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幕末の社会変革と文芸 佐藤 温(著) - 文学通信
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幕末の社会変革と文芸 (バクマツノシャカイヘンカクトブンゲイ) 菊池・大橋家の文人たちの歩みを追って (キクチオオハシケノブンジンタチノアユミヲオッテ)

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発行:文学通信
A5判
512ページ
上製
価格 6,500円+税
ISBN
978-4-86766-036-2   COPY
ISBN 13
9784867660362   COPY
ISBN 10h
4-86766-036-1   COPY
ISBN 10
4867660361   COPY
出版者記号
86766   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年2月29日
書店発売日
登録日
2024年2月7日
最終更新日
2024年3月14日
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紹介

幕末社会を生きた人々にとっての文芸の意味とは何か。
江戸後期から幕末にかけての「文人」と呼ばれる人々の実態はどのようなものだったのか。
文久2年(1862)1月、時の老中安藤信正が江戸城坂下門付近で攘夷や尊王を掲げる志士たちによる襲撃を受けた、後に坂下門外の変と呼ばれるこの事件に深い関わりを持つこととなった菊池・大橋家の人々の生き様を通して、その意味を明らかにしていく。
時代を下るにしたがって、文芸の大衆化による文人が増加していくなか、そのあり方と定義はどう考えればいいのか。文芸活動の実社会とのつながりはどうだったのか。幕末における文芸の社会的意義とは何か。
激しく動揺する社会の有様をも詩中に詠み込み、その詩は志を同じくする文人たちへと伝播していく――。文芸に取り組むことが彼らにもたらしたものは一体何だったのか。文人という存在の意味を探っていく書。

【はたして、同家の人々が幕末社会を生きる中で文芸を自身の中心に据え、自他共に認める文人として活動したことは何を意味するのか。そして、坂下門外の変へと通じるような時局観がなぜこの文人たちの中で醸成され、それが行動へと繋がっていくのか。これらの問題を検討することにより、本書では文人の結社が幕末の人々を動かした思想や言説の依拠する一つの場として社会的な意義を有していたこと、そして文人という概念が変革期を生き抜くためのアイデンティティの形成に寄与するものであったことを明らかにする。】......序章より

目次

凡例

序 章 幕末の「文人」の姿と菊池・大橋家の人々
1.菊池・大橋家の人々の足跡と横顔/2.幕末社会と文人/3.本書の構成


第一部 「文人」大橋淡雅の生きた幕末

第一章 富商大橋淡雅の文事と時局
1.はじめに/2.大橋淡雅の略歴/3.文事への傾倒と施行/4.菊池・大橋家の施行とその表象/5.幕末の文人たちと窮民救済/6.鑑定会と時局運動/7.おわりに

第二章 幕末の文人サークルと書画市場
1.はじめに/2.文人サークルと特権鑑定家の権威をめぐる衝突/3.古筆家の主張する特権と幕末の書画市場における文人サークルの活動/4.文人サークルの制作した書画鑑定帖/5.『書画展観略記』の制作者と安西雲煙/6.記録が物語る書画展観会の様子/7.幕末期書画市場の広がり/8.おわりに
付帯資料 『古筆了伴/安西雲煙 鑑定一件始末』翻印


第二部 菊池教中の文人意識と『澹如詩稿』

第一章 「文人」になることの意味―菊池教中『澹如詩稿』をめぐって
1.はじめに/2.菊池教中の略歴と『澹如詩稿』の成立および出版過程/3.教中の田園詩と閑居への憧憬/4.教中の文事とその「効用」/5.新田のもたらした閑境
6.時局に対する閑居からのまなざし/7.おわりに

第二章 詩人の夢見た理想郷―菊池教中の経世意識と『澹如詩稿』
1.はじめに/2.国難への対処と新田開発/3.家業の継承と当主としての自覚/4.時局への関心と施行/5.教中の領導意識と新田の詩/6.領導意識の高まりから勤王へと至る射程/7.おわりに

第三部 大橋訥庵の攘夷運動と文芸

第一章 「攘夷家」大橋訥庵像の形成過程
1.はじめに/2.訥庵の生涯/3.訥庵をめぐる研究動向/4.訥庵に対する評価の傾向/5.同時代人による訥庵評/6.おわりに

第二章 文人「閑居」の戦略性―大橋訥庵の小梅村移居の背景と目的 
1.はじめに/2.小梅村への転居とその通知引札/3.閑居のねらい/4.『闢邪小言』刊行をめぐる問題/5.訥庵による献策とそれに対する反応/6.訥庵の転居が喚起した評判/7.おわりに

第三章 幕末の志士が読む南宋の興亡―大橋訥庵「陳龍川文鈔序」を中心に 
1.はじめに/2.南宋の運命と幕末日本の対比/3.大橋訥庵「陳龍川文鈔序」に見る陳亮の評価/4.陳亮の文の特徴としての「気」/5.幕末における陳亮の政策案への関心/6.おわりに

第四部 菊池・大橋家の女性たちと文芸

第一章 菊池民子『倭文舎集』に見る商家婦人の文芸活動
1.はじめに/2.民子の生涯と文芸への取り組み/3.歌集『倭文舎集』出版の経緯/4.菊池・大橋家の女性たちと和歌/5.民子と吉田敏成の交遊/6.民子と藩主夫人の和歌を通した交際/7.和歌を通して形成された民子の交遊圏/8.おわりに

第二章 大橋巻子と『夢路の日記』―その主題をめぐって
1.はじめに/2.『夢路の日記』の背景/3.日記文学としての虚構性/4.物語の背景にある和歌の贈答/5.「君がため」の死と遺族の悲嘆/6.おわりに

第三章 『夢路の日記』の裏側―書簡が語る大橋巻子の文久二年
1.はじめに/2.訥庵・教中幽囚期における大橋家の処遇/3.救出活動の指揮者としての巻子/4.巻子の情報収集/5.書簡に綴られた『夢路の日記』の原型/6.おわりに

第四章 『夢路の日記』の成立と伝播
1.はじめに/2.先行研究における善本の策定過程/3.諸本の比較とその特徴/4.巻子が語る執筆過程/5.写本の伝播経路/6.長州藩の志士雪冤運動と『夢路の日記』の出版/7.『夢路の日記』のその後/8.おわりに

終 章 菊池・大橋家の人々にとっての文芸の意味

あとがき
初出一覧
索引

著者プロフィール

佐藤 温  (サトウ アツシ)  (

1980年生まれ。2003年、東京大学教養学部超域文化科学科卒業。2011年、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程単位取得満期退学。
現在、日本大学経済学部専任講師。博士(学術)。
[主要論文]
「富商大橋淡雅の文事と時局」(『近世文藝』第86号、2007年7月)、「「文人」になることの意味―菊池教中『澹如詩稿』をめぐって」(『比較文學研究』第95號、2010年8月)、「藤森弘庵『春雨楼詩鈔』と幕末の出版検閲」(『近世文藝』第103号、2016年1月)、「幕末の志士における「正気歌」の受容―「正気」の解釈に着目して」[鈴木健一・杉田昌彦・田中康二・西田正宏・山下久夫(編)『江戸の学問と文藝世界』森話社、2018年)]。

上記内容は本書刊行時のものです。