小泉首相はまちがっている
宮崎県の高校生が「平和的な手段によるイラクの復興支援、自衛隊や各国軍隊の撤退を呼びかける5358人の署名付き嘆願書を内閣府に提出した。小泉首相はそれに対して「この世の中、善意の人間だけで成り立っているわけじゃない。なぜ警察官が必要か、なぜ軍隊が必要か。イラクの事情を説明して、国際政治、複雑だなぁという点を、先生がもっと生徒に教えるべきですね」と述べたという。これがわれわれの国の首相だ。がっかりしてしまう。勇気と信頼を旗印にしているのじゃないのか、君は。もう少し心のこもったことを言ってくれよ。善意の人間というのはブッシュか? おまえか? 善意じゃない人間というのは誰だよ? こういう(苦しい言い訳でアメリカのイラク攻撃と自衛隊派遣を正当化しなければならない)状況をつくったのは誰だ。
小泉首相の自衛隊派遣の理由は次の3点だ。
1アメリカのイラク侵攻は正しい。そのアメリカから頼まれたのだから断れない。
2汗を流す(つまり殺されるということ)国際貢献が求められている。
3自衛隊は戦争に行くのではなく復興支援に行くのだから、日本の軍国主義復活の懸念はない。
全部まちがっている。
アメリカのイラク攻撃の「大義」=「大量破壊兵器の隠匿」が根も葉もないでっちあげだったことが明らかになり、ブッシュやパウエルがあせっているのは周知のとおり。要するに、自分の言うことを聞かない国はやっつけるんだ、理由はあとで考えればいい、ということだ。めちゃくちゃだ。そのためにイラク人が1万人近く殺され、アメリカ兵が「戦争勝利宣言のあとだけで」500人以上も殺されている。かわいそうに、彼らは何のために死なねばならなかったのだろうか? 日本の首相は言った。「まだないとわかったのではないでしょう」。悲しくなるよ。
汗を流す国際貢献なんて誰が求めているのだろう。湾岸戦争のとき日本はいっぱいお金を出したが、どこも評価してくれず肩身が狭い思いをしたという。いったいどこの国が日本の「お金だけの」支援は意味がないと言ったのか? いったいどこの国があの時日本は自衛隊を出すべきだったと言ったというのか。どこもそんなこと言っていないのだよ。勝手に日本の誇大妄想狂の連中がそう思い込んで(あるいは意図的に)吹いているだけなのだ。「お金だけで」なぜいけないのだろう? 日本は戦後そうしたから、今この繁栄と平和を享受しているんだ。勇気を持って「お金しか出さない」と言うべきだろう。それが本当の勇気だと思う。弱いやつの頭をはたくのが勇気じゃないよ。
そして、いつか日本の歴史を振り返ったとき、あれが暗い時代に逆戻りした第一歩だったと言われる、だろうな。むなしい。