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知能化戦争 龐宏亮(著) - 五月書房新社
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知能化戦争 (チノウカセンソウ) 中国軍人が観る「人に優しい」新たな戦争

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A5判
縦210mm 横148mm 厚さ21mm
328ページ
上製
定価 3,500円+税
ISBN
978-4-909542-33-5   COPY
ISBN 13
9784909542335   COPY
ISBN 10h
4-909542-33-7   COPY
ISBN 10
4909542337   COPY
出版者記号
909542   COPY
Cコード
C0031  
0:一般 0:単行本 31:政治-含む国防軍事
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年3月22日
書店発売日
登録日
2021年3月11日
最終更新日
2023年3月3日
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書評掲載情報

2021-05-15 朝日新聞  朝刊
評者: 阿古智子(東京大学教授・現代中国研究)
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重版情報

3刷 出来予定日: 2023-03-24
2刷 出来予定日: 2021-06-01
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紹介

「超限戦」に続く新しい中国の戦争概念がここにある。

目次

序 文
肖天亮 
はじめに 

第1章 戦争形態の進化に関するいくつかの基本問題 
戦争形態とは何か
主導的軍事技術(群)
戦争形態の交代のタイミング、条件、周期 
戦争形態の進化の一般的過程 
 萌芽期
 形成期   
 発展期   
 成熟期
 衰亡期   
歴史における戦争形態の進化 
 冷兵器戦争期
 熱兵器戦争期   
 知的兵器戦争期


第2章 知能化ブーム
人工知能の台頭
 人工知能とは何か   
 紆余曲折の中での成長
 累積効果の形成  
 カギとなる技術のブレークスルー
情報技術革命の終焉
 技術発展の S 字曲線モデル   
 情報技術が成熟期に入る
知能時代へ
 知能の拡張  
 知能化態勢の急速的形成
 知能がすべてを主導する


第3章 軍事分野における知能化革命
情報技術の苦境―戦場
 精度の極限
 インターネットで繋がる世界   
 即時破壊
新軍種の突然の出現―人工知能
軍事知能化革命の勃発
 制高点をめぐる争奪戦   
 主戦兵器の交替
 知能化の浸透
知能時代の戦争形態
 知能化の潮流は止まらない   
 戦闘力形成パターンの転換
 戦争形態の進化


第4章 新たな戦争 新たな理念
誰が私たちの敵か
プラットフォーム中心
知能アルゴリズムがすべてを定義する
兵器装備の核心的な指標―自律性
データこそが力である
「死傷ゼロ」時代


第5章 戦力の転換
武器=基本戦闘ユニット
知能化兵器装備
 航空知能化無人システム  
 水上/水中知能化無人システム
 陸上陸上知能化無人システム
知能弾薬
 全知能攻撃  
 「弾薬―プラットフォーム」の一体化
 モジュール化
知能を中心とした軍事技術体系
万能戦士
 計画者  
 意思決定者
 生産者
誰が専門家なのか?
誰にでも有能なアシスタントが必要である
ネットワークなくして勝利なし


第6章 ゲームのルールを変える
知能力の発揮を中心に据えて戦闘を行う
本質―全く新たな争い
核心となる作戦理念―敵の意志を直接挫く
多次元を統合した知能化作戦
 従来の軍事行動の空間を超越する
 一体化作戦
 知能化作戦
 基本的なモデル
主な行動パターン
 遠隔暗殺・統制作戦  
 スワーム(群れ)作戦


第7章 軍隊を再構築する
「ピラミッド」の崩壊
 伝統的な脅威から多次元的な脅威へ
 中間層革命から基層革命へ
 情報の横方向一体化から兵器操作の横方向一体化まで
軍種兵種の消滅
組織革命
 「兵器庫式」特別混成編制   
 二種類の戦力   
 機能軍隊
知能型司令部
 参謀の危機   
 ビッグデータセンター
 三位一体指揮意思決定の核心


第8章 スマート後方支援
知能衝撃波
 IoT は後方支援の全資源を可視化する
 3Dプリンターは装備物資のサプライチェーンに衝撃を与える
 ビッグデータは伝統的な指揮意思決定支援モデルに挑戦する
目標:ちょうどよいところ
 正確な後方支援   
 能動的な後方支援
 積極的な後方支援
両端へ移動する保障実施の重点
 前方自給式保障
 直行配送式支援
 遠隔知能化保障
ピーク値支援能力
後方支援力の転換
 後方支援軍(部隊)
 三レベル保障構造
 モジュール化されたユニット

