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貧困理論入門 志賀 信夫(著/文) - 堀之内出版
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貧困理論入門 連帯による自由の平等

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発行:堀之内出版
四六判
縦188mm 横130mm 厚さ14mm
224ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-909237-65-1   COPY
ISBN 13
9784909237651   COPY
ISBN 10h
4-909237-65-8   COPY
ISBN 10
4909237658   COPY
出版者記号
909237   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年5月25日
書店発売日
登録日
2021年12月22日
最終更新日
2022年6月10日
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紹介

貧困問題は、依然として深刻な社会問題であり続けている。
私たちはどうすればこの問題を緩和し、根絶することができるのだろうか?

それを考えるためにも、そもそも「貧困とは何か?」と改めて問うことは重要な課題だ。

本書では、ブース、ラウントリーらの貧困調査による「絶対的貧困」からはじまり、べヴァリッジの社会保障論を経由して、タウンゼントの「相対的貧困」、EUの「社会的排除」へといたる、「貧困概念」の歴史的な拡大過程を追いながら、貧困対策の理論的核心を探っていく。

貧困研究で期待の若手が、資本主義における階級と階層の両概念に改めて光をあてつつ「貧困理論」を基礎から解説する初の入門書。

【推 薦】
いくら研究が増えても、理論が間違っていたら、現状は変えられない。
必要なのは階級論的貧困理論。
貧困克服のための「脱資本主義宣言」!
──橋本健二 社会学者

「貧困に陥ったら自己責任である」あなたがそう思っているのなら、車椅子ユーザーの私が電車に乗る時、毎回不便を感じ、時には乗せてもらえないのは仕方がないことなのでしょうか? 改善を求めるのはワガママなのでしょうか。平等に見えながらも、違いを受け入れない社会はつらいです。この本の「選んだ貧困ではなく、社会的排除による、押し付けられた貧困がある」の視点に、私は救われました。自由の平等を求め続けたいです。
──伊是名夏子 コラムニスト

貧困問題は、僕らが生きているこの時代に終わらすことができる。
そのためには、みんなが関心をもって取り組むことが大切だ。
本書は、貧困問題を正しく理解する上での良書である。
──田口一成 株式会社ボーダレス・ジャパン

目次

まえがき

[第1章] 「貧困」とは何か――諸概念の整理
貧困理解の前提となることばの整理
貧困概念とは「貧困の意味内容」のこと
貧困の定義とは「貧困と非貧困の区別・境界」を言語化したもの
貧困の測定とは「貧困の広がりと深刻さの計量」
「格差」「不平等」「貧困」の概念的区別
階層論と階級論
貧困概念は人びとの要求によって拡大してきた
貧困理論の学説史に関する概要説明

[第2章] 絶対的貧困理論
ブースの貧困調査と貧困の捉え方
ブースの調査研究にひそむ「分断と統治の論理」
ラウントリーの貧困研究と貧困調査
「絶対的貧困」の概念
ブースとラウントリーの相違点の整理
「絶対的貧困」から考える現代日本の生活保護

[第3章] 相対的貧困理論
相対的貧困理論の考え方
相対的剝奪概念から定義づけられる貧困
ベヴァリッジ体制の成熟とタウンゼントの貧困理論
タウンゼントの貧困理論
「普通の生活」と「社会参加」
タウンゼントの貧困理論と現在
「相対的剝奪」と「相対的貧困」に関する補足説明

[第4章] 社会的排除理論
社会的排除とは
EUの社会政策と「社会的排除/社会的包摂」
「社会的排除」概念が一般化した社会背景
「自由」と「自己決定型社会参加」
「自己決定」を可能にする「自由」
「自由」の実質的広がりを規定する三つの要素
自由獲得の歴史
自由拡大の担い手
「権利の擁護」と「権利の保障」

[第5章] 「自由の欠如」と現代日本の貧困問題
本章の目的
自由の平等と幸福
貧困と差別、および貧困者への差別
権利の有用性および有効性と自己決定の限界性に関する検討
「子どもの貧困」問題
「経済的投資アプローチ」と「Well-beingアプローチ」
普遍主義と脱商品化
社会的包摂と社会参加

[第6章] 階層論的貧困理論と階級論的貧困理論
「あってはならない生活状態」再考
階級論的(資本‐賃労働関係)視点の必要性
失業者対策と相対的過剰人口対策
日本の労働者階級と階級意識の喪失という問題
無所有に対する抵抗

あとがき
引用文献一覧

前書きなど

 あらかじめことわっておきたいが、本書は貧困問題の現状を告発する類の書ではない。本書は「貧困をどのように理解するか」「貧困とは何か」に関する整理、この一点に集中する。
 貧困を論じることと、貧困問題を論じることは異なる。貧困を論じるというのは、「貧困とは何か」および貧困対策の理論的核となる原理について論じるということであり、貧困問題を論じるというのは、現象した貧困を論じるということである。両者を区別せずひとまとめにして「貧困論」とすることもあるが、あえて前者に焦点化したものを私は「貧困理論」と呼ぶことにしたい。

 貧困を議論する際に難しいのは、大抵の場合、「あってはならない生活状態」に関する理解が個々人で異なっているということである。これが原因の一つとなって、貧困対策や政策に対し、あるいは貧困状態を余儀なくされている者に対し、バッシングや擁護が生じたりする。「あってはならない生活状態」の水準をめぐる理解は、常に〈論争的〉なのである。
 では、そのような〈論争的〉である諸個人の貧困観に対して、本書はどのような立場をとるのか。
 本書では、「貧困理論」をめぐる学説史を整理し、さらにこれを批判的に検討していくという立場をとる。私個人の貧困観を開示するのではないということは強調しておきたい。貧困理論をめぐる学説史とは、貧困(=あってはならない生活状態)に関する社会規範を直接的に、ときには間接的に記述したものである。
(「まえがき」より)

版元から一言

装 丁  川添英昭
組 版  江尻智行(tomprize)
印 刷 中央精版印刷株式会社

著者プロフィール

志賀 信夫  (シガ ノブオ)  (著/文

志賀信夫
県立広島大学保健福祉学部准教授
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。NPO法人結い理事。日向市子ども未来応援会議副会長(宮崎県日向市による子どもの貧困対策会議)。主な著書に、『貧困理論の再検討―相対的貧困から社会的排除へ』(単著、法律文化社、2016年)、『地方都市から子どもの貧困をなくす』(畠中亨・志賀信夫共編、旬報社、2016年)、『ベーシックインカムを問いなおす―その可能性と現実』(佐々木隆治・志賀信夫共編、法律文化社、2019年)、『どうする日本の福祉政策』(埋橋孝文編著、担当相:第5章「貧困―反貧困の貧困理解」、ミネルヴァ書房、2020年)、『福祉再考―実践・政策・運動の現状と可能性』(田中聡子・志賀信夫共編、旬報社、2020年)などがある。

追記

【正誤情報】
初版に以下の誤りがございました。読者の皆様にお詫びして訂正いたします。

●内 容
誤 「モナド化」
正 「アトム化」

●該当箇所(4ヶ所)
・195頁15行目~196頁1行目
・196頁4行目(2ヶ所)
・196頁5行目

上記内容は本書刊行時のものです。