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周縁の文学 岩本 和子(著) - 松籟社
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周縁の文学 (シュウエンノブンガク) ベルギーのフランス語文学にみるナショナリズムの変遷

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発行:松籟社
A5判
416ページ
上製
定価 5,800円+税
ISBN
978-4-87984-249-7   COPY
ISBN 13
9784879842497   COPY
ISBN 10h
4-87984-249-4   COPY
ISBN 10
4879842494   COPY
出版者記号
87984   COPY
Cコード
C0098  
0:一般 0:単行本 98:外国文学、その他
出版社在庫情報
在庫僅少
初版年月日
2007年2月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2023年2月15日
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紹介

フランスとドイツの間に位置する小国ベルギー。文化的中心地・フランスへの憧れ/反発を常にかかえるこの国は、他国家と共有する3つの公用語(フランス語、オランダ語、ドイツ語)をもつこともあいまって、陰翳に富んだ独特なナショナリズム、及びそれと切り離せない文学とを生み出してきた──ベルギーにおけるフランス語文学の系譜をたどりつつ、文学と国家/言語と国家/文学と言語の関わりを剔抉する、意欲的論考。

目次

序章 国家と文学─ベルギーの場合─
 はじめに 「他者の言語」を生きること
 第一節 ベルギーの言語について
 第二節 フランス語による「ベルギー文学」の定義

第一章 ベルギーにおけるロマン主義運動─想像の〈国民文化〉形成─
 はじめに 独立と「ロマン主義」
 第一節 革命と「フランス」の幻影
 第二節 フランス・ロマン主義の受容=自由主義
 第三節 出版資本主義 海賊版 contre-faon 論争をめぐって
 第四節 〈ロマン主義型ナショナリズム〉と雑誌文化
 第五節 ナショナリズムとゲルマン性
 第六節 フランス的「文明」の幻想とドイツ的「文化」の現実

第二章 シャルル・ド・コステルとベルギー国民神話の誕生
 はじめに ベルギーの「国民文学」作家
 第一節 『フランドル伝説』
  「伝説」の起源─フランドル的なるもの=民族的アイデンティティを求めて─
  言語の問題─テクストのひずみと中心の不在─
  「周縁」の創造性
 第二節 『ウーレンシュピーゲル伝説』
  意図された民族主義文学
  テクストにおける時間・空間の解体
  テクストの普遍化と神話的記号としての『ウーレンシュピーゲル伝説』

第三章 「ベルギー文芸ルネサンス」と文芸雑誌の役割─世紀末三大雑誌と象徴主義─
 第一節 文芸雑誌の変遷─周縁文化の越境─
  小国における文学・芸術雑誌の役割
  文芸雑誌の変遷
  新たな「境界」とその越境へ向けて
 第二節 「若きベルギー派」のめざしたもの─ブリュッセルにおけるコスモポリタニズム─
  「我々らしく Soyons nous」(1881-1882)
  「恐れることなく Ne crains」(1882-1889)
  象徴派との確執
  『若きベルギー』の終焉
 第三節 『ワロニー』誌にみるベルギー象徴派のコスモポリタニズムと地域主義
  象徴派雑誌としての『ワロニー』誌
  『ワロニー』誌の地域主義と限界
  「中心」へ
 第四節 『現代芸術』とベルギー文芸ルネサンス
  『現代芸術』と「社会芸術」
  「若きベルギー派」との闘い
  『現代芸術』とナショナリズム、権威主義
  境界の文学、沈黙の文学へ向けて

第四章 「ベルギー象徴派」の民族性と国際性
 第一節 メーテルランク『ペレアスとメリザンド─ドビュッシーによる〈女中たち〉の削除をめぐって─
  〈女中たち〉の構造的意味
  異界 l'autre monde、水の精としての〈女中たち〉
  〈女中たち〉とゲルマン伝説
  メーテルランクにおける民族精神
 第二節 『ペレアスとメリザンド』における〈メリザンドの歌〉の変更をめぐって
  二つの〈メリザンドの歌〉
  〈メリザンドの歌〉の変遷
  〈メリザンドの歌〉と『一五の歌集』
  『ペレアスとメリザンド』の根源的民族世界
 第三節 ローデンバック『死都ブリュージュ』における民族性の問題
  パリの読者へ
  テクストの時間構成について
  空間構成と事物主義
  沈黙の美学
  風景写真と都市の影
  都市の支配と他者の侵入
  「ベルギー文学」としての『死都』

第五章 世紀末ベルギーの植民地主義と文学テクスト
 はじめに 〈我々〉と〈彼ら〉
 第一節 三つのベルギー「植民地文学」と帝国主義
  『フレム - オゾ』のヨーロッパ主義
  『コンゴにて』とベルギー大国意識
  『ジム』と異質なるもの
 第二節 コンラッド『闇の奥』と不在の都市ブリュッセル
 第三節 「植民地文学」とベルギーのアイデンティティ

終章 ベルギー・ナショナリズムと「ベルギー文学」の可能性を問う
 はじめに ベルギー独立一七五周年
 第一節 ナショナリズム概念とベルギー文学
 第二節 ベルギー文学のその後─二〇世紀の諸制度─
 第三節 現在のベルギー文学の位置
 第四節 ベルギーそしてベルギー文学のこれから

著者プロフィール

岩本 和子  (イワモトカズコ)  (

1959年生まれ。1988年神戸大学大学院文化学研究科博士課程単位修得(文学修士)。現在、神戸大学国際文化学部助教授。共著に『フランス知ってる?』(教科書、青山社、1991年)、『スタンダール変幻―作品と時代を読む―』(慶應義塾大学出版会、2002年)、『欧州諸国の言語法―欧州統合と多言語主義―』(三元社、2005年)、その他ベルギーの文学・芸術活動およびスタンダールなどに関する論文多数。

上記内容は本書刊行時のものです。