書店員向け情報 HELP
超越への親密性――もう一つの日本文学の読み方―― Intimacy with Transcendence: A New Perspective on Japanese Literature
- 初版年月日
- 2023年3月31日
- 書店発売日
- 2023年3月31日
- 登録日
- 2023年3月14日
- 最終更新日
- 2023年3月14日
紹介
「文学とは何か?」。著者の発した根源的な問いかけは、プラトン、ソクラテスを皮切りに夏目漱石、森鴎外、三島由紀夫に至るまで古今東西の「水脈」を縦横に辿り、文学における最大の秘密へと迫っていく。著者はこう綴る
〈文豪(*漱石、鴎外、三島)はいずれも作品、テクストを通じてわれわれの目に映る現実の皮相な世界を指し示しながら別の世界を表象し、いずれも意識の誕生や言葉の形成の瞬間を見つめながらそこから広がる認識の世界を提示し、しかもその世界をどのように表現し対処すべきかを示唆してくれているのである。確かに、それらの作品・テクストは、つねにわれわれ読者の読みに向かって開かれているが、この論集はそれに勇気づけられ、一貫してマテリアリズムへのアンチ・テーゼを提示したつもりでいる〉
文学が生まれてくる「創作源泉」は、インスピレーションか、それともリアリティかー-マテリアリズム(物質主義)に支配された昨今の文学研究に一石を投じるダイナミックな比較文学論!
目次
第一章 概念としての文学
──起源における東西詩学の伝統の相違をめぐって──
第二章 近代文学における自己省察の嚆矢――初期の漱石
第一節 自己パロディと自己省察の構造――『吾輩は猫である』
第二節 自己パロディの行方――夢「第七夜」とホイットマンの詩――
第三章 明治期のルネサンス人 鴎外の文学
第一節 初期ドイツの三部作と翻訳における文学観
第二節 海、太陽への問いかけと諦め──想起、あるいは「妄想」──
第四章 三島文学の深層構造──今までの研究概観を兼ねて──
第五章 東洋における修辞学の変遷
修辞学における西洋と日本と中国──その受容と変容をめぐって
第六章 想像力の再発見と表象された海
──西から東への伝播と変容についての一スケッチ──
第七章 「蒙古の碑」を巡る日本の死生観
──その歴史背景と鎮魂と怨親平等について──
上記内容は本書刊行時のものです。