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温かい家
- 初版年月日
- 2026年9月20日
- 発売予定日
- 2026年9月25日
- 登録日
- 2026年8月5日
- 最終更新日
- 2026年8月5日
紹介
この度、今村文の初作品集『温かい家』を刊行いたします。今村は花や植物を主なモチーフに、グラシン紙に水彩とコラージュを施した作品を制作する現代アーティストで、近年はロンドンをはじめ国際的に活動しています。
本書は今村が2015年から取り組んでいるシリーズ〈温かい家〉を起点に構成しています。2015年に愛知県美術館で開催された「芸術的植物園」で初発表された本シリーズは、当初30点組の作品として展示されました。壁一面に並んだ赤い花は、臓器や毛細血管を想起させ、身体の内側にいるような感覚を呼び起こします。構想から10年の時を経て、シリーズには新作が追加され、今年3月、CAVE-AYUMI GALLERY(東京)での個展で一堂に会し、大きな話題を呼びました。本書では、〈温かい家〉の核となる35点に加え、今年制作された22点を加えた57点が収録されています。
タイトルの「温かい家」は、当初自分を守ってくれる家という意味が込められていました。2023年に今村自身が母となったことで、自身を取り巻く環境や心身に大きな変化が現れます。かつては自分を守る外側の殻のように機能していた「家」は、今では内側から静かにひらかれていくものへと変わっていきました。この広がりの中で、「家」はもはや安心や居場所の比喩ではなく、内と外の境界が静かにやわらいでいく、そのための身体的な構造として立ち現れているのです。その心のあり様が、これらの赤い花へとつながっていきます。
赤を基調とした装丁に、今村の花がまるで押し花のように丁寧に綴じ込まれています。じっと作品を見つめると、赤い花の中のさまざまな赤の色、葉っぱに施された小さな虫食いの穴、生命を感じさせる根っこの力強さなど、作品の細部にまで宿る植物の表情に気付かされます。豊田市美術館学芸員の石田大祐、キュレーターのジュリア・タラシュク、作家のテキストが散りばめられながら構成され、植物図鑑のような懐かしさをたたえながらも、現代のみずみずしい感性が同居する一冊となりました。
上記内容は本書刊行時のものです。









