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アメリカ 「帝国」の中の反帝国主義
トランスナショナルな視点からの米国史
原書: Empire's Twin: U.S. Anti-imperialism from the Founding Era to the Age of Terrorism
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年2月
- 書店発売日
- 2018年2月28日
- 登録日
- 2018年2月23日
- 最終更新日
- 2018年3月6日
書評掲載情報
2018-04-07 |
朝日新聞
朝刊 評者: 西崎文子(東京大学教授・アメリカ政治外交史) |
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紹介
今や世界唯一の覇者と言われるアメリカには、建国以来、欧州列強国の植民地主義に反対する反帝国主義が存在しており、以降、反帝国主義は帝国主義と双子の関係にあった。現代アメリカの対外介入と一国主義との関係の考察にも重要な視点を提供する一冊。
目次
謝辞
日本語版への序文[イアン・ティレル]
凡例
序章 アメリカ反帝国主義の研究史[イアン・ティレル、ジェイ・セクストン]
第Ⅰ部 19世紀における征服者と反植民地主義
第1章 初期アメリカにおける帝国主義とナショナリズム[ピーター・S・オヌーフ]
第2章 帝国と植民地支配に抵抗するアメリカ先住民[ジェフリー・オスラー]
第3章 南北戦争期における「アメリカ独立宣言の帝国主義」[ジェイ・セクストン]
第Ⅱ部 反帝国主義と新たなアメリカ帝国
第5章 アメリカの反帝国主義とメキシコ革命[アラン・ナイト]
第6章 反帝国主義、伝道活動、そしてキング=クレーン委員会[ウサマ・マクディシ]
第Ⅲ部 反帝国主義におけるその範囲と限界
第7章 ウィルソン時代のグローバルな反帝国主義[エレツ・マネラ]
第8章 フェミニスト研究史、反帝国主義、脱植民地化[パトリシア・A・シェクター]
第9章 資源利用、環境保全、反帝国主義の環境的限界、1890~1930年頃[イアン・ティレル]
第Ⅳ部 アメリカ帝国の時代における反帝国主義
第10章 冷戦初期におけるアメリカ反帝国主義の推進[ローラ・A・ベルモンテ]
第11章 ヴェトナム戦争時代における支配階級の反帝国主義[ロバート・バザンコ]
第12章 ポストコロニアル世界におけるアメリカ反帝国主義の行方[イアン・ティレル、ジェイ・セクストン]
注
索引
参考文献
訳者あとがき
執筆者・訳者紹介
前書きなど
訳者あとがき
本書は、Empire’s Twin: U.S. Anti-imperialism from the Founding Era to the Age of Terrorism (The United States in the World), edited by Ian Tyrrell and Jay Sexton (Ithaca, NY: Cornell University Press, 2015) の全訳であり、アメリカ地域研究における最前線の一端を紹介することを目的に出版するものである。今回の翻訳出版の契機は、本書の主たる編著者イアン・ティレルの著書の翻訳書(藤本ほか訳)『トランスナショナル・ネーション――アメリカ合衆国の歴史』(明石書店、2010年)〔原著:Transnational Nation: United States History in Global Perspective since 1789 (New York: Palgrave Macmillan, 2007)〕が初版第4刷までに至り、現代日本社会において彼の歴史観が広く受け入れられたことによる。
(…中略…)
アメリカ反帝国主義の一表象として、「反米」という言葉が本書で幾度となく言及されている。一般的に「反米」と言えば、アメリカ本土以外の地域におけるアメリカへの抵抗運動を連想するが、本書では、それらの地域(中東、プエルトリコ、フィリピン、メキシコなど)における「反米」感情を含みつつ、アメリカ国内において、連邦政府に反旗を翻したアメリカ先住民や南北戦争時の南部諸州の行動も反帝国主義としてとり上げられており、これらも一種の「反米」運動として理解することができる。以上のような国内の事象はもちろんのこと、海外の「反米」運動も、アメリカ史における反帝国主義の系譜の中に位置づけられて論じられる。
あえて現代日本との関連を言えば、北朝鮮問題のような国際紛争において、アメリカ政府と歩調を合わせる日本政府の姿勢を考える上で、本書のアメリカ反帝国主義および「反米」思想についての研究は我々に何らかの示唆を与えるであろう。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。