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穆時英 短編作品集 穆 時英(著) - 鳥影社
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穆時英 短編作品集 (ボクジエイ タンペンサクヒンシュウ)

文芸
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発行:鳥影社
四六判
198ページ
定価 1,800 円+税   1,980 円(税込)
ISBN
978-4-86782-198-5   COPY
ISBN 13
9784867821985   COPY
ISBN 10h
4-86782-198-5   COPY
ISBN 10
4867821985   COPY
出版者記号
86782   COPY
Cコード
C0097  
0:一般 0:単行本 97:外国文学小説
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2026年2月21日
書店発売日
登録日
2026年1月6日
最終更新日
2026年2月5日
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紹介

1930年代の上海、迫り来る戦乱を前に、きらめく光と喧噪、目くるめく色彩に満ちた十里洋場の金字塔は、その基層にダンスホールのリズムに泡影のごとく消えいく人々を包摂して鳴り響き、天に向けて怒りと苦悶の叫びを上げていた。30年代上海の空に彗星のごとく輝いた海派文学の旗手、穆時英の代表作五編を収録する。

金のある奴らには一元なんて端金だが、俺たちは命と引き換えだ。死ぬほど走らなくてはならない。暑い暑い熱毒の日に、客は「遅いぞ、もっと速く走れ」と怒鳴る。アスファルトの道は全部溶けて、踏み出す足の一歩一歩が、まるで煮えたぎる油を踏んでいるみたいで、心と体をしきりに痛めつける。(「上海の獅子」より)

目次

上海のフォックストロット

空閑少佐
ライラック
上海の獅子

大柏樹 柏葉海人
穆時英と上海 柏葉海人
収録作品について

前書きなど

穆時英は、中国現代文学史における都市文学の先駆者、海派文学の代表作家であり、中国「新感覚派小説の名手」と称される。
一九三〇年、都市に生きる下層民の悲哀と憤怒を「俺」が告白する形で描いた「俺たちの世界(咱们的世界)」が文芸誌上に発表され、穆はたちまち文壇の注目を集めた。一九三二年に最初の短編集「上海の獅子」が発表、出版されると、屈強で粗野な主人公を通して都市の上流社会と下層社会の対極を独特な視角と表現手法で描いた表題作「上海の獅子」は、左翼文壇を中心に多くの文芸評論家及び読者から高い評価を受けた。
その一方、穆が自身の恋愛経験をもとに「意識の流れ」による手法で描いた作品(本書に収録する「玲」や「ライラック」など)や、奇形なあだ花のごとく繁栄する上海を欲望、誘惑、虚栄、耽美、退廃の音調や色調で描いた作品(本書に収録する「上海のフォックストロット」など)を発表するに及んで、左翼文壇は穆文学を外皮が赤いだけの白い人参に過ぎないなどと強く批判し、この評価は以後の穆の創作に常につきまとうことになる。これらの作品は、技巧的に横光利一、中河与一ら日本文壇における新感覚派の文体や作風を試み、フロイト的心理小説の性格をも帯びるに至る。ナイトクラブ、カフェ、バー、映画館、ダンスホール、競馬場、百貨店、フォックストロットやジャズの音楽、カクテル、モデル、ダンサー、ネオン、自動車、路上の喧噪……、これらの要素を舞台装置に配して、都市生活者の微妙で繊細な心理を描いている。
一九三七年、香港に滞在中、穆は政治言論誌に「MONTAGE論」を発表した。ここで映画芸術における時間と空間、画面、画面の編集、キャメラの位置と角度、リズム、音響等について、映画のモンタージュ手法の重要性を説いた。「上海のフォックストロット」は、時間の交錯、空間の跳躍、事件の錯綜、目くるめく色彩、氾濫する映像……これらの要素を駆使して、小説においてこの手法を試みた実験的作品である。

著者プロフィール

穆 時英  (ボク ジエイ)  (

穆時英(ぼく・じえい)
1929年光華大学西洋文学部に入学した当初から創作を始め、翌30年には文芸雑誌に処女小説を発表した。以後、本書所収の「上海の獅子」、「ライラック」等の作品を次々に小説集として発表し、一躍文壇の注目を集めた。当時日本文壇において大きな影響力を有した新感覚派文学に西欧の近代モダニズム文学の精神と手法を取り入れた当時として非常に斬新で先進的な表現手法及びその文学精神は高く評価され、現代でも色褪せることはない。1940年に親日的と目され凶弾に倒れ、28歳で死亡するまでのわずか10年ほどの短期間に書き上げた数々の作品は、今なお不朽の輝きを放っている。訃報を得た横光利一は、当時『文学界』に追悼文を寄稿し、志半ばにして深化の道を断たれた彼の死は、中国文学及び東洋の文学界の大きな損失だと「海派文学の聖手」の死を悼んでいる。

柏葉 海人  (カシワバ カイト)  (

柏葉海人(かしわば かいと)
1953年神奈川県生まれ。
作家、翻訳家。
主な訳書として、
韓寒『小竜の国─亭林鎮は大騒ぎ』(鳥影社)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。