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哲学する〈父〉たちの語らい ダウン症・自閉症の〈娘〉との暮らし
- 書店発売日
- 2013年10月10日
- 登録日
- 2015年8月13日
- 最終更新日
- 2015年8月13日
紹介
誕生から親なき後まで、トイレ・入浴介助、ファッション・好きなことなど生活のエピソードから、障がいってなんなのか? 障がいの軽重って? この子の人生は? 福祉とはケアとは…を語り合う。母が語ることが多い、「障がいがある子の生活」を父親が語ることが、まずもって珍しい。ただただ「たいへん」、ただただ「がんばってます」話ではなく、日々の生活での互いの存在を、哲学する人がじっくりと、だけどやっぱりバタバタ・ちょっと首をかしげ、困ったなーと思って綴る。
娘と自分の関係、娘と社会との関係をじっくり眺めてみると、他者・社会とのかかわりがあれば、「障がい」が障がいでなくなっていく、個々の努力のみに障がいの「克服」をゆだねるのではなく、社会が「障がい」をみんなでどう取り込んでいくのかがカギなのだ、と思いいたる父たち。
障がいがある子どもをもつ親だけでなく、どう子どもとかかわったらいいか、悩んでいる人たちにも参考になる話題が満載。哲学はこむずかしいものではなく、「哲学ってこういうもんなんだ」と、哲学する楽しみも。父たちの素朴な語りに、耳を傾けてください。
目次
「障がいは重度でも軽度でも大変なのだ」――はじめに
第1章 娘の誕生
この子にとって何が幸せになるのか――試行錯誤しながら療育・保育園へ
中学途中で心障学級へ転校――おとなしかった乳児期から少しずつ戸惑いが
第2章 障がいをどう受けとめたか――湧き上がる自責の念
「心障学級」への転校をめぐってのいろいろな思い
「障がい者の愛」が生まれた、という現実を前にして――重なる思いと重ならない大きなこと
誕生時に障がいが分かっていたら
第3章 心障学級、特殊学級に通って――学校教育期間は人生のほんひととき
自閉症と診断される
特殊学級に入学して――直面する「教育」問題をどう考えるか
第4章 高校「生活」のスタート――社会とのつながり
突き刺さる世界で頑張って…ダウンを繰り返した日々
一体感に近い愛との「共感」――「過敏」は「敏感」なのだ!というプラス思考へ
他人とかかわり、頼もしくなる娘――親子関係だけでは子どもは育たない
第5章 施設に通いはじめて――成長する娘に気づくとき
心配だけど、「やってはダメ」と制限してはいけない
愛がハグをするとき――やりとりから生まれる生活の豊かさ
第6章 毎日の生活、あんなこと・こんなこと
部屋の整理整頓と「健康を保つ」ための習慣
たかが「トイレ」ということなかれ
スムースな会話にただよう「ほのぼの感」
「十年一日のごとき」の入浴風景――生活のなかに、ちょっとくらい「訓練」があってもよいと思って
人とのつながりは肌の触れ合いからはじまる
第7章 ファッションって考える?
オシャレをめぐる妻とのやりとり
スカートははかない――その理由(わけ)は?
第8章 好きなことはなに?
イベント大好き!――いろんな人とかかわる楽しみ
「イベント大好き」を支えている「能力の共同性」
散歩は省エネ、食べることに全力投球
第9章 誰もが考える親亡き後
活動の積み重ねにほのかな光を見いだす
加奈の真意をくみとり、より添ってくれる人へ―「こんな加奈ですが、どうぞよろしくお願いします」
第10章 「障がい」という言葉と「障がいを受け入れる」とは?――みなさんに考えてほしいこと
「障がい」にたいする考え・文化の貧困さ
「障がいを受け入れる」とは自分の「欠陥」を認める暴力かもしれない
*ここを話したい*
1 医療と福祉の上下意識
2 妨げられている障がい者の生活保障の充実
3 「待機」者がいて当たり前のおかしな公的福祉の仕組み
4 「あなたのため」の裏に隠されていること
5 男女共用更衣室や付添い人用トイレがあれば
上記内容は本書刊行時のものです。