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スイート・スイート・クラシック
洋菓子でめぐる音楽史
- 出版社在庫情報
- 在庫僅少
- 初版年月日
- 2021年4月25日
- 書店発売日
- 2021年4月24日
- 登録日
- 2021年3月22日
- 最終更新日
- 2022年6月1日
紹介
ひとくち味わえば、音と味と歴史が響きあう──
名曲と洋菓子にまつわる物語を、美しい写真とエッセイで紹介する甘美な一冊。
鈴木優人さん(指揮者、チェンバロ奏者)、木村成克さん(パティシエ)推薦!
“読むだけで味覚・聴覚が刺激され、創造的なインスピレーションが湧きだす”
──鈴木優人さん(指揮者、チェンバロ奏者)
“私たち菓子職人にとってのバイブルのひとつに”
──木村成克さん(千歳烏山「ラ・ヴィエイユ・フランス」パティシエ)
洋菓子の歴史はヨーロッパの歴史、そして芸術の歴史とも密接に関連しています。
ある時代、ある場所で洋菓子が生まれ流行したとき、音楽の世界でもかならず大きなうねりが起こっています。
本書はクラシック音楽の歴史をたどりながら、作曲家や名曲の生まれた背景と洋菓子にまつわる物語を、美しいカラー写真と17篇のエッセイとで紹介した甘美な一冊。
巻末にはレシピも掲載しています。
著者は福岡市で長年お菓子教室を主宰し、研究熱がこうじて九州大学大学院の門を叩き、
「バウムクーヘンの比較文化史的考察」という論文で博士号も取得したお菓子研究家です。
ご存知でしたか? 音楽と洋菓子の秘められた関係──
ヘンリー8世作と伝えられる《グリーンスリーヴズ》と彼が独り占めしようとした英国菓子「メイズ・オヴ・オナー」、
贅沢な素材をふんだんに使った「トローネ」とヴェネツィアに暗躍したヴィヴァルディ。
ピアノの名匠リストとスター・シェフ、カレームが活躍したロスチャイルド家のサロンで生まれた「シャルロット」