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歌う日本語 田窪 行則(編) - 文学通信
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歌う日本語 (ウタウニホンゴ) 歌謡曲の言語と文学 (カヨウキョクノゲンゴトブンガク)

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発行:文学通信
A5判
320ページ
並製
価格 2,400 円+税   2,640 円(税込)
ISBN
978-4-86766-123-9   COPY
ISBN 13
9784867661239   COPY
ISBN 10h
4-86766-123-6   COPY
ISBN 10
4867661236   COPY
出版者記号
86766   COPY
Cコード
C0081  
0:一般 0:単行本 81:日本語
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2026年4月10日
書店発売日
登録日
2026年3月11日
最終更新日
2026年4月10日
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紹介

歌謡曲・J-POPの言語学入門!
歌謡曲やJ-POPは、何をどうすれば、どこまでわかるようになるのか。
ことばの楽しみ方から学んでいく書。

本書は、歌謡曲やJ-POPの歌詞の分析を通じて、日本語の性質、文学的背景などの知識を身に着けることを目標にします。また、そのようにして身に着けた日本語に関する分析能力、文学的知識をもとに、日頃みなさんが聞いている歌の理解を深められるようにします。

全3部で構成。第1部「歌謡曲の言語学」では、歌詞の言葉そのものを言語学に基づいて解説。第2部「歌謡曲の文学・音楽史」では、文学や音楽の歴史の観点から歌謡曲を分析。第3部「分析を応用してみよう」では、言語学・日本語学・日本文学の知識を応用して歌詞を分析していきます。各章は、歌の日本語の音の使い方、単語の作り方、歌の日本語と普通の会話の日本語との違い、歌の主人公の気持ちをいかに知ろうとするのか、歌詞に使われている日本語の修辞法、文学としての歌…などが解説されています。

表記論、音声学、音韻論、ラップと韻、統計、ジャンル、AIでの歌詞分析、統語論、語用論、社会言語学、役割語、キャラ語、ジェンダー、敬語、イディオム・決まり文句……ありとあらゆる分野から、第一線の研究者が歌謡曲やJ-POPを読み解きます。またコラム記事も満載でいろいろな豆知識も学べるようにしました。

ぜひ、カラオケボックスに来た気分でお楽しみください!

執筆は、有田節子、大田垣仁、岡島昭浩、岡本光加里、尾谷昌則、柏野和佳子、金水 敏、小林雄一郎、近藤泰弘、定延利之、志波彩子、田窪行則、田村早苗、中村桃子、平田 秀、藤本真理子、細馬宏通、モクタリ明子、山崎 誠、輪島裕介、渡部泰明の全21名。

目次

はじめに(田窪行則)

「片思い」か「すれ違い」か──歌詞のいろいろな解釈
歌謡曲を通してことばの楽しみ方を共有しよう
本書の構成と解説

第1部 歌謡曲の言語学

第1編 音声・音韻と表記

1 表記論─「ひとり」や「いちばん」は歌詞でどう書かれているか (柏野和佳子)

はじめに
日本語の表記の指針
新聞記事はどう書いているか
テレビ放送の字幕はどうか
「いちばん」をどう書くか
おわりに

2 音声学(定延利之)

はじめに
ピンキー(今陽子)の「あいうえお」
前川清とアリスの「あ」
玉置浩二と藤井フミヤの「い」
山本リンダの「う」
おわりに

3 音韻論「ん」の話(田窪行則)

はじめに
日本語の「ん」の特徴づけ─思い出話
日本語教育における「ん」
歌謡曲における「ん」の発音─条件異音の自由異音化
おわりに

4 ラップと韻、音節かモーラか(平田 秀)

はじめに
日本語ラップの韻について
モーラと音節
歌におけるモーラと音節
おわりに

5 ボカロ─初音ミクとAI美空ひばり(モクタリ明子)

はじめに
人間と機械
聞き手にとってのボカロ
作り手にとってのボカロ
おわりに

コラム 歌い手と歌詞─ ボカロとアイドルグループの場合(近藤泰弘)
人称とボカロ
人称と記号接地
ダイクシスと時間

第2編 語彙と形態論

6 統計(小林雄一郎)

はじめに
流行歌の語彙の経年変化─歌詞は時代を映す鏡
語種の変化─漢語の増加と外来語の減少
文字種の変化─漢字の増加とカタカナの減少
おわりに

7 ジャンルと特徴(山崎 誠)

