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戦争トラウマを語り合う
戦争の終わらない痛苦と謝罪、赦し、和解を巡って
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2026年2月13日
- 書店発売日
- 2026年2月13日
- 登録日
- 2026年1月14日
- 最終更新日
- 2026年2月10日
紹介
平和構築、癒し、交流のために重ねた対話の記録。
PTSDの日本兵家族会代表の著者と、そのメンバー、研究者、臨床心理士、ジャーナリスト、『福田村事件』作者らが多面的な語り合いで心の回復と、家族関係・国家関係の回復の可能性をあぶり出す対談集。
テーマは多岐にわたる。戦争の取り返しのつかない暴力性、元兵士のPTSD被害を隠した日本の戦後、そのケアを国家に押し付けられた家族。日本の戦争加害を語った元兵士と語りたくても語れなかった元兵士、沖縄戦、中国台湾、排他的な男社会が誘発する暴力……。
世界が日に日に悪くなるなかで、この対談集は、ひとたび戦争が起きたらどれだけ長く社会や家庭のなかに被害の影響が続くかを、語り合ったもの。そして、その被害と加害に向き合い、語り合うことが戦争を止めることにつながるという「語り合いと癒しの平和運動」を提唱する。
著者と対談者のPTSD日本兵家族会メンバーが被写体のドキュメンタリー映画、
『父と家族とわたしのこと』が2026年3月から全国順次公開される。
目次
はじめに 対話を続けること 黒井秋夫
対談1・藤岡美千代さん(PTSD日本兵の家族会)
戦争で壊された家族関係を見つめ直すー戦争PTSDだった父の「本当の姿を探す旅」と国へ求めること
対談2・市原和彦さん(PTSD日本兵の家族会)
私たちの戦争はまだ終わっていないー戦後の実態が見えてくる人ー
対談3・中村江里さん(上智大学准教授)
戦争の近現代史を問い直すー被害に偏る日本の戦争の記憶と向き合って
対談4・北村毅さん(大阪大学大学院教授)
戦争の取り返しのつかなさを取り戻すーアジアの戦争被害者に対して謝罪をする意味
対談5・吉川麻衣子さん(沖縄大学教授)
戦争体験を胸に秘めた人に寄り添い、語り出すまで待つ
閉ざした思いを言葉にできるまで――沖縄戦「語らいの場」の実践とは
対談6・中村平さん(広島大学大学院教授)
語り合いと癒しの平和運動ー謝罪と白旗と、中国台湾
対談7・村本邦子さん(立命館大学大学院教授)
トラウマで壊された関係性を修復する試みが平和をつくるー大きな声の裏に隠された小さな声や弱さを聞き取る
対談8・池田恵理子さん(元NHKディレクター)
元兵士たちの戦後から日本の戦争の本質を見るー戦場での性加害まで語った近藤一さん、語りたくても語れなかったPTSD兵士の歩み
対談9・谷口和憲さん(「戦争と性」発行人)
日常から暴力性をなくしていくー戦争と性暴力と向き合って考えたこと
対談10・辻野弥生さん(『福田村事件』著者)
心が傷ついた復員兵の父が「反戦6きょうだい」を育てたー戦後、戦争の恐ろしさを体現した父
あとがき 白崎朝子
目次
目次
はじめに 対話を続けること 黒井秋夫
対談1・藤岡美千代さん(PTSD日本兵の家族会)
戦争で壊された家族関係を見つめ直すー戦争PTSDだった父の「本当の姿を探す旅」と国へ求めること
対談2・市原和彦さん(PTSD日本兵の家族会)
私たちの戦争はまだ終わっていないー戦後の実態が見えてくる人ー
対談3・中村江里さん(上智大学准教授)
戦争の近現代史を問い直すー被害に偏る日本の戦争の記憶と向き合って
対談4・北村毅さん(大阪大学大学院教授)
戦争の取り返しのつかなさを取り戻すーアジアの戦争被害者に対して謝罪をする意味
対談5・吉川麻衣子さん(沖縄大学教授)
戦争体験を胸に秘めた人に寄り添い、語り出すまで待つ
閉ざした思いを言葉にできるまで――沖縄戦「語らいの場」の実践とは
対談6・中村平さん(広島大学大学院教授)
語り合いと癒しの平和運動ー謝罪と白旗と、中国台湾
対談7・村本邦子さん(立命館大学大学院教授)
トラウマで壊された関係性を修復する試みが平和をつくるー大きな声の裏に隠された小さな声や弱さを聞き取る
対談8・池田恵理子さん(元NHKディレクター)
元兵士たちの戦後から日本の戦争の本質を見るー戦場での性加害まで語った近藤一さん、語りたくても語れなかったPTSD兵士の歩み
