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絵になる京都の建築
京都、建築を愛でる三十六景。
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2023年10月6日
- 登録日
- 2023年8月3日
- 最終更新日
- 2024年3月5日
紹介
建物は建立される目的に即して、規模や用途、構法、意匠などが決まる。
清水寺、金閣(鹿苑寺)、銀閣(慈照寺)、東福寺、知恩院、南禅寺、八坂神社、三十三間堂、上賀茂神社、下鴨神社、北野天満宮、桂離宮、西本願寺、平等院鳳凰堂、天龍寺、延暦寺、平安神宮、東寺、三千院、大徳寺、仁和寺、鞍馬寺、二条城、三井寺、醍醐寺、伏見稲荷、京都国際会館、南座、京都駅・・・。
たとえば千体の観音像を収納することが先に決まっていたからこそ、三十三間堂の南北に長い棟の形式と規模は決定された。秋、建築を愛でながら歩く京都。全体的な造形美もさることながら、ディテールのすごさは、簡単な細部スケッチをするだけでも、新しい発見につながる。
建築家・都市設計家である著者が素描を駆使して建築の奥義を紹介するシリーズに「京都編」が登場。
装丁デザイン=渡部岳大(ウエル・プランニング)
前書きなど
あらためていうまでもなく、建築物の国宝や重要文化財建造物の件数では、ほかの地域を引き離し、圧倒的に京都に集まっています。その中から、これはどう考えても外せないと考えた建築を36事例、リストアップし、解説を試みたのが本書です。建物の主力は平安時代から江戸時代に至る、一般的には古代の後半から、中世、近世の建物ですが、明治維新後の、近代及び現代建築についても選出しています。
紹介の仕方は、時代別に扱うやりかたもありえますが、創建時の建物がそのまま残っている事例よりも、自然災害や戦災などなどで失われ、再建された事例や移築されたものなども少なくありません。そのため、エリア別に紹介することとしました。平安京の歴史を受け継ぐエリアとして、比叡山や琵琶湖周辺にも広げて、対象施設を選んでいます。但し明治以降の建築については、扱う施設数も絞りましたから、ざっと年代に沿って紹介しています。ほかにない特徴や様式美としての完成された姿などを見せてくれる伝統建築については、その魅力こそが絵に是非したい源でもあります。個々には、各建築の解説を参照ください。
本書は建築を中心に解説を行っていますが、建物が建立される目的に即して、規模や用途、構法、意匠などが決まっているわけです。仏教寺院についていえば、本堂を考察する上で、そこに祀られています御仏の大きさや、複数ある場合の配置構成がはっきりしていてこそ、建物の構成も明確になります。象徴的な例としては三十三間堂があげられます。1000体の観音像を収納することが先に決まっていたからこそ、あのような、南北に長い棟の形式と規模が決定されているのです。
このように、建物の建立意図が先にあって、その目的を実現するために、建物の配置や構造、などの仕様が決まるわけですから、目的をある程度、詳しく解説したほうが、建物の仕様の説明になります。ただ、そのための紙面の制約も考慮しなくてはなりません。結果として、今回は、建物そのものの解説を優先し、施主サイドにたった建物建設の目的や用途などについては、簡潔に解説するにとどめています。
文章と絵とは、すべて筆者が作成しています。力点の置き方の違いは、絵にも素直に反映されていますから、線描画とはいえ、表現手法や構図の設定などで、さまざまな描写を行っています。
版元から一言
「百聞は一見にしかず」といいますが、取り上げた建築(群)は、本書を見ながら実物をじっくりご覧いただけることで、本当の意味で特質を的確に理解できるものと確信しています。とりわけ、伝統的な木造建造物については、構造と意匠のハーモニーが絶妙です。こうした場面では、鉛筆などでラフでよいですからスケッチすると、しっかり記憶として定着します。魅力あふれる建築について共通していえることですが、全体的な造形美もさることながら、細部(ディテール)のすごさは、簡単な細部スケッチをするだけでも、発見につながります。ぜひ本書をご持参いただいて、現地の建築(群)をご覧いただきたいですね。
上記内容は本書刊行時のものです。