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徹底討議5万字!語りつくす文体史のゆくえ
『文体史零年 文例集が映す近代文学のスタイル』出版記念座談会
- 初版年月日
- 2025年12月25日
- 発売予定日
- 2025年12月25日
- 登録日
- 2025年12月3日
- 最終更新日
- 2025年12月3日
紹介
書き手の態度や依拠文法ごとの区分として捉えられてきた「文体」は、実証的かつ具体的な分析概念として鍛えなおされ、「文体」によるあらたな文学の研究方法がうちたてられようとしている。(多田蔵人)
『文体史零年 文例集が映す近代文学のスタイル』(令和7年3月31日、文学通信)の出版準備がととのいつつあった令和6年10月13日に、国文学研究資料館共同研究室にて行われた討議の記録。
『文体史零年』は、幕末から戦後にかけてさまざまなジャンルで大量に発行された「文例集」――模範文集や語彙集、アンソロジーにいたるまでを広くこう呼んでいる――を手がかりとして、近代文学の「スタイル」を把握しようとする論文集であった。
「徹底討議」の語は見栄や看板ではない。
討論は13時から18時まで、ほとんど休憩なしに行われた。『文体史零年』所収論文と同書所収の文例集カタログ「文範百選」の執筆を終えた時点での討議であるため、文体史の稜線のようなものは、本書の方がかえって見えやすくなっているかもしれない。あちこちに見える意見の衝突や対立も、それ自体が出発を告げた学問のわかわかしいエネルギーの証である。お手にとった方にはぜひとも自分なりの「異議」を育てていただき、さらに『文体史零年』本冊をもご覧いただきたいと思う。
目次
序言
Ⅰ まずは研究紹介から
前口上―共同研究の経緯/尾崎紅葉と「文範」/写生文と美文―描かれた空間を脱色する/歌語を浸透させる「詞寄」/表現の辞書としての需要/複数の〈文〉と「同胞姉妹に告ぐ」/教育と文例/思想と表現のズレをどう読むか/素人と玄人の力学
Ⅱ 討議1
文範・文例集の明治
「文範」か「文例」か?/言文一致のスピードと軍人向け文例集/明治後期~、素人っぽさへの志向/読者コミュニティの捉えかた/「作品」と文の複数性/『自然と人生』というジャンル
Ⅲ 討議2
文体はどこへ行くのか?
詩歌の流派と文体/詩論とルールと実作/模倣と均質な声の登場/女性向け文例集/言葉の平準化/文例集的文学の再登場
上記内容は本書刊行時のものです。
