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数学者の朝 キム・ソヨン(著/文) - クオン
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数学者の朝 (スウガクシャノ アサ)

文芸
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発行:クオン
四六変形判
縦194mm 横123mm 厚さ11mm
176ページ
並製
価格 2,000円+税
ISBN
978-4-910214-50-4   COPY
ISBN 13
9784910214504   COPY
ISBN 10h
4-910214-50-X   COPY
ISBN 10
491021450X   COPY
出版者記号
910214   COPY
Cコード
C0098  
0:一般 0:単行本 98:外国文学、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年11月20日
書店発売日
登録日
2023年8月25日
最終更新日
2023年11月16日
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紹介

見えない場所、聞こえない声、いまだない言葉
語りえない物語のために


詩が広く愛されている韓国において
文学性と社会性を兼ね備え、深く心に刻まれる詩を紡ぐ
キム・ソヨンの単著詩集を初邦訳。

韓進自動車の労働者の闘争に寄り添って書かれた「主導者」、
映画「詩人の恋」で朗読された「だから」など、49編を収録。

第八回日本翻訳大賞受賞作『詩人キム・ソヨン 一文字の辞典』の監訳者
姜信子による翻訳でお届けします。


「詩は読み解くものではなく、生きるもの。
 埋めるべきものがあるとすれば、
 それは、詩を生き、旅を生きる自分自身の空白なのですから。
 この詩集を手に取って旅人となったあなたも、それは同じ。
 今さら気づいても、もう引き返せない。
 (ああ、なんてこと、キム・ソヨン!)」
――姜信子(訳者あとがきより)


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「セレクション韓・詩」は、
韓国語で紡がれた同時代の詩のことばを贈るシリーズです
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目次

第一部 遺書なき皮膚を軽蔑します
陰/ああ、バートルビー/主導者/数学者の朝/だから/おもちゃの世界/平澤/そういうこと/定食/愛と希望の街/オキナワ、チュニジア、フランシス・ジャム

第二部 痛みは若葉の色に
旅人/ひとり/反対語/激戦地/痛みは若葉の色に/ワンルーム/一味ども/夜明け

第三部 便りが必要
熱帯魚は冷たい/重なりあう椅子/望遠洞/外に生きる人/郵便受け/噓/ほこりの見える朝/誕生日/風船人間 /坑/別れる者のように/内面の内情/誰かが隣でしきりに問いかける/ふたり/秘密の花園/傾きについて―シン・ヘオクに

第四部 河と私
異邦人になる時間/河と私

第五部 遠い場所になりたい
未来が降りそそぐなら/失敗の場所/ふとんの不眠症/広場の見える部屋/幸いなること/メタファーの質量/終バスの時間/在ること、成ること/二十回の二十歳/ほんとにほんとに楽しかった/ガリバー/玄関

解説 凛々しく悲しく――ファン・ヒョンサン

訳者あとがき ああ、なんてこと、キム・ソヨン!

前書きなど

    だから

つつがなく過ごしています
だから悲しみが渇いていきます

私が口にする言葉を
私がひとり聞いて過ごしています
ああ、いいな、そんな言葉を私が言って
私がひとり聞いています

明日が扉の前に到着してから、もうずいぶんになります
日陰にしゃがんで長い舌を垂らして一日を過ごす犬のように
明日の匂いに気づかぬふりをしています

元気にしているだろうか と思いをはせる人のひとりもなく
明日の天気を気にかけることもなく

午後のあいだずっと 築きあげた砂の城が
波でだんだんと崩れてゆくのを眺め
腰の曲がった老人がアコーディオンを弾くのをひとしきり聞いていました

死を待ちながら草むらにじっとたたずむ蝶に
パピヨン、と独りつぶやく男の子を見ました

夢の中ではやたらと
幼い私が罪に怯えているんです
朝、眠りから覚めるたび
黒い憐憫が寝返りを打って 罪の怯えを通りぬけていきます

風の通りぬけてゆく洗濯物のように
悲しみが渇いていきます

お元気ですか という言葉は聞きたくありません
その言葉が悲しみを目覚めさせるからです
悲しみは私をふたたび生きるほうへと引き寄せるからです

黒く熟れたスモモをもいでかじるとき
手首をつたって甘ったるい汁が流れ落ちるとき
ああ、おいしい、と私が言い
私がひとり聞いています

著者プロフィール

キム・ソヨン  (キム ソヨン)  (著/文

著:キム・ソヨン
詩人。露雀洪思容文学賞、現代文学賞、李陸史詩文学賞、現代詩作品賞を受賞。
詩集『極まる』『光たちの疲れが夜を引き寄せる』『涙という骨』、エッセイ集『心の辞典』など多数発表。
邦訳に、第八回日本翻訳大賞受賞作品『詩人キム・ソヨン 一文字の辞典』(姜信子監訳、一文字辞典翻訳委員会訳 クオン)、エッセイ集『奥歯を嚙みしめる 詩がうまれるとき』( 姜信子監訳、奥歯翻訳委員会訳 かたばみ書房) がある。

姜信子  (キョウ ノブコ)  (翻訳

翻訳:姜信子
作家。横浜生まれ。主な著書に、『棄郷ノート』(作品社)、『ノレ・ノスタルギーヤ』『ナミイ! 八重山のおばあの歌物語』『イリオモテ』(岩波書店)、『生きとし生ける空白の物語』『路傍の反骨、歌の始まり』( 港の人)、『声 千年先に届くほどに』『現代説経集』( ぷねうま舎)、『平成山椒太夫 あんじゅ、あんじゅ、さまよい安寿』( せりか書房)、『はじまれ、ふたたび』( 新泉社)、『語りと祈り』(みすず書房)、共著に『忘却の野に春を想う』( 白水社)など多数。
また、訳書に『あなたたちの天国』(李清俊 みすず書房)、『モンスーン』(ピョン・ヘヨン 白水社)、共訳に詩集『海女たち』( ホ・ヨンソン 新泉社) 『たそがれ』( 黄晳暎 クオン)、監訳に『詩人キム・ソヨン 一文字の辞典』(キム・ソヨン クオン) 等がある。

上記内容は本書刊行時のものです。