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ネルヴァルの新生
ファンタスムとしてのエクリチュールと自伝的エクリチュール
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2026年2月14日
- 書店発売日
- 2026年2月4日
- 登録日
- 2025年9月2日
- 最終更新日
- 2026年1月18日
紹介
「原宏之とネルヴァルについて語りあう機会を持てなかったことが口惜しくてならない」。ネルヴァル研究の第一人者である野崎歓が語る本書は、原が1996年に著した修士論文である。テーマは、生きることが書くことにほかならなかった19世紀の詩人、ジェラール・ド・ネルヴァルの作品と人生。記憶とエクリチュールの関係について、実証的な文学研究の手法により作品群、資料を精読して仮説の証明を試み、哲学・思想の立場からネルヴァル晩年の人生と作品の関係を分析した力作。難解と言われる絶筆『オーレリア』を主たる対象とした若き著者の、熱情溢れるひたむきな学究の書。
目次
序論 ファンタスムから自伝へ
一 『オーレリア』読解のために
ⅰ 『オーレリア』研究の検討
ⅱ 『オーレリア』の声
ⅲ 「初稿」の問題
A 初稿
B 「初稿」説の信憑性について、その否定
C 自伝的エクリチュールへ
D 「初稿」が語るもの
二 ネルヴァルの「新生」を考えるために
ⅰ ネルヴァルのエクリチュール
ⅱ 断絶と新生(バルトの老いの文学論)
ⅲ 文学の共同体
本論
第1章 ファンタスムとエクリチュール
ⅰ エクリチュールの源泉(「花」と「星」)
ⅱ エクリチュールの誓い
ⅲ 「母」(喪の病について)
ⅳ ナルシシスム
ⅴ ファンタスムとしてのエクリチュール/記念碑としてのエクリチュール
A ファンタスムとエクリチュール
B ファンタスム(知覚同一性)
C 想起とエクリチュール
D クリステヴァのメランコリー論
E 自伝的エクリチュール(クリステヴァの記憶論からデリダの書物論へ)
ⅵ 記憶とエクリチュール
第2章 エクリチュールのシナリオ
ⅰ 詩人の城
ⅱ 詩人の養成(恋と読書)
ⅲ 失われた文字/手紙
ⅳ 円環の時間
ⅴ 新生の計画「シルヴィ」
第3章 ネルヴァルの新生
ⅰ 黒い太陽
ⅱ 廃嫡者(新生の赤いエクリチュール)
ⅲ 断絶
ⅳ 「作品」に向けて
ⅴ 執筆の動機について
第4章 『オーレリア』1 構成の問題
ⅰ フィクションとしての作者
ⅱ 断絶
ⅲ 分身について
ⅳ フェルマンの意見
ⅴ 自伝的エクリチュール(分離-回収され得ない「わたし」)
ⅵ レエクリチュール
ⅶ 体験の一般化
ⅷ イロニー
第5章 『オーレリア』2 記念碑としての「メモラブル」
ⅰ 最後の行程
ⅱ 「作品」の遺贈としての「メモラブル」
ⅲ 「メモラブル」読解のための三つの記号
結論
ⅰ 総括(最後の行程)
ⅱ ムネモシュネーへの祈り
ⅲ 作家の死
〈引用文の日本語訳〉
Bibliographie
「作品」の高みをめざして--『オーレリア』への挑戦 野崎 歓
版元から一言
2025年に没後170年を迎えたロマン派詩人ジェラール・ド・ネルヴァルは、文学表現の美しさ、独特の作品世界で今なお読む人を魅了し続けています。全集全6巻が2003年筑摩書房より新たに出版され、2024年にはクロード・ピショワ、ミシェル・ブリックスによる『ネルヴァル伝』の翻訳が水声社より刊行されました。
そのような中、ネルヴァル研究の泰斗である野崎歓さんの「決してアクチュアリテを失っていない力作」との一言に力を得て、原の東京大学大学院総合文化研究科時代の修士論文の刊行にいたりました。
2002年発表(2025年4月新装刊)の『〈新生〉の風景--ロラン・バルト、コレージュ・ド・フランス講義』からさらに遡る1996年の著作である本書は、文学--エクリチュールへの果てしない愛をもって作家の実人生と作品の結びつき、「新生」を希求し続けた、原の原点ともいうべき学究の書です。
「ネルヴァルが最も活発に論じられた一季節の熱気に鼓舞された点において、われらは共通している」と語る野崎歓さんの、胸の高鳴りまでが感じられる解説文も必読です。
ネルヴァル最後の作品である『オーレリア』を正面からとり上げた研究は現在に至っても稀であると野崎さんは言います。『〈新生〉の風景--ロラン・バルト、コレージュ・ド・フランス講義』の姉妹本として、フランス文学、またネルヴァルの作品に親しむ多くの方がたにお届けします。
上記内容は本書刊行時のものです。