結 語
おわりに

解 題:安田 淳
解 説:情報通信技術・人工知能(AI)技術の発展および軍用AIの動向  木村 初夫
略 歴

前書きなど

序文
技術の変革と戦争の進化は、これまで常に戦略研究者の関心と思考を集める問題であった。数千年に及ぶ人類の文明史の中で、軍事分野は技術の変革によって引き起こされた多くの革命を経験してきた。それらは戦争形態の進化を促進し、戦力と戦局とのバランスを変え、国家の存亡さえも決定づける。こうした過程の中で、軍事における革命を掌握した者が、世界と歴史を左右し、頑固者は敗者となり歴史の笑い種となる。したがって、技術の変革とは単純な技術の問題ではないといえる。新たな技術革命という波の中で、技術の変革の本質と趨勢を理解し、戦争への影響を前向きに研究し、新しい作戦方式を生み出せるかどうかということは、戦争の勝敗を決定するだけではなく、国家の命運にも関わるのである。
現在、われわれはまさにこのような歴史の瀬戸際にいる。一方で、わが国は急速に勃興しているが、まだ依然として大きさから強さへ向かい始めたばかりの脆弱期にあり、民族の復興は先行する大国の予防的な戦争によって断ち切られるリスクがある。他方で、人工知能とビッグデータに代表される新たな技術が次々と現れ、軍事分野で再び革命が勃発する兆しが日増しに明らかになってきた。このように国際秩序の大きな変化と軍事変革とが同時進行する大時代においては、軍事の発展は国家の命運とこれまでになく密接に関係している。複雑な技術発展の「霧」を見通し、未来の戦争の発展傾向を把握することは、軍人、とりわけ軍事理論家の神聖な使命となっている。
現在の新たな技術の波は、決して一般的な技術の改善やアップグレードではなく、社会のあらゆる分野に影響を及ぼす全面的かつ根本的な技術革命であり、それは新たな世界の軍事における革命を引き起こすであろう。1970 ~ 1980 年代に、人類社会は人工知能ブームをすでに経験している。当時、エキスパートシステム〔訳注:専門家のように問題解決に利用できるコンピューターシステム〕に代表される人工知能システムの開発が始められ、人工知能やロボットに関する空想科学小説(SF)が次々と生まれ、人々は未来の知能社会に憧れた。だが実際の生活ではスマート製品に触れるまでに至らなかった。
けれども今では、旅行、ショッピング、金融投資は無論のこと、生産製造や戦争も含むさまざまな分野で、人工知能の存在とその急速な発展を実感することができる。われわれの仕事も生活も、まさに人工知能によって変えられている。これらの事実は、現在の人工知能の勃興が以前の人工知能ブームとは根本的に異なっており、軍事ないし戦争に対する人工知能等のハイテク技術の影響を全く新しい視点から再考する必要があるということを示している。制空権理論を提唱したジュリオ・ドゥーエ(Giulio Douhet)は次のように書いている。「勝利は戦争の特性の変化を予見する人にいつも微笑みかけ、変化が起こるのを待ってから対応する人には微笑みかけない」と。現在の国際情勢と技術の発展という大勢の下で、われわれは徹底的に技術の開発動向を研究し、戦争の特性を予見し、また戦争と作戦理論を一変させる新たな進展を追求しなければならない。習近平中国共産党総書記は、中国共産党第 19 回全国代表大会の報告で、「軍事知能化の発展を加速する」と指摘した。それは私の理解するところ、短期間のうちに理論の研究、軍用知能技術の革新、兵器装備の研究開発といった点で多くの価値ある成果を生まなければならないということである。これらの中でも、理論研究はその基礎であり、未来の戦争に勝つという高度な観点からそれを実行する必要がある。
近年、これに応じた研究が始まった。龐宏亮同志の研究は、その中でもより際立った研究の一つである。彼は十数年前に出版した専門書で「知能化戦争」の概念を提起し、情報化戦争は知能時代の戦争形態の初期段階であり、まさに日々高度な段階へ向かっているが、それは知能化戦争への過渡期でもあると述べた。こうした見解は今日でも時代遅れではなく、非常に先見性があった。このたび彼が上梓した『中国軍人が観る「人に優しい」新たな戦争 知能化戦争』〔訳注:原題『21 世紀戦争演変與構想:智能化戦争』〕は、未来の戦争について理論的により深いレベルで探求し描写している。その内容は斬新で、多くの分析や観点は非常に啓発的であり、取り上げられた資料も非常に詳細かつ正確である。これは工夫を凝らした優れた著作であり、一読の価値がある。
龐宏亮同志は教育研究において常に着実で真剣であり、前向きに努力し結論を導いている。彼がこのような先見性のある著作を生み出したことを、私は心からうれしく思う。私はまた、彼がさらに多くのよりよい成果を生み出すことを期待している。同時に私は、長らく技術の変革と戦争に関心をもつ研究者として、もっと多くの人々がこの研究に加わり、中国の軍事という巨大な船が前進するための水先案内人になることを呼びかけたい。沸き起こる激しく険しい瀬をわが国が乗り越え、中華民族が順調に復興するために、強大な軍事的支援を提供しなければならない。
                          
国防大学副校長 肖天亮

版元から一言

東アジアの緊張、尖閣諸島の問題を理解するにはまずはここから!

世界が最も注目するこれからの戦争は人を直接殺戮はしない。 しかしその結果がもたらす悲劇は国を崩壊に導く。

著者プロフィール

龐宏亮  (ホウ コウリョウ)  (

国防大学国家安全学院副教授、戦略学博士、大校(上級大佐に相当)、中国国防大学第 3期優秀中青年教育研究基幹要員、中国人工知能学会会員、テレビ番組『講武堂』特別ゲスト。2004 年に学術書『智能化戦争』を出版。15 の軍事プロジェクトを主宰あるいは参与。軍内外の重要刊行物に 20 余編の論文を発表。

安田 淳  (ヤスダ ジュン)  (監訳

監訳及び「序文」、「はじめに」、「結語」、「おわりに」、第 7、8 章担当および解題執筆
1960 年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部教授。1989 年慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程単位取得満期退学。1986 年防衛庁防衛研究所教官。1995 年慶應義塾大学法学部専任講師、1999 年同学部助教授、2005 年同学部教授。この間、1988 ~89 年中国・復旦大学留学。1997 ~ 98 年米国スタンフォード大学訪問学者。専門は軍事を中心とする現代中国の安全保障。主要業績に、「『国防と軍隊の改革』における制度・編制の改編―2015 年の中国人民解放軍」(『慶應義塾大学日吉紀要中国研究』第 10 号、2017 年)、「東シナ海の航空交通管制と安全保障」(慶應義塾大学法学部編『慶應義塾大学創立一五〇年記念法学部論文集 慶應の教養学』、慶應義塾大学出版会、2008 年)、『中国をめぐる安全保障』(共編著、ミネルヴァ書房、2007 年)、「中国の朝鮮戦争停戦交渉―軍事分界線交渉と軍事過程」、(『法学研究』第 75 巻第 1 号、2002 年)、『台湾をめぐる安全保障』(共編著、慶應義塾大学出版会、2016 年)等。

上野 正弥  (ウエノ マサヤ)  (翻訳

第 1、2 章担当
1985 年栃木県生まれ。立命館大学言語教育センター外国語嘱託講師。2009 ~ 10 年中国・南開大学留学。2016 年慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻後期博士課程単位取得退学。慶應義塾大学法学部非常勤講師等を経て、2020 年より現職。専門は現代中国政治、中国現代史。主要業績に「中国共産党の基督教管理政策―1990 年代における管理強化の展開」(『法学政治学論究』第 105 号、2015 年)、「現代中国における基督教の発展と国家」(『アジア研究』第 64 巻第 1 号、2018 年)等。

金牧 功大  (カネマキ コウタ)  (翻訳

第 3、5 章担当
1992 年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻後期博士課程在籍中。
2017 年同大学法学部政治学科卒業。2019 年同大学大学院法学研究科修士課程修了。この間、2013 ~ 15 年フランス Alliance Française de Lyon 留学。専門は現代中国政治史。
研究業績に「一九七九年の『北京の春』に関する一考察」(『大学院法学研究科論文集』第 59 号、2019 年)等。

御器谷 裕樹  (ミキヤ ユウキ)  (翻訳

第 4、6 章担当
1995 年東京都生まれ。慶應義塾大学法学研究科政治学専攻修士課程在籍中。2019 年同
大学法学部政治学科卒業。この間、2016 ~ 17 年中国・北京大学留学。専門は現代中国
の宣伝政策、計量テキスト分析。

木村 初夫  (キムラ ハツオ)  (解説

解説執筆
1953 年福井県生まれ。1975 年金沢大学工学部電子工学科卒。現在、株式会社エヌ・エス・アール取締役、株式会社 NTT データアドバイザー。1975 年日本電信電話公社入社、航空管制、宇宙、空港、核物質防護、危機管理、および安全保障分野の調査研究、システム企画、開発担当、株式会社 NTT データのナショナルセキュリティ事業部開発部長、株式会社 NTT データ・アイの推進部長、株式会社エヌ・エス・アールの代表取締役歴任。共訳書に『中国の進化する軍事戦略』(原書房)、『中国の情報化戦争』(原書房)、『中国の海洋強国戦略―グレーゾーン作戦と展開』(原書房)がある。主な論文に「A2/AD環境下におけるサイバー空間の攻撃および防御技術の動向」、「A2/AD 環境におけるサイバー電磁戦の最新動向」(月刊 JADI)等がある。

上記内容は本書刊行時のものです。