦争の終結
 シェイクスピアの歴史観
 テューダー史観
 ヘンリー五世解釈の変遷
 ▼コラム7 ジャンヌ・ダルクは魔女?

 エピローグ

 あとがき

 注
 参考文献
 図版出典
 索引(地名・事項/人名)

前書きなど

プロローグ

 ランカスター王家の二代目の国王ヘンリー五世(在位1413~22)は、宿敵フランスを打ち破った武勇の誉れ高き理想の王として、今でもイギリス人の間で人気が高い。若いころはハルの愛称で呼ばれ、無頼の仲間と交流するなど放蕩の限りを尽くしたが、父の後を継いで王となるや、善政を敷き、フランスに侵攻して、アジンコートの戦いで大勝利し、自らをフランス王シャルル六世(在位1380~1422)の後継者として認めさせた。その人間的な魅力と華々しい武功ゆえに、ヘンリー五世は「万人に愛された国王」の別名を持つに至る。イギリスが外国の脅威にさらされると、人々は吸い寄せられるようにその墓に詣で、『ヘンリー五世』を上演する劇場は人々で埋め尽くされる。ヘンリー五世はイギリス人にとって愛国心と同義語なのである。
これは大多数のイギリス人が思い描いているヘンリー五世像であるが、このイメージは歴史上のヘンリー五世の実像とはかなりかけ離れたものである。このようなイメージが確立した背景には、シェイクスピア劇に登場するヘンリー五世の影響を無視することはできない。

 (…中略…)

 本書では、イギリス人の愛国心の頂点を描いた『ヘンリー五世』を中心に、侵略されたフランス側の資料も適宜参考にしつつ、歴史と文学の狭間で揺れ動くヘンリー五世とはどのような人物であったのか、その実像に迫ってみたい。

著者プロフィール

石原 孝哉  (イシハラ コウサイ)  (

駒澤大学名誉教授、日本ペンクラブ会員
著書:『悪王リチャード三世の素顔』(丸善)、『幽霊のいる英国史』(集英社)、『シェイクスピアと超自然』(南雲堂)
共編著書:『イギリス文学を旅する60章』、『ロンドンを旅する60章』(以上、明石書店)、『イギリス文学の旅』、『イギリス文学の旅Ⅱ』、『ミステリーの都ロンドン』、『ロンドン・パブ物語』、『イギリス大聖堂・歴史の旅』、『ロンドン歴史物語』、『イギリス田園物語』(以上、丸善)、『イギリスの四季』、『田園のイングランド――歴史と文学でめぐる四十八景』(以上、彩流社)、『イギリス検定』(南雲堂フェニックス)、『イギリス人の故郷』、『ロンドン歴史の横道』、『イギリスの田舎町』、『素顔のスペイン』(以上、三修社)
共著書:『イギリスの歴史を知るための60章』、『ケルトを知るための65章』(以上、明石書店)、『南スペイン・アンダルシアの風景』、『世界の古書店』(以上、丸善)、『ロンドン事典』(大修館)、『シェイクスピア大事典』(日本図書センター)、『亡霊のイギリス文学――豊饒なる空間』(国文社)、『栴檀の光』(金星堂)、『シェイクスピアの四季』(篠崎書林)
共訳書:『シェイクスピア喜劇の世界』、『ノースロップ・フライのシェイクスピア講義』(以上、三修社)、『同一性の寓話』(法政大学出版局)、『煉獄の火輪』(オセアニア出版)

上記内容は本書刊行時のものです。