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複素関数
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2026年5月15日
- 書店発売日
- 2026年5月15日
- 登録日
- 2026年2月25日
- 最終更新日
- 2026年5月13日
紹介
理⼯数学シリーズ第12弾 『複素関数』 関数の本質を学ぶ
世界は、複素数でできている
このように⾔われると意外に思うひとも多いだろう。
複素数が織りなす複素関数は、実数関数の性質を引き継ぐが、⼀⽅で魔法のような舞踏も魅せる。
そして、われわれが扱う実数関数が、2変数(x, y)からなる複素平⾯( z=x+yi ) に広がる構造の⼀断⾯図であるという貴重な視点を与えてくれる。
目次
もくじ
はじめに ································································· 3
第1章 べき級数展開 ······················································ 9
1. 1. 複素数 9
1. 2. 複素数の関数 12
1. 2. 1. 多項式 12
1. 2. 2. 三角関数 12
1. 3.べき級数展開 13
1. 3. 1. マクローリン展開 13
1. 3. 2. テイラー展開 16
1. 4. 指数関数の級数展開 18
1. 5. 三角関数の級数展開 19
1. 6. 級数展開を利用した微分 20
1. 6. 1. 三角関数の微分 20
1. 6. 2. 指数関数の微分 21
1. 7. 級数展開を利用した積分 21
1. 8. オイラーの公式 23
1. 9. 極形式とオイラーの公式 27
第2 章 複素変数の関数 ·················································· 29
2. 1. 複素変数の2 次関数 29
2. 2. 写像 30
2. 2. 1. w = z2 のグラフ 31
2. 2. 2. 極形式 33
2. 2. 3. w = αz のグラフ 35
2. 3. 複素変数の初等関数 35
2. 3. 1. 三角関数 36
2. 3. 2. 複素指数関数 42
2. 3. 3. 対数関数 46
2. 4. 複素べき級数 49
第3 章 複素関数の微分 ·················································· 52
3. 1. コーシー・リーマンの関係式 53
3. 2. ラプラス方程式と正則関数 59
3. 2. 1. 調和関数 61
3. 2. 2. 共役関数 63
3. 3. 実数関数と複素関数の対応関係 66
第4 章 複素積分 ························································ 74
4. 1. 積分路 75
4. 2. コーシーの積分定理 78
4. 3. 円を経路とする周回積分 81
4. 4. ゼロとならない周回積分 84
4. 5. 複素積分の応用 92
4. 6. 実数積分の計算 94
4. 7. ガウス関数 100
補遺4-1 ガウス積分 105
第5 章 留数 ···························································· 108
5. 1. 複素積分の真髄 108
5. 2. 留数 111
5. 3. ローラン展開 113
5. 4. ローラン展開と留数 115
5. 5. 留数の求め方 116
5. 6. ローラン級数と位数 118
5. 7. 留数が複数ある場合 122
補遺5-1 特異点 135
A5. 1. 孤立特異点と集積特異点 135
A5. 2. 孤立特異点の分類 136
A5. 3. 分岐点 138
第6 章 複素積分の応用 ················································· 139
6. 1. 有理関数 139
6. 2. 三角関数を含んだ積分 146
6. 3. 三角関数と有理関数の組み合わせ 151
6. 4. フーリエ変換 155
6. 5. ラプラス逆変換 163
第7 章 コーシーの積分公式 ············································· 171
7. 1. 積分公式の証明 172
7. 2. グルサの公式 177
第8 章 主値積分 ······················································· 184
8. 1. コーシーの主値 184
8. 2. ディリクレ積分 185
8. 3. x = a に特異点がある場合 191
8. 4. 積分経路の自由度 194
8. 5. 複数の特異点がある場合 196
8. 6. 積分路の変更 202
第9 章 多価関数 ······················································· 204
9. 1. 多価関数とは 204
9. 2. 複素数の多価性 206
9. 3. 多価関数の特徴 208
9. 4. 分岐点 209
9. 5. 分岐点を有する関数の積分 211
9. 6. リーマン面 220
9. 7. 複数のリーマン面 222
第10 章 解析接続 ······················································ 223
10. 1. テイラー展開と定義域 223
10. 2. 複素関数の解析接続 229
10. 3. ガンマ関数の解析接続 233
おわりに ······························································ 241
前書きなど
はじめに
複素関数 (complex function) とは、文字通り複素数 z = x + yi(i は虚数単位)
を変数とする関数のことである。ただし、実数関数の延長で理解しようとすると
迷路に迷い込むことが多い。まず、複素数が2 変数関数 (x, y) の性質を有すると
いうことを理解することが基本である。
したがって、複素関数であるw = f(z) は、w (u + vi) = f (x + yi)
のように2 変数関数どうしの対応となり、それを図示するために4 次元空間が
必要となる。これは簡単ではないので、(x, y) 平面と (u, v) 平面を使って対応関
係を表現することになる。これを写像と呼んでいる。
ところで、複素数を変数とする三角関数 sin (x + yi) の意味は何かと聞かれて、
すぐに思いつくであろうか。本来、sin の引数は角度であるが、角度が複素数に
なることは有り得ない。
ここで、複素関数と実数関数の橋渡し役として登場するのが、べき級数展開
(power series expansion) である。sin 関数はべき級数に展開できる。
このとき、べき項に z = x + yi を代入すれば、sin (x + yi) の値が得られる。この
場合、べき級数展開によって複素関数は意味を持つことになる。
さらに、べき級数展開を利用すると、数学の至宝と呼ばれているオイラーの公式 (Euler’s formula) e^ix = cos x + isin x を導出することができる。
この公式は、虚数単位i を介して指数関数と三角関数を関係づける式であり、複素関数においても大活躍する。さらに、量子力学の電子波を表現する式として、現代物理の中核をなしている。
これら数学的道具を駆使しながら、本書では、複素関数が有する性質と、微積分についてまとめている。さらに、複素関数が理工系学問にどのように役立つのかも紹介している。
なかでも、複素積分には面白い性質があり、微分可能な関数である正則関数を周回積分すれば、その値が0 になるという性質がある。さらに、関数が無限大に発散する特異点を含む関数では、留数定理によって、積分することなく、複素積分の値が得られるという驚くべき性質もある。
そして、これら特徴をうまく利用すると、解法困難な実数積分を複雑な計算を経ることなく、いとも簡単に解法できるという大きな効用がある。この手法にはじめて出会うと、その神秘性に魅了されるとともに、その威力に驚嘆させられる。
本書では、この効用を体感できるように、実例とともに紹介している。
ただし、複素関数の応用で重要な等角写像については、本書では扱っていない。実は、等角写像は、流体解析などへの応用が有名であるが、コンピュータの進展とともに、数値計算で対処するのが当たり前となってきたためである。ただし、学問的にも非常に面白い分野であり、発展性もあるので、興味のある方は他書(たとえば『なるほど複素関数』村上著、海鳴社)を参照いただきたい。
本書を通して、複素関数が虚構の学問ではなく、実際に、理工系の幅広い分野
で応用される重要な学問であるということを認識していただければ幸いである。
2026 年 春
著者 村上雅人、安富律征、小林忍
版元から一言
理⼯数学シリーズ第12弾 『複素関数』 関数の本質を学ぶ
世界は、複素数でできている
ピタゴラスの「万物は数である」に登場する数は、実は、虚数であったという考え
もある。複素関数論は、関数論とも呼ばれている。
これは、複素関数を知らずして関数を語ることなかれという数学者たちの矜持にある。
本書では、複素関数と実数関数の橋渡し役となるべき級数展開の基礎に始まり、留数定理を⽤いた、難解な実数積分の解法への複素関数の応⽤、さらに関数の領域を拡張できる解析接続の⼿法などを丁寧に解説する。
関連リンク
上記内容は本書刊行時のものです。
