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暴かれた中国の極秘戦略
2012年台湾乗っ取り、そして日本は…?
原書: 台湾大劫難
- 初版年月日
- 2010年8月
- 書店発売日
- 2010年7月30日
- 登録日
- 2010年7月29日
- 最終更新日
- 2010年11月10日
紹介
本書は、中国共産党政権内のさまざまな情報や、同党の会議で可決された『台湾問題解決のための政治戦略』など党内部の機密資料を基に執筆されたものである。そして描かれるのは、同党が行う暴政の本質とともに、世界が迎えようとしている未曾有の政治的危機の源泉の真相である。さらに、政治、経済、メディアや学界などを含む社会、外交や軍事と、多岐にわたって緻密に練られた、2012年に台湾を乗っ取る計画の実相について、著者は胡錦濤の発言などを活写しながら詳細に語る。こうした陰謀政治の分析によって、権謀への臨機応変の策を述べることにもなっている。そしてこの危機の前夜に、著者は自由の尊さを説くのである。
目次
*台湾編集室より
震撼すべき、想像を絶する台湾への陰謀
*著者について
*前書き
迫り来る台湾の大厄難――人類の危機と台湾の大厄難
*第一章 共産中国――理解されていない本当の中国
1 中国はすでに亡国状態にある
――中国共産党の暴政は、東洋的皇帝権の継承者なのか、
西洋の全体主義文化の現代への復活なのか
2 中国共産党の経済改革
――自由資本主義の勝利にあらず
3 中国共産党の経済発展の政治的効果
――民主化に向かうのか、全体主義を強化するのか
4 第一章結論
*第二章 二〇一二年、戦わずして台湾に勝つ
――中国共産党の対台湾謀略の最高政治戦略
1 中国共産党の台湾に対する政治戦略の確定
――理性的か非理性的か
2 胡錦濤の個人的心理要素が台湾に対する政治戦略の確定に及ぼした作用
――歴史の荒唐無稽さか人間性の荒唐無稽さか
3 中国共産党の台湾に対する策略の戦略および戦術設計
――非理性的な状況での精確な理性
4 第二章結論
*第三章 国民党を篭絡し、民進党は分裂させ、傀儡党を立ち上げよ
――中国共産党の政治統一戦線
1 国民党上層部に対する統一戦線計画
――恩讐を水に流すのか、裏切り者どもを呼び入れるのか
2 民進党に対する統一戦線計画
――陰険な心理による人間性の弱点に対する洞察
3 中国共産党を背景とした台湾社会民主党の公開結党計画
――民主の名を借りて民主を葬り去る準備
4 第三章結論
*第四章 「市場一体」を経て「政治統一」に――中国共産党の経済統一戦線
1 市場一体化と金融一体化
――経済的好機か、経済の絞首台の縄か
2 台湾商人、強権に人質を取られた一群
――利益と良識のはざまで
3 経済統一戦線の実施における謀略
――陽光の後ろの暗黒
4 第四章結論
*第五章 メディアを統制し、学者と政治和尚を飼い慣らす
――中国共産党の文化・社会統一戦線
1 メディアと出版の統制
――自由の表向きのもとで思想専制を実現する
2 知識界への浸透
――大学教授を文化下僕に手なづける
3 宗教と闇社会における統一戦線
――政治に汚染された信仰とマフィア化した政治
4 第五章結論
*第六章 現在の中国外交戦略の重点
1 外交戦略全体の調整
――台湾の首にかけられた鉄の手
2 対米外交
――政治と商人との間の利益交換
3 対日外交
――利益誘導と威嚇
4 第六章結論
*第七章 「軍事台湾攻略対応マニュアル」および統一後の台湾に対する処置
1 「軍事闘争の準備」
――微笑の後ろの鉄血の陰謀
2 統一後の台湾に対する政治法律的処置
――「まな板の上の鯉」
3 台湾社会民主党の執政
――中国共産党の国民党に対する最後の恥辱
4 第七章結論
*第八章 台湾政治の現状
1 馬英九政府の全面的投降
――愚かなのか、裏切り売国なのか
2 民進党の度量のなさ
