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九州・沖縄の巨樹 榊 晃弘(著/文) - 花乱社
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九州・沖縄の巨樹 (キュウシュウオキナワノキョジュ) 遥かなるいのちの旅 (ハルカナルイノチノタビ)

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発行:花乱社
A4変形判
縦295mm 横225mm 厚さ16mm
128ページ
上製
価格 4,000円+税
ISBN
978-4-910038-18-6   COPY
ISBN 13
9784910038186   COPY
ISBN 10h
4-910038-18-3   COPY
ISBN 10
4910038183   COPY
出版者記号
910038   COPY
Cコード
C0072  
0:一般 0:単行本 72:写真・工芸
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年7月20日
書店発売日
登録日
2020年5月8日
最終更新日
2020年8月17日
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書評掲載情報

2020-09-13 読売新聞  朝刊
評者: 尾崎真理子
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紹介

巨樹と対峙し、巨樹のもつ生命力を写し込んだ入魂の写真群。
東日本大震災/福島原発事故を契機に、九州・沖縄に現存する巨樹を尋ね歩いて十年。
天変地異や戦争にも耐え、何百年、何千年と同じ場所に佇み、
人々の喜怒哀楽をずっと見つめてきた歴史の証言者・巨樹。
その千姿万態、それぞれの遥かなるいのちの旅を伝える写真集。九州・沖縄の巨樹100樹を掲載。

■倉本聰氏序文「巨樹に聴く」より抜粋
 コロナ騒ぎで人に逢うなと命じられ、二ケ月近く山ごもりの日々を過しているが、全く一日として苦痛を感じない。この写真集を、そしてそこにいる巨樹たちと毎日対面して、至福の時を過している。まずそのことを榊氏にお伝えし、感謝と敬意の念を捧げたい。……
 巨樹に逢う。古木にお目にかゝる。
 すると僕の気はピシッと引き締まる。頭が垂れる。祈りたくなる。何かその樹から教わりたくなる。それは彼らが大先輩だからである。
 考えてもみて欲しい。
 樹齢五百年の樹は室町から安土の頃萌芽した樹である。織田信長とほぼ同年である。樹齢千年の樹は平安朝の樹である。彼らはその頃からこの世に生きてきた。そしてその間の歴史を見てきた。彼らの樹皮の下にかくされた細胞と一つ一つにはその間に蓄積された膨大な知識と見識が、ぎっしり埋めこまれているにちがいない。そして思索も哲学も。
 彼らの枝の曲がり具合。肌に刻まれた無数のしわ。繊維のねじれ具合。付着した苔、地位類。それらを見ていると彼らの生き抜いてきた時の重みが、否応なく僕らを圧倒する。……
 古木巡礼をつづけているが、齢とともに体が衰えてきて中々山に入れなくなった。それでも巨樹に恋し、巨樹に逢う為の巡礼を続けている。
 巨樹たちの呟く囁きを、必死で聴こうと耳を傾ける。

目次

九州全県の代表的な巨樹100樹を掲載。
福岡18、佐賀10、大分16、長崎11、熊本20、宮崎12、鹿児島10、沖縄3樹。

前書きなど

 私たちは昔から自然と共生しながら、その恩恵に浴して暮らしてきました。しかし、現在の自分の生活を振り返ってみると、科学技術の発達がもたらす利便性に走りすぎて、自然の大切さを忘れかけているような気がします。
 そのことを強く意識させられたのは、二〇一一年三月十一日の東日本大震災による福島の原発事故です。私は眼鏡橋の取材で中国に滞在中、たまたま目にした大事故のTVニュースに強い衝撃を受けました。絶対安全といわれてきた原発がなぜだ……?
 これをきっかけに自然を見直してみようと思い、かねてから興味をもっていた九州・沖縄の巨樹を撮りはじめました。「巨樹」というのは、林業の世界で、地上一・三メートルの高さの幹周りが五メートル以上の大樹のことを指します。
 巨樹のある場所は一部を除いて神社やお寺の境内、たまには個人の屋敷など、身近な生活圏にあるので、訪ねようと思えば気楽に訪ねることができます。地元の人たちが親しみをこめて「○○さん」とか、「○○殿」と巨樹を呼ぶのは、住民との間に親密な関係が存在するからでしょう。彼らは台風、水害、旱魃、地震に耐えて、何百年、何千年も同じ場所にたたずみ、そこで暮らす人たちの喜怒哀楽をずっと見つめてきた歴史の証言者です。
 巨樹は若い木には見られない個性的な樹相をもっていて、一度見ると忘れられません。人でいえば人相のようなものです。
 九州・沖縄に現存する巨樹の中で、ひときわ多いのは『古事記』や『風土記』にも登場するクスです。気候温暖な九州の風土は、全国的に見て巨大クスの宝庫だといってもいいでしょう。このクスの強い生命力に圧倒されました。
 長崎の山王神社の境内に立つ二本のクスは忘れられません。長崎の原爆で被爆し、枯死すると思われていた樹が奇跡的によみがえったのです。人間の過ちによる大惨事を体験した歴史の生き証人であり、生命力のシンボルでもあるのです。爆心地に近い参道左側のクスには今も小石や瓦、金属片などが刺さったままで、幹や枝の先端部分を失っていますが、今も生命を刻み、樹冠を広げています。
 こうして二〇一一年六月から二〇二〇年四月までの約十年間に撮影した巨樹の中から、百本を選んでこの本に掲載しました。九州・沖縄に現存する数からみれば一部にすぎませんが、逞しい生命力をもち、私にとっては個性的で存在感のある巨樹たちです。
 (「撮影後記」より抜粋)

著者プロフィール

榊 晃弘  (サカキ テルヒロ)  (著/文

写真家。1935年、福岡市に生まれる。1954年、福岡県立修猷館高等学校卒業。1958年、西南学院大学商学部卒業。日本写真協会新人賞及び年度賞、土木学会著作賞ほか受賞多数。(公社)日本写真協会会員、(公社)福岡県美術協会名誉会員、福岡文化連盟理事 【写真集】『装飾古墳』(朝日新聞社、1972年)、『装飾古墳』(泰流社、1977年)、『眼鏡橋』(葦書房、1983年)、『九州・沖縄 歴史の町並み』(東方出版、2001年)、『薩摩の田の神さぁ』(東方出版、2003年)、『ローマ橋と南欧石橋紀行』(かたりべ文庫、2006年)、『万葉のこころ─筑紫路逍』(海鳥社、2008年)、『中国の古橋』(花乱社、2016年)
昭和48年度日本写真協会新人賞受賞(写真集/写真展「装飾古墳」)。昭和59年度日本写真協会年度賞受賞(写真集/写真展「眼鏡橋」)。昭和59年度土木学会著作賞受賞(写真集『眼鏡橋』)。平成3年度第16回伊奈信雄賞受賞(写真展「歴史の町並み」)。平成5年度第18回福岡市文化賞受賞。平成15年度福岡県教育文化表彰。平成25年度地域文化功労者文部科学大臣表彰。

上記内容は本書刊行時のものです。