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a+a 美学研究 第14号
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年2月20日
- 書店発売日
- 2023年2月20日
- 登録日
- 2023年2月16日
- 最終更新日
- 2023年11月7日
紹介
大阪大学美学研究室は2001年から雑誌『美学研究』を刊行してきましたが、第10号を機に全面的に刷新し、『a+a 美学研究』として再出発しました。「a+a」の2つの「a」は、美学(aesthetics)と芸術(art)をあらわします。そして「+」には、私たちのデザイン研究の蓄積がふくまれています。「+」は2つの「a」をつなぐだけでなく、四方へ広がることによって、学問が人びとの生活といかにして関わるのかという問いを形にしています。
目次
はじめに
高安啓介
(大阪大学大学院人文学研究科教授。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。愛媛大学法文学部准教授を経て現職。専門はデザイン思想史)
【未来】
他でもありうる未来──デザインの想像力によせて
高安啓介
【レトロタイプ】
過去の未来を呼び戻す「レトロタイプ」
田中 均
(大阪大学大学院人文学研究科准教授。専門は、ドイツ語圏を中心とする近代美学、芸術における「参加」をめぐる諸問題)
【メディア】
ネット・アートはいかにして再展示しうるか──布施琳太郎《隔離式濃厚接触室》の資料化を例に
インタヴュー 布施琳太郎──隔離式濃厚接触室における一人と二人
武澤里映
(兵庫県立美術館学芸員。大阪大学文学研究科博士前期課程一年。アラン・カプローとハプニングの研究。専門は、アメリカおよび日本の現代美術)
【声】
映画における声の使用について──エリック・ロメールの小論「トーキーのために」を手がかりに
正清健介
(日本学術振興会特別研究員PD。一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程修了。博士(学術)。専門は、映画研究)
【社会】
社会デザインの三つの段階
高安啓介
【寛容】
デザインと寛容の問題──N・ペヴスナー、J・ロック、そしてエルサレム会議から考える
近藤存志
(フェリス女学院大学文学部教授。エディンバラ大学大学院博士課程修了。PhD(Edin.)。専門は、イギリス芸術文化史・建築史・デザイン史)
【布】
ガンディー主義のテキスタイル──社会を変える非暴力の布
岡田弥生
(大阪大学大学院文学研究科博士後期課程二年。専門はインドの染織文化。マハトマ・ガンディーの思想がファッションにおよぼした影響について研究している)
【庭園】
「閉じた公共空間」としての庭園──アルハンブラの庭園を手がかりに
佐藤紗良
(日本学術振興会特別研究員PD(東京大学)。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。アルハンブラ宮殿の修復史を中心に、歴史的建造物及び庭園修復の諸問題を研究領域とする)
前書きなど
特集:未来をつくる思想
未来という言葉を聞いてどんなことを思うでしょう。すぐに思い浮かぶのは、将来どうなるのかという予想の未来であるか、将来どうあるべきかという理想の未来であるか、二つのどれかではないかと思いますが、二つのどちらでもない仮想の未来について考えてみてはどうでしょう。仮想の未来とは、起こるかどうかも分からない、良いかどうかも分からない、これまでまったく眼中になかった可能性です。人類にとって世の中の成り行きは明るくないからこそ、何らかの変革がもとめられるのでしょうが、行きづまりを突破する考えはそう簡単に出てくるものではありません。そのようなとき、目先の関心からいったん離れて、未来について自由に考えてみたいものです。
アーティストは、人間の理想であったり、社会の理想であったり、何らかの理想を描くべきなのでしょうか。もちろんそうした名作はたくさんあります。それでも、芸術がもし世間で思われている理想をなぞるだけなら面白くありませんし、芸術である意味すらないでしょう。芸術やそれに類するフィクションは、起こるかどうかも分からない、良いかどうかも分からない、誰も考えてもみなかった可能性をしめしてこそ、意味があるものと思われます。絶望の淵にあって、教訓めいた話でなくとも、他でもありうる未来がとらえられたときに一筋の光明がみえることもありましょう。だからこそ、美学思想において、仮想の未来についての思索は一つの重要な課題だといえます。(「はじめに」より)
上記内容は本書刊行時のものです。