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このあたりで

 株式会社とはいっても、私と女房の二人だけだから、実態は個人事業。しかしそれはやりたいことしかやらない、という理想の形態。
 前回の「版元日誌」(2014・04・23.寄稿は今回で4度目)でも「維持しているだけ」と書いた。実際今でもそうであって、「いつか当てて……」などという気はさらさらない。実際今でもそうであって、「いつか当てて……」などという気はさらさらない。だいたいが、21世紀に生きる人間の身の回りに、「モノ」は少なければ少ないほどよいのです。
 けれども確実に「つくった」という手応えを味わい、この本の価値がわかるヒトはできるひと、とひそかにほくそ笑んで江湖に送り、かつ静かにロングロングセラーとなっている本はあるのでありまして、古い話で恐縮ながら今年1月11日の朝日新聞の書評欄「思い出す本 忘れない本」のコーナーで、なぎら健壱さんがウチの『川の地図辞典 江戸・東京/23区編』(2007年12月初版)を取上げてくださった。
 本体価格3800円とお安くないけれど、この本は初版後も「補訂版」(2010年3月)、「三訂版」(2012年7月)と版を重ね、いままた品切れになろうかという塩梅。450ページもあるから、改版や増刷にはいつも悩むけれど、それも嬉しい悩みではあるのです。姉妹版の『川の地図辞典 多摩東部編』(2010年4月。本体2800円)も長い間品切れ状態のままにしてきましたが、この3月末に思い切って「補訂版」をつくりました。もちろん、なぎらさんの応援が、後押しとなったのです。
 一方、昨年来近くの大学で授業を受け持つハメになり、今年4月からはまた別の大学で週3コマ担当。結果、この歳にして人生最大の繁忙期に突入して、はや3ヶ月。今日も今日とて明後日の講義の組み立てに頭を悩ませ夜は更ける。基本は学生さんにどう本を読んでもらうか、読めるようになってもらうか、本が好きになってもらうか……、というよりも、どうしたら授業中「ぼうっと聞き流さない」で、「そうなんだ!」という手応えをもってもらうか……。やっぱり基本は岩波文庫だけれど……、とまた悩みの水辺をうろうろする。
 だから「社」業はほとんど「晴耕」ならざる「雨読」状態。だいたいこれまでも「株式会社」のテイをなしていなかったじゃないか、と言われればそうであるし、そろそろ本当の個人事業に切り替えるのがよいのかな、と思っている昨今。
 2冊の本を別々の書肆から刊行し、その後書いてきたものもだいぶ溜っているけれど、それを整理して本にする時間もないしお金もない。人生の悩みから解放されるのは、つまりは最後の「涯」(ガケ)の日かと思う、「崖の専門家」(拙著『江戸の崖 東京の崖』〈講談社刊〉は5刷10000部)なのでした。
 
 
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