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「愛着」は学校で修復できる
問題行動を捉えなおし、子どもと教師を支援する“現場の道標”
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2026年7月5日
- 書店発売日
- 2026年6月5日
- 登録日
- 2026年4月9日
- 最終更新日
- 2026年5月24日
紹介
近年、学校現場では、不登校、問題行動、いじめ、学級崩壊など、多くの課題が深刻化している。
こうした問題の背景にあるのが、「愛着」のつまずきである。
著者は長年にわたり愛着理論を研究。全国50校以上の校内研修、200件近い個別相談を通して、現場教師とともに実践を積み重ねてきた。
対応に迷う教師を支え、子どもとの関係を立て直す具体的で確かな修復のアプローチを提示する、教師の現場から生まれた、教師のための実践的指針。
目次
■第一章 学校現場でできる愛着の理解と支援の第一歩
(1)誰にでも愛着の課題はある──3つの愛着スタイル
(2)行動の背景にあるもの――3つの要素で生まれる問題行動 ……ほか
■第二章 愛着障害・愛着課題がある子にチーム学校でどう対応する?
(1)愛着障害・愛着課題の子どもへの対応・基本原則「先手と主導権」
(2)集団で考える愛着支援 ……ほか
■第三章 愛着修復の視点で行う学級経営
(1)授業の中でひとりひとりに特別な関わりを
(2)役割付与支援──全ての子に有効な支援方法 ……ほか
■第四章 愛着から起こる問題行動──チーム学校としての事例別の対応例
(1)愛着の視点を大切にした不登校への対応
(2)離席・エスケープ(教室からの意図的な逃避)対応 ……ほか
■補 章 逸らす技術、感情教育、セリフを用意しておく
(1)逸らす支援──後手から先手へ
(2)感情教育
(3)セリフを決めて対応しよう ……ほか
前書きなど
はじめに
今から二十数年前、新卒教師として働き始めた。
戸惑うことは多くあったが、それでも、周りの先生方に支えられて、失敗し、頭を打ちながらも、何とか職務を全うすることができていた。そんな折、大学の同期で仲の良かった同じく教職の女性の先生と再会する機会があった。その先生は大阪でも有数の貧困、虐待やネグレクトなどが多発する地域で養護教諭として勤めていた。明るくて、いつも笑顔が素敵な女性だったが、げっそりと痩せて、ものすごく疲れた様子だった。びっくりした。その先生の言った言葉がいまだに、心に残っている。
「愛情を受けてこなかった子、愛情を与えられてこなかった子どもは、普通の教育では全く歯が立たない。大学で学んできたこと、今まで勉強してきたことは、全然通用しない。
『お前は大丈夫なのか?』
『お前は信用できるのか?』
ありとあらゆる方法で試してくる。
罵声を浴びせたり、ボールをぶつけたりしてくる。
それでも、愛情を与えないといけない。」
当時の自分は、全く理解ができなかった。
とにかく、大変な場所で働いているんだ。自分もめちゃくちゃ大変だけど、上には上がいるもんなんだな。その程度にしか思わなかった。
ほどなくして、自分もネグレクト、虐待を受けている子どもを担任することになる。
今までの自分の価値観が全く通用しなくなる経験を山のようにする。
関われば関わるほどうまくいかない。
寄り添い方が足らないのだろうか?
もっと寄り添わなくては……
でも、相手の言うことを聞き、それに合わせれば合わせるほど、問題行動は多発した。
当時、自分はどのように対応すべきか、どうしていいかが全く分かっていなかった。
そして、悩めば悩むほど、その責任をどこかに求めたくなった。
自分の教師としての力量不足?
いや、俺は限界までやっている。
きっと、誰がもってもこの子は変わらないんだ。
家庭が悪いんだ。俺は悪くない。
そんなことを考えては自己嫌悪に陥っていた。
でも、そんなふうに誰かを責めてみても、何の解決にもならなかった。
ほどなくして、衝撃的な事実を知ることになる。
それは、暴力やネグレクトなどのいわゆる虐待を受けていない子どもたちでも、同じような症状が生まれるということ。このことを聞いて、腑に落ちることが山のようにあった。
家庭環境は安定している。しかし、虐待やネグレクトを受けた子どもと同等、いやそれ以上に、問題行動が頻出している子どもたちがいるというのだ。
事実、荒れたクラスを担任したときには、本当にそのようなことを多く経験した。
愛着障害。
ちょうどその頃から、この言葉を教育界でも聞くようになる。
愛着の障害。愛着が原因なのか?
どうすれば、この学校現場が抱える問題を解決することができるのか?
そうやって、悩んでいたときに、和歌山大学の米澤好史先生の存在を知る。米澤先生の書籍、『やさしくわかる! 愛着障害──理解を深め、支援の基本を押さえるやさしく分かる愛着障害』(ほんの森出版)。この本を読んだときに、これまでの自分の悩み、葛藤が解決し、全て一つの道筋が示されたような印象があった。
『愛着の修復』
それは、これまで自分が学んできた特別支援とは明らかに違った視点が必要だった。しかしそれと同時に、学んできたことも決して無駄ではないということがはっきりと分かった。
愛着の修復を学校現場で行うことは、決して不可能ではない。しかし、明らかに考え方の変換が必要で、コツがあるのだ。
そして、そのことが分かれば、誰かの責任にすることなく教師も子どもも保護者も無理なく、問題行動を少なくすることができる。そんなことが分かってきた。
このことを、できるだけ多くの人に伝えたい。そして自分と同じような悩み、経験をしている人たちの力になりたい。そうした強い思いから、米澤先生の理論を広める活動をするようになった。
オンライン、対面を含め、百校近い学校の先生方と関わり、話をする機会をいただいた。そして、ここ数年は個別にも相談に乗るようになった。
そんな経験を繰り返し、悩んでいるのは決して自分だけではないということがはっきりと分かるようになった。
ただ、やはり、自分一人で出会う人数にはどうしても限界がある。もっと多くの人に愛着の理論を知ってもらいたい。
そんな折に、学芸みらい社から今回の出版の機会をいただいた。
この書籍が一人でも多くの、私と同じ悩み、葛藤を抱えて苦しんでいる先生方の支えになれば、望外の喜びである。 本吉伸行
版元から一言
愛着障害について、医療の専門家による解説書は多く刊行されています。
一方、本書の特徴は、教育現場で生まれ、教育現場にカスタマイズされた愛着対応の具体策を伝えるところにあります。
本書の著者は、著名な愛着理論の研究者・米澤好史氏に長年にわたって師事し、全国50校以上の校内研修、200件近い個別相談を通して、現場教師とともに愛着対応の実践を積み重ねてきました。
その著者が自身の実践をふまえて、「教師の/教師による/教師のための愛着対応・愛着教育」の実践的指針を提案します。
上記内容は本書刊行時のものです。
