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琉球史文化論 池宮 正治(著) - 笠間書院
.
池宮正治著作選集3

琉球史文化論

発行:笠間書院
A5判
496ページ
上製
定価 12,000円+税
ISBN
978-4-305-60053-0
Cコード
C0095
一般 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月
2015年1月
書店発売日
登録日
2014年11月6日
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書評掲載情報

2015-03-08 朝日新聞

紹介

琉球と日本、その位置と意義に果敢に取り組んだ軌跡

戦後の琉球文学・文化研究を牽引した、
琉球大学名誉教授・池宮正治の厖大かつ
多岐に渡る仕事を、内容別に収録するシリーズ。

琉球が統一国家となる三山統一の神格化を疑い、
通説を覆す論を提示。首里城という空間や来歴、
対中国関係、王権をめぐる儀礼、祭祀、服飾や、
和文学とヤマトの文学のかかわりなど、
著者により問題群が開拓された、19本の論文と
2本のエッセイを収録。

【推薦】
古橋信孝(武蔵大学名誉教授)
狩俣恵一(沖縄国際大学副学長)
豊見山和行(琉球大学教授)

【全三巻の著作集に示される池宮の学問の広さと研究論文の質量は、「沖縄学」研究の先達、伊波普猷や東恩納寛惇、仲原善忠の研究に連なるものである。池宮の研究は、これらの「沖縄学」研究の先達の研究の一部を、あるいは多くを深化させている。(中略)すなわち、現在到達した琉球文学研究、琉球文化研究の水準が示されているといえる。......本書「『池宮正治著作選集』を編集するにあたって」(島村幸一)より】

【著者の文章を読むたびに、常に「お前はどうなのだ」とその鋭いまなざしに射すくめられる思いがする。著者の視線の向こうには、確たる輪郭をそなえた琉球・沖縄の像がくっきりと結ばれていることを感じさせる。それはいつも背筋を伸ばし凛とした風格を漂わせる著者の風貌ともかさなり、ゆらぎがない。後続の我々はその像をいかに引き継ぎ、あらたな像を描き出すことができるか、本書はそうした不断の問いかけの得難い道しるべとしてあり続けるに違いない。......本書3巻「解説」(小峯和明)より】

目次

口絵
目次
系図

Ⅰ 歴史叙述・説話伝承論

第一章 琉球の歴史叙述--『中山世鑑』から『球陽』へ
第二章 歴史と説話の間--語られる歴史
第三章 漂流と大魚の救助説話--『球陽』を中心に--

Ⅱ 歴史文化論

第一章 王朝の文芸--首里城と城下の面影--
第二章 王府の祭祀と信仰
第三章 琉球王府の朝貢と進貢
第四章 上表渡しと勅旨迎えの儀式
第五章 渡唐船の準備と儀礼
第六章 王と王権の一側面を考える--首里城における倉庫を意味する施設
第七章 中国皇帝の御筆扁額と首里城
第八章 琉球国王の赤きみけし--唐衣裳--
第九章 琉球服飾史の課題
第一〇章 尚寧王の世子たち

Ⅲ 和文学論

第一章 和文学の流れ
第二章 本土文芸の受容
第三章 王城朝薫の和歌和文--生誕三百年によせて
第四章 平敷屋朝敏研究の現在
第五章 明治維新慶賀使と和歌
第六章 『喜安日記』解説

Ⅳ その他

第一章 沖縄から来た"留学生"
第二章 仲宗根先生と私
   
初出一覧
『池宮正治著作選集』を編集するにあたって 島村幸一
解説 小峯和明
池宮正治著作・論文目録 島村幸一・綱川恵美
索引

前書きなど

推薦文公開

◆池宮正治著作選集1
今後の『おもろさうし』の研究はここから始まる

 琉球は日本語文化圏にある。しかし大和朝廷以来の歴史において、薩摩による琉球支配を除けば、日本に組み込まれたのは近代からだった。琉球は古代、中世と独自の文化を形成していったのである。
 本巻の中心に据えられている『おもろさうし』はその独自に展開した日本語の文学の、日本とは異なるさまをみせてくれている。それは日本語の文学の別の可能性を思わせるにじゅうぶんだ。
 池宮正治氏の「おもろ」論の全貌がここに納められているが、氏の探求は、従来しばしば琉球文学が古代日本の文学に比定されてきたようなものとは異なっている。氏の資料を科学的にみることが必然的に導いたことだ。いうならば氏は歴史化する目をもっていた。
 そこにみえてくる『おもろさうし』の歌は古代のものというより、民間に伝承されてきた古謡とは異なるきわめて特殊な宮廷の歌謡である。しかも「おもろ」は古くは「御唄」と記されており、「神歌」と記されるのは一七〇〇年以降という。われわれが一般的な概念としている「うた」という言い方はむしろ特殊なものかもしれないわけだ。
 今後の『おもろさうし』の研究はここから始まる以外考えられない。それは「おもろ」論だけでなく、琉球の文学全体にも展開していくだろうし、また日本語の文学へ新たな視角を与えてくれるに違いない。
古橋信孝(武蔵大学名誉教授)

◆池宮正治著作選集2
新見に満ちた本格的な琉球芸能論

 琉球・沖縄の芸能は、①王府の「御冠船踊り」の芸能、②村々の民俗芸能、③琉球王国消滅(一八七九年)後、那覇を中心に営業した沖縄芝居の芸能に分けられる。そして、それらの舞台芸能は、琉球音階による三線と八八八六音の琉歌を基盤にした舞踊・組踊等であり、冊封使を歓待する「御冠船踊り」を中心に継承・展開してきた。
 おかげで沖縄は、古典芸能・民俗芸能・商業芸能と多様な芸能を継承してきたが、従来の琉球芸能の研究は、民俗学や文学論的な研究が多く、伝聞口承資料をそのまま記述する非科学的な芸能論が横行してきたように思える。
 本書では、「琉球芸能を御冠船芸能という以上は、王府資料を駆使することが捷径であるはずだ。」と著者の立場を明快に示し、「近世琉球には専用の劇場はなく、専門の俳優や芸能者もいなかった。組踊は当初から王府管掌の芸能として出発し、王府より任命された踊奉行という官僚が、作演出あるいは全体の制作をも兼務したのである。」という観点から、文献資料を駆使した新見に満ちた本格的な琉球芸能論を展開している。
 著者は、プロの芸能家不在の近世琉球社会を踏まえ、式楽としての「御冠船踊り」を中心に、中国・薩摩・徳川幕府との芸能交流を重層的に論述し、加えて「三線音楽論」「民俗芸能論」「近代演劇論」など多様な角度から琉球・沖縄の芸能を論じており、研究者のみならず、実演家や一般の読者にもお薦めしたい好著である。
狩俣恵一(沖縄国際大学副学長)

◆池宮正治著作選集3
琉球文化史の豊穣な世界
                 
 戦前の伊波普猷による沖縄学の創設以来、琉球文学と琉球史は密接な関係にある。戦後、一九七二年の「日本復帰」前後に琉球史研究は大きな盛り上がりを見せ、今日に至っている。その牽引役は当時の沖縄歴史研究会に集う若手研究者たちであり、琉球文学の分野から文化史の刷新に大きく寄与してきたのが池宮正治氏である。
 池宮正治氏の研究は、『おもろさうし』や琉歌など琉球文学の基軸となる分野に止まらず、関連する芸能史や服飾史など広い意味での琉球文化史へ越境し、独自の文化史像を樹立した。例えば、『おもろさうし』や石碑文などの緻密な読解・解釈から導きだされた池宮氏の琉球王権論は、歴史学の側にも多大な影響を与えた。また、豊富な注釈を施した琉球古語辞典『混効験集』に関する研究は、難解な琉球語を理解する上で必須の研究書となっている。語彙や用語の正確な読解を土台として築きあげられた池宮氏の諸論考は、豊穣な琉球文化史像を私たちに提供してくれる。多彩な論考を収録した本著作選集は、琉球文化史を学ぶものにとっても座右の研究書となることは間違いない。
豊見山和行(琉球大学教授)

著者プロフィール

池宮 正治  (イケミヤ マサハル)  (

一九四〇年(昭和一五)生。琉球大学名誉教授。
一九六四年、早稲田大学第一文学部卒業。一九六七年、同大学大学院文学研究科修士課程修了。同年、琉球大学法文学部助手、のち教授。二〇〇六年、定年により退職。沖縄文化協会賞(一九八〇年)、伊波普猷賞(一九九六年)、東恩納寛惇賞(二〇一四年)受賞。著書に『琉球文学論』(沖縄タイムス社、一九八〇年)、『琉球文学論の方法』(三一書房、一九八二年)他多数。

島村 幸一  (シマムラ コウイチ)  (

一九五四年(昭和二九)生。琉球大学卒。法政大学大学院修士課程修了。博士(文学)。現在 立正大学文学部教授(琉球文学)。著書に『『おもろさうし』と琉球文学』(笠間書院、二〇一〇年)、『コレクション日本歌人選056 おもろさうし』(笠間書院、二〇一二年)、編著『琉球 交叉する歴史と文化』(勉誠出版、二〇一四年)他。

上記内容は本書刊行時のものです。