対談9・谷口和憲さん(「戦争と性」発行人)
日常から暴力性をなくしていくー戦争と性暴力と向き合って考えたこと
対談10・辻野弥生さん(『福田村事件』著者)
心が傷ついた復員兵の父が「反戦6きょうだい」を育てたー戦後、戦争の恐ろしさを体現した父
あとがき 白崎朝子
前書きなど
はじめに 対話を続けること 黒井秋夫
戦後、私の父は中国戦線から日本に復員したあと、戦争についてほとんど言葉を発せず仕事もままならない人生を送りました。その父は戦争PTSDを発症していたに違いないと考えた私が、「PTSDの日本兵家族会・寄り添う市民の会」を立ち上げてから2026年1月17日で8年になります。もう二度と父親たちと同じ被害者・加害者を出すような戦争は起こさせないと決意して、活動してきました。この会は、アジア・太平洋戦争で心を病んだ兵士の家族を当事者として、安心して自分の体験を話せる場所として「PTSDの日本兵の家族会」を運営しています。また、徹底した個人の尊重の元に、人の話は最後まで聞くことを大事にして対話と交流を続けています。
私は2024年9月に中国を訪れ、父の任地で戦争加害の謝罪をするとともに、中国の皆さんと対話をしてきました。侵略した日本軍兵士の子どもである私が中国で謝罪することには、現地のSNSでも賛同する声が圧倒的でしたが、すぐには受け入れられないという声もありました。それでも私個人が直接中国の学生や一般の人たちと語り合うことで、「長い時間がかかってもこの人たちとはいつか必ず理解しあえる」という手応えを得ることができました。
日本をはじめ世界は厳しい分断の時代を迎えています。高市早苗政権は武器関連の防衛装備輸出の緩和や、防衛費の「GDP比2%」を前倒ししての達成、台湾有事への踏み込んだ発言など、戦争準備と内外に思われるような政策を進めているように見えます。外国人対応の厳格化政策も含め、私の考えとはだいぶ違います。一方で、私は、高市さんを排外主義者などと非難するようなやり方には与しません。
そのようなやり方は、相手を「話し合える相手ではない敵」だとみなすことになり、対話を続ければ時間がかかっても必ず理解し合えるという、私の信念とは相容れないからです。高市さんも、ダメな日本をつくろうとしているのではないでしょう。考えが違っているように見えても、すぐに握手はできなくても、いつか必ず手を握っていけるような関係をつくる努力をしたいと私は思います。戦争がない平和な社会はその先にしか訪れないでしょう。そのためには対話を積み重ねることが必要だと考えます。いまは隔たりが大きく見えるとしても、いつかは必ずわかってもらえると私は確信しています。
この対談本のなかでは、元PTSD兵士の家族である当事者、戦争の歴史や戦争PTSDや台湾の研究者、心理学の研究者・臨床心理士、ジャーナリスト、作家などさまざまな立場の方々と対話を重ねています。語り合いのなかで、自分一人で考えてもたどり着けないものを得ることができました。
戦後、曲がりなりにも日本が歩んできた平和国家の道を捨てかねない政権ができ上がったいま、市原和彦さんとの対談では、私たちの活動がギリギリ間に合ったという話をしました。高市政権の支持者には若い人が多いということですが、それで本当に皆さんの未来に希望が見えますかと私は問いたい。人を殺す武器を海外に売ることは皆さんが望む社会なのか。
この対談集はひとたび戦争が起きたら、どれだけ長く社会や家庭のなかに被害の影響が続くかを語り合ったものです。戦争をして良いことなど一つもない。二度と戦争をしてはいけないということを最後に強調したいと思います。私はこの本を特に次代を担う若い人たちに読んでほしいと願っています。
2025年の年末には滋賀県で元兵士の精神疾患の病状の記録が開示され、佐賀県の精神疾患を中心に治療した国立病院機構では元兵士を含め約300人の医療記録が発見されるなど、新しい動きもあります。私たちの会は、従軍した兵士のほとんどが死亡した現在、戦争PTSDを発症した兵士だけではなく、その家族の実態調査を国に呼びかけています。アジアの日本軍による戦争被害者のPTSDの調査も含め、政府の関係者に呼びかけと対話を今後も続けていきます。
版元から一言
元日本兵のPTSD被害を軸に、ひとたび戦争が起きたら、どれだけ長く社会や家庭のなかに被害の影響が続くかを語り合った対談集です。
平和構築、癒し、交流のために対話を重ねようという言葉が、こんな時代だからこそ響きます。
上記内容は本書刊行時のものです。