はじめに
データと方法
使用頻度
特徴語
おわりに

8 歌詞から作詞者がわかるか─機械学習の方法(近藤泰弘)

はじめに
BERTによる分類タスク
BERTによる文体分類の方法
作詞者分類の具体的手順
これからの研究の方法
おわりに

コラム  昭和歌謡は異様にドラマチック(金水 敏)
感情移入を誘うドラマ性
映画・演劇等との競作
場所の特性
近年はドラマ性希薄

第3編 統語論

9 歌詞の助詞を味わう(田村早苗)

はじめに
「を」と移動と場所
終助詞

10 疑問文(志波彩子)

疑問、質問、自問(疑念)
疑問文の中の「の」
肯否疑問文
間接疑問文
疑問と不定
おわりに

11 指示詞・代名詞・呼びかけ(藤本真理子)

はじめに
呼びかけにあったりなかったりする「よ」
呼びかけの相手はどこにいる?
呼びかけて何をする?
歌謡曲における呼びかけの「よ」の働き

12 仮想世界を歌う「条件文」(有田節子)

日本語の条件文
「もし」「もしも」
歌詞における「なら」の存在感
条件文とその関連表現
おわりに─歌詞の中の条件文

13 思い出の中の「は」と「が」(有田節子)

「は」と「が」の基本用法
「属性づけ」と「値づけ」
主題の「は」
背景にとどまる「が」、聴き手を巻き込む「は」
意外性の「が」、対比的な「は」
「は」と「が」のおさらい

14 受身文・可能文(志波彩子)

はじめに
飾りじゃないのよ涙は─直接受身と間接受身
実は難しい、直接・間接の区別
受身文の機能とジャンルとの深い関係
二つの可能文
受身と可能
おわりに

コラム AIの比喩理解はすごい─というか人間もすごい(田窪行則)
はじめに
「愛が眠りにつく」─擬人化、意味拡張
「角氷が愛にささやく」─換喩、暗喩、擬人化
「愛の眠り」から「女性が眠っている情景」
おわりに

第4編 語用論・社会言語学

15 概念メタファーが歌の情景を立ち上げる(大田垣 仁)

はじめに
人生は川の流れのように
終着駅はどこなのか
シティ・ポップの新しい恋愛観
喪失は苦い
おわりに

16 役割語・キャラ語(金水 敏)

キャラクターと役割語
《キャラクター》と《人格》について
出自としての〝世界〟
身体的属性
行動的属性
社会的属性
心的属性
固有名の歌
おわりに

17 ジェンダー─歌詞が変化させる日本語の男女別自称詞(中村桃子)

はじめに
男女別自称詞の規範の問題点
〈みんな〉を指す「ぼくら」と「ぼくたち」
演歌・歌謡曲の「わたし・あなた」と「おれ・おまえ」
女性アーティストの「あたし」
女性アーティストの「ぼく」
おわりに

18 敬語─「です・ます」の歌(近藤泰弘)

はじめに
主張を持った丁寧語
呼びかけ・手紙の丁寧語
大衆にコミュニケーションする丁寧語
その後の丁寧語の歌謡曲

19 イディオム・決まり文句(尾谷昌則)

はじめに
二種類の慣用句
慣用句は死んでいる?
慣用句を複合的な視点から捉える
英訳歌詞の慣用句から見えてくるもの

コラム  生成AI時代に歌詞の「喩」をどう読むか(大田垣 仁)

第2部 歌謡曲の文学・音楽史

1 囃子詞の近代音曲史(輪島裕介)

はじめに
明治・大正の囃子詞
「流行歌」の形成と囃子詞
戦後歌謡曲の中の囃子詞復興
囃子詞の持続と拡散
おわりに

2 歌の人称性(渡部泰明)

はじめに─「恋人よ」とは呼びかけない
「君」は誰?
和歌の中の人称性

3 技法─和歌の掛詞と現代の表現(岡本光加里)

はじめに─BEYOOOOONDS
和歌の掛詞のあらまし
現代の掛詞的表現─相対性理論・Perfume・Tempalay
掛詞の持つ可能性─FORK・RYUZO
現代ならではの展開─羊文学・Creepy Nuts・なみちえ

4 歌詞の文献学(岡島昭浩)

