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句集 時のかたみ
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2026年5月10日
- 書店発売日
- 2026年5月8日
- 登録日
- 2026年4月3日
- 最終更新日
- 2026年4月9日
紹介
半世紀の歩みを一冊に。 時を刻み、季節を慈しむ――「わかば」編集長を務める俳人・金子いづみ、初の句集。
昭和49年から令和7年まで、著者が生活の傍らで丁寧に掬い上げてきた言葉の数々。恩師・清崎敏郎氏から「暇になったらいらっしゃい」と一通の手紙を受け取り、次男の手を引いて湘南の海岸へ通い始めた頃から、俳句は著者の人生を彩り豊かなものにしてきました 。
「年の夜の桟橋濡れてをりにけり」 「海老網の干してありたる初景色」
日常のふとした瞬間に宿る叙情、家族との暮らし、そして旅先での感動。表紙に山口マオ氏の装画が箔押しされた上製本は、まさに人生の「かたみ」として手元に置いておきたくなるような、静かな詩情を湛えています 。研ぎ澄まされた感性で捉えた季節の息吹。 全840句に込められた「時のかたみ」を、ぜひお手元でお楽しみください 。
著者略歴:金子いづみ。昭和23年東京生。慶大俳句研究会にて清崎敏郎・楠本憲吉に師事。夜長会、青胡桃句会、湘南若葉会で活動。昭和56年、富安風生が創刊した俳句結社「若葉」入会。平成 22年艸魚賞受賞。「若葉」同人、俳人協会会員。令和6年「わかば」編集長に就任。
目次
風光る 昭和49年~59年 5
薔薇芽ぐむ 昭和60年~平成10年 13
桐の花 平成11年~14年 21
菖蒲湯 平成15年~19年 53
夕暮暑 平成20年~24年 103
小鳥来る 平成25年~29年 163
小春 平成30年~令和4年 223
初景色 令和5年~7年
あとがき 302
前書きなど
あとがき
学生時代からの恩師清崎敏郎先生から、「暇になったらいらっしゃい」とお便りをいただいた。次男の手を引いて、句会に出席するようになったのは、辻堂海岸での吟行句会湘南若葉であった。それから次男は幼稚園へ上がり、いささか時間にも余裕が生まれ辻堂海岸へ通うようになった。
浜に佇ち果てしない海を眺めていると遠い遠い祖先の記憶、海境がおぼろげな形をともなって、意識の底に浮かび上がってくるような気がした。
「妣が国」への憧憬に衝き動かされて句を作っているような思いがあった。
三好達治は、その詩「郷愁」の中で、「海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がゐる」とうたっている。
風生先生におめもじは適わなかったが御選はいただいた。清崎敏郎先生、鈴木貞雄先生と、「若葉」三代の師恩はまことに深い。句友に恵まれ、句会に恵まれ、俳句は私の人生を彩豊かなものにしてくれている。
俳句が生涯に亙っての趣味になるきっかけは、今は亡き先輩の関谷正孝さんに入学早々俳句研究会へのお誘いをいただいたことである。俳縁とはつくづく有り難いと思う。
句集『時のかたみ』の上梓の話は降って湧いたようなものであった。制作の前段を一手に引き受けてくれた夫金子中一、仲介の労を取って下さった内田喜久司氏へ心より感謝申し上げる。
筆者は、人にはあまり言わないのだが、実は猫が好きである。どんな猫でも好きだ。猫に命を救われたこともある。その意を汲んで下さり、装画を担当された山口マオ氏およびブックデザインのアレマ、様々な要望を受けとめ出版してくださった羅針舎に厚くお礼申し上げたい。そして、泉下の清崎先生にこの句集を捧げたく思っている。
金子いづみ
版元から一言
「暇になったらいらっしゃい」。恩師・清崎敏郎の言葉に導かれ、育児の傍ら湘南の海岸で一歩を踏み出した著者の句業は、いつしか半世紀の時を刻んだ。平成22年には、その峻烈な写生眼が認められ、伝統ある結社「若葉」における最高賞・艸魚賞を受賞。長年同結社の屋台骨を支え、現在は「わかば」編集長として後進を導く著者の、満を持しての第一句集である。山口マオの装画を箔押しした端正なクロス装の佇まいは、人生の「かたみ」と呼ぶにふさわしい。熟成された季節の息吹を、ぜひその手で確かめていただきたい。
上記内容は本書刊行時のものです。