――理想主義の凋落の悲劇
3 民衆の安逸を貪る心情
――「憂患にあるからこそ生命は全うされ、安楽にあるため死を迎える」
4 第八章結論
*第九章 台湾の絶望
1 魂なき邦は必ず没落する
――残るは永久の悲哀のみ
2 台湾政治戦略選択の第一策
――島国を超克する大英知の必要
3 台湾の戦略的選択の第二策
――決死戦の英雄的心情を必要とする
4 第九章結論
*第十章 台湾の希望
1 鄭南榕の精神
――燃え上がる台湾の魂
2 国家意志、台湾を主体とする文化価値、社会道徳の基盤および人民の自信を立て直す
――知識人と政治家の天から与えられた務め
3 中国共産党の暴政の強大と衰弱
――運命は最後に誰に微笑むか
4 第十章結論
*最終章 台湾よ、自由人たれ
*訳者後記
*解 説 石平
*登場人物紹介
*参考文献
前書きなど
現実は、しばしば誤解されたまま進んでいく。真相は、往々にして歴史的に回顧されるまでは明らかにならない。しかし、危機に対応するためには、すぐさま誤解の靄から抜け出て真相に迫ってしっかり見きわめなければならない。
この二十年来、中国に対して要領を得ない理解しかしてこなかった「中国学者」「中国問題研究者」たちは、際限なく発表される学術論証によって、経済改革により中国が自由資本主義市場経済の道を歩んでいくという巨大な嘘を散布してきた。さらに悲しむべきは、こうした嘘がかなりの程度、国際社会が中国共産党の暴政の発展の趨勢を判断する根拠となってきた。
実際、少しでも政治、法律の常識があれば、こうした嘘と同じような結論は出てこないはずだ。自由資本主義市場経済において不可欠な法的基盤の一つは、法的主体同士が法的権利において一律平等だということである。法的権利の平等が、自由資本主義市場経済の競争の公正性の前提を構成する。しかし、中国共産党の暴政のもとでは、真の法的権利の平等はありえないものだ。
法律は当然遵守されなければならない権威をまったくもっていない。すでに数千年前、叡智あるアリストテレスは法律について良法と悪法の区別を打ち出している。良法だけが国民全体の利益に有利となり、それゆえ、遵守されるべきなのである。現代法の精神に基づき、良法は「主権在民」の原則を魂としなければならず、有効な立法手続きを経てその公民全体の利益を体現することを保証しなければならない。党の暴政は一党独裁の専制政治を実施し、国家テロリズム的性質の暴力を使って、人民の政治的選択権を剥奪している。これによって法が人民の利益を体現する可能性を剥奪している。中国共産党は暴力によって国家権力を壟断することを決定した。党の暴政の法は必然的に、党の権力貴族層の意志と利益の法律形式であり、それゆえに専制の悪法である。専制の悪法は、いずれも同じような本性をもつが、それこそが特権の肯定であり、法的権利の平等の否定なのである。党の暴政においては自由資本主義市場経済を実行する法的前提である法的主体の法的権利の平等がまったく存在しないのだ。
版元から一言
◎ここがポイント
1.経済の発展がクローズアップされる中国だが、本書は容赦のない世界戦略をもつこの国の政権の姿を迫真の筆致で捉えており、日本とも関係の深いこの隣国への理解が深まるとともに、今後のアジア情勢を考えさせる。
2.本書では、中国の政権による台湾乗っ取り計画が語られているが、日本の安全保障にとって重要な台湾のありようを知ることで、今日の日本をとりまく国際環境を深く理解することにつながる。
3.本書は重厚な文体で複雑な中国の政権内部のようすを描くが、詳細な訳註を掲載し、ことに多彩な登場人物への註は人物事典としても使え、また気鋭の評論家石平氏の解説も付し、読者の理解を助ける編集となっている。
◎こんな人にお薦め
・中国の政治とその動向に関心がある人。
・台湾および中台関係の将来への関心が高い人。
・日本をめぐる国際環境や安全保障に関心がある人。
上記内容は本書刊行時のものです。