はじめに
タイトルの揺れ
歌詞の揺れ
歌本などで歌詞を見る場合
歌本で拾える歌詞はどれほどか
歌本によって歌詞はどう異なるか

コラム  洒落男(ゲイ・キャバレロ)(金水 敏)
「俺は村中で一番」
原曲と訳詞
人称詞の変化

第3部 分析を応用してみよう

1 歌唱モダリティにおける等価性─Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」(細馬宏通)

はじめに─詩的機能と等価性
言語間を越境する歌唱モダリティ
ヒップホップ文化の継承と更新

2 歌謡曲と文法研究(定延利之)

はじめに
月の法善寺横町
その気にさせないで
17才

3 歌の叙述トリック(岡島昭浩)

予想外の展開となる歌詞
あると思ったものが消える
肩透しだけではない展開
叙述トリックに掛かっていたと気づく歓び

コラム  秋のリヴィエラ─男は誰に別れを告げたのか(渡部泰明)

執筆者一覧
索引(歌手・作詞家・曲名)


【執筆者一覧】(五十音順)

有田節子(ありた・せつこ)
立命館大学教授(日本語学、日本語文法論)
【著書・論文】『日本語条件文の諸相 地理的変異と歴史的変遷』(編著、くろしお出版、二〇一七年)、『日本語条件文と時制節性』(くろしお出版、二〇〇七年)など

大田垣仁(おおたがき・さとし)
近畿大学准教授(認知意味論〈メンタル・スペース理論、比喩の研究〉)
【著書・論文】「種による提喩は換喩なのか?―種による提喩の背景にある2種類の推論」(『文学・芸術・文化:近畿大学文芸学部論集』三五(二)、近畿大学文芸学部、二〇二四年)、「比喩が介在した“N1のN2”型名詞句について」(『語文』一一五、大阪大学国語国文学会、二〇二〇年)など

岡島昭浩(おかじま・あきひろ)
大阪大学名誉教授(日本語史)
【著書・論文】「近代語資料としての『史談会速記録』」(『コーパスによる日本語史研究 近代編』ひつじ書房、二〇二一年)、「昭和初期、福岡県直方の方言矯正書二種」(『筑紫語学論叢3』風間書房、二〇二一年)など

岡本光加里(おかもと・ひかり)
和洋女子大学助教(中世を中心とする和歌の表現研究)
【著書・論文】「文字遊戯の表現性―離合詩・字訓詩・拆字の特性と文屋康秀「吹くからに」の再解釈」(『國語國文』九三―七、二〇二四年七月)、「国語科教育における『小倉百人一首』の教材価値再考」(『むらさき』五九、二〇二二年一二月)など

尾谷昌則(おだに・まさのり)
法政大学教授(認知言語学、構文の拡張)
【著書・論文】「「なので」の脱文法化と間主観化について―「だから」との比較を通じて」(趙華敏主編『日語語用学研究』外語教学与研究出版社、二〇二一年)、『構文ネットワークと文法―認知文法のアプローチ』(共著、研究社、二〇一一年)など

柏野和佳子(かしわの・わかこ)
国立国語研究所教授(日本語学)
【著書・論文】「表記ゆれの実態と国語辞典の表記情報との比較」(岩崎拓也編『日本語表記の多様性』ひつじ書房、二〇二五年)、『岩波国語辞典』第八版(共編著、岩波書店、二〇一九年)など

金水 敏(きんすい・さとし)
放送大学大阪学習センター所長(日本語学・役割語研究)
【著書・論文】『よくわかる日本語学』(編著、ミネルヴァ書房、二〇二四年)、『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』(岩波現代文庫、二〇二三年)など

小林雄一郎(こばやし・ゆういちろう)
日本大学准教授(コーパス言語学、テキストマイニング)
【著書・論文】『Rによるやさしいテキストアナリティクス』(オーム社、二〇二三年)、『ことばのデータサイエンス』(朝倉書店、二〇一九年)など

近藤泰弘(こんどう・やすひろ)
青山学院大名誉教授(日本語学)
【著書・論文】『改稿日本文法の話︹第三版︺』(解説、筑摩書房、二〇二四年)、『みんなで読む源氏物語』(共著、早川書房、二〇二三年)など

定延利之(さだのぶ・としゆき)
京都大学教授(言語学)
【著書・論文】「より豊かな言語学をめざして」(『言語研究』一六七、二〇二五年一月)、「話し手にとって境界とは?:現代日本語共通語の「自立性が無い接ぎ穂発話」を中心に」(『日語詞汇研究』、二〇二四年三月)など

志波彩子(しば・あやこ)
名古屋大学教授(言語学)
【著書・論文】『日本語の受身構文タイプとテキストジャンル』(和泉書院、二〇一五年)、「ジャンル・テキストとその要素としての構文 受身構文を例に」(『日本語文法』二三ー二、二〇二三年)など

田窪行則(たくぼ・ゆきのり)
京都大学名誉教授、国立国語研究所名誉教授(言語学)
【著書・論文】『基礎日本語文法 第3版』(共著、くろしお出版、二〇二四年)、『日本語の構造:推論と知識管理』(くろしお出版 二〇一〇年)など

田村早苗(たむら・さなえ)
北星学園大学准教授(言語学、日本語学、意味論)
【著書・論文】『日本語パラグラフ・ライティング入門』(共著、研究社、二〇二二年)、『認識視点と因果:日本語理由表現と時制の研究』(くろしお出版、二〇一三年)など

中村桃子(なかむら・ももこ)
関東学院大学名誉教授(ことばとジェンダー)
【著書・論文】『翻訳から広がる日本語―女ことば・男ことば・疑似方言』(白澤社、二〇二五年)、『ことばが変われば社会が変わる』(ちくまプリマー新書、二〇二四年)、『「自分らしさ」と日本語』(ちくまプリマー新書、二〇二一年)など

平田 秀(ひらた・しゅう)
武蔵野大学准教授(方言のアクセント・Jポップのリズム)
【著書・論文】『三重県尾鷲方言のアクセント研究』(ひつじ書房、二〇二〇年)、「リズムからみた日本語歌謡曲―二〇一〇年代から二〇二〇年の楽曲を題材に」(『日本語学』四〇―一、二〇二一年)など

藤本真理子(ふじもと・まりこ)
尾道市立大学教授(日本語の歴史的変化)
【著書・論文】「日本語指示詞の変容―聞き手の存在と結びついた「そ」」(野田尚史・小田勝編『日本語の歴史的対照文法』和泉書院、二〇二一年)、「中古のカ(ア)系列とソ観念指示用法―古典語における知識の切り替わりから」(岡﨑友子・衣畑智秀・藤本真理子・森勇太編『バリエーションの中の日本語史』くろしお出版、二〇一八年)など

細馬宏通(ほそま・ひろみち)
早稲田大学教授(行動学)
【著書・論文】『マンガはうたう―なぜ平面から音が聞こえてくるのか』(青土社、二〇二五年)、『うたのしくみ 増補完全版』(ぴあ、二〇二一年、初版二〇一四年)など

モクタリ明子(もくたり・あきこ)
富山県立大学准教授(音声言語コミュニケーション)
【著書・論文】「非流暢な音声合成に向けて」(共編、『流暢性と非流暢性』ひつじ書房、二〇二四年)、「人物像に応じた個人内音声バリエーション」(共著、岡田浩樹・定延利之編『可能性としての文化情報リテラシー』ひつじ書房、二〇一〇年)など

山崎 誠(やまざき・まこと)
国立国語研究所客員教授(計量日本語学)
【著書・論文】『Quantitative Approaches to Universality and Individuality in Language』(共編著、De Gruyter Mouton、二〇二二年)、『テキストにおける語彙的結束性の計量的研究』(和泉書院、二〇一七年)など

輪島裕介(わじま・ゆうすけ)
大阪大学教授(音楽学、近代音曲史)
【著書・論文】『昭和ブギウギ:笠置シヅ子と服部良一のリズム音曲』(NHK出版新書、二〇二三年)、「北島三郎論」(WEB新潮で連載中)など

渡部泰明(わたなべ・やすあき)
国文学研究資料館館長
【著書・論文】『和歌史 なぜ千年を越えて続いたか』(KADOKAWA、二〇二〇年)、『和歌とは何か』(岩波書店、二〇〇九年)、『中世和歌の生成』(若草書房、一九九九年)など

著者プロフィール

田窪 行則  (タクボ ユキノリ)  (

京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。京都大学名誉教授、国立国語研究所名誉教授(言語学)。著書に『琉球列島の言語と文化―その記録と継承―』(編著、くろしお出版、2013)、『日本語の構造―推論と知識管理―』(くろしお出版、2010)、『基礎日本語文法 第3版』(共著、くろしお出版、2024)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。