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石川三四郎 魂の導師 大澤 正道(著) - 虹霓社
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石川三四郎 魂の導師

発行:虹霓社
B6判
234ページ
並製
価格 1,500円+税
ISBN
978-4-9909252-3-9
Cコード
C0095
一般 単行本 日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
書店発売日
登録日
2020年7月31日
最終更新日
2020年9月11日
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紹介

ーー吾等の生活は地より出で、地を耕し、地に還へる、是のみである。之を土民生活と言ふ。真の意味のデモクラシイである。地は吾等自身であるーー(石川三四郎「土民生活」)

幸徳秋水、大杉栄と並んで日本のアナキズム運動の先駆者と称されながら今や忘れられた思想家・石川三四郎。エドワード・カーペンター、エリゼ・ルクリュ、田中正造を生涯の師と仰いだ石川の思想を深化させたのは七年に及ぶ亡命先のヨーロッパでの百姓生活だった。その思想は「土民生活」に昇華し、後半生は東京郊外で農耕と共学の半農生活を実践した。戦争下にも自給自足の土民生活を続け、八十年の長き生涯を少数者として生き抜いた。
その石川が晩年に放った〝光と薫〟を一身に受けた著者が、評伝の枠を超えて著した一巻の紙碑、ここに復刻。

解説は森元斎。
「石川の思想や行動には、未だにくめども尽きぬ源泉が噴出している」(本書解説より)


*本書は1987年にリブロポートより刊行された『石川三四郎ー魂の導師ー』(大原緑峯名義)に「新版あとがき」及び「解説」を加えて復刻したものです。

目次

Ⅰ 美しい死顔
一生勉強おし/別れの日に/思い増す人/光と薫の紙碑を

Ⅱ 家を離れ、恋に破れる
利根川の産湯につかる/たらい廻しの書生生活/一波が万波を呼ぶ/永遠のペアトリーチェ

Ⅲ 十字架と社会主義
黒岩涙香の秘書として/「いささか犬王だね」/飛躍する魂ー徳富蘆花/飛躍する魂ー木下尚江/ 師田中正造と共に/十字架は生命/監獄という道場

Ⅳ 流人、ヨーロッパへ
「虚無主義者」となる/ミルソープへの巡礼/「一人前になれた!」

Ⅴ 深く、静かに土着する
西欧文明を疑う/帰国第一声/半農生活に入る/美の革命へ/「法の如く修行する」

Ⅵ 天皇と無政府主義者
昭和二十年八月十五日へ/今上天皇を擁護する/「心底を永遠に据える」

あとがき
新版あとがき
石川三四郎・年譜

[解説]大澤 正道『石川三四郎ー魂の導師ー』について/森 元斎

前書きなど

 石川は、「生活態度の革命」というエッセイを、昭和二十六[一九五一]年に書いているが、 そのなかの一節で、

 私はヨーロッパに行つて、会ふ人も会ふ人も、悉くといつてよろしいほど、単純生活、労働生活の実行者であり、純潔な修道者のやうに見えたのに驚かされた。エドワード・カアペンター、ルクリュ一族、チェルケゾフ、グラーヴ、トルトリエ、ピエロー、何れも徹底した単純生活者で、各々自らの生活に平和な自然な真実の光を湛えてゐるのであつた。特にアナルシスムを説くのでもなければ、新らしい道徳を主張するでもないが、唯だこの世俗に見られない光と薫とを身辺に放つてゐる。それだけだ。それでその身辺に及ぼす感化力は深刻なのである。(『著作集4』)

と、述べている。
 これだ、とわたしはおもう。
 石川もまた、その身辺に「この世俗に見られない光と薫とを」放つひとりであった。そして、その最後の輝きがあの美しい死顔である。
 石川の身体がなくなってしまった今、わたしたちにできることは、なんらかの形でこのような存在としての石川を、この世にとどめておくことであろう。
 石川の郷土の人たちは、彼の生まれた土地に御影石の顕彰碑を建てた。
 わたしは、 わたしなりに、一巻の紙碑を建てたい。それは、 石川がわたしたちに与えた「光と薫」を、まだ石川を知らぬ人たちに伝え、さらにはのちのちの世の人たちもまた享受しうるものとなるだろう。(本書より)

版元から一言

今や「石川三四郎」と聞いてもピンと来る方はあまりいらっしゃらないかと思います。それは、同じ平民社の幸徳秋水や大杉栄が若くして権力から抹殺されたのと違って80歳まで生き抜いたことや、自分の思想を広めることを第一に考えなかったからかもしれません。

森元斎さんが解説で書いてくださっています。「全てにおいて奇跡的なタイミングで、戦後まで生き延びた石川は、少数者であり続けた。そこに石川が人生をかけて生きた思想を見出すことができる」と。今年は、石川が百姓生活を実践した欧州亡命から帰国して100年になります。少数者になることを厭わず、後半生を〝地〟とともに生きようと半農生活を実践した「忘れられた思想家」をこの評伝で知っていただければばうれしく思います。

著者プロフィール

大澤 正道  (オオサワ マサミチ)  (

1927年名古屋市生まれ。1950年東京大学文学部哲学科卒業。在学時からアナキズムに傾倒し、日本アナキスト連盟に加盟、機関紙の編集を担当。卒業後平凡社に入社。平凡社では編集局長、出版局長、取締役を経て1986年退社。
著書に『自由と反抗の歩み』(後に『アナキズム思想史』と改題)『大杉栄研究』『忘れられぬ人々』『アはアナキストのア』など。共編著に『われらの内なる反国家』(内村剛介共編)、『虚無思想研究』、『土民の思想 大衆の中のアナキズム』、松尾邦之助『無頼記者、戦後日本を打つ 1945・巴里より敵前上陸』の編・解説など。翻訳にハーバード・リード『アナキズムの哲学』、E・H・カー『バクーニン』等。

上記内容は本書刊行時のものです。