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ウイン苗族村のこだま
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2026年3月30日
- 書店発売日
- 2026年6月10日
- 登録日
- 2026年5月30日
- 最終更新日
- 2026年6月3日
紹介
中国少数民族の“新しい声”──
広西・貴州省境の険しい山間に位置する烏英苗族村。外界と隔てられ昔ながらの生活を送っていた村に,2020年“双方二言語”政策の下,女性たちが標準語を学ぶための「夜間学級」が開かれる。党員・村の幹部らはミャオ語を学び,二つの言語の学びを通してこだまのように交流が生まれた。少数民族の女性たちが新たな知識を身につけ,希望を持って人生の再出発に挑んでいく実体験を取材した書。
【中国語原著『新声』を日本近世文学専攻の韓国人研究者が日本語監訳】
目次
はじめに
Ⅰ 忘れられない響き
人間味あふれる教室
桂黔(広西と貴州)の境を越えて
女子教育は要らない
山の向こうのこだま
Ⅱ 教室に集う母親たち
双方に二言語を
心中を察する
心底を表す
母親に標準語を教える
苗族娘たちの成長と歩み
苗族の歌と古詩の出会い
先生になった「生徒」
Ⅲ 新しい夢の始まり
鳥は高山を越えて飛ぶ
目に見える変化
人生の再出発
県境を越えた民宿は楽しさいっぱい
海鳴りを聴く
ウイン、世界を抱きしめる
再び甦る「空巣の村」
監訳者あとがき
前書きなど
二〇二〇年三月のある夜、ついに夜学が始まった。夫は約束どおり言葉に偽りはなかった。その日の夕食を終えると、私に家事をさせず、もういいから早く着替えて身なりを整え、教室で恥をかかぬように、と急き立てたのだ。さらに彼は、私が勉強に行くのを応援しようと、わざわざ杆洞の市まで出かけ、新しい服を買ってきてくれたのだ。その新しい服に袖を通し、家の前の坂を下っていくと、夫は戸口に立ち、灯りを照らしながら、あのいつもの人懐っこい笑顔で見送ってくれた。谷間から吹き上げてくる風はひんやりと甘く、夜空には星々が散りばめられていた。すれ違う村人たちは、皆が親しげな笑みを浮かべてくれる。その瞬間ほど心が弾んだことはなかった。私はこの感覚が好きでならなかった。
(「教室に集う母親たち」より抜粋)
上記内容は本書刊行時のものです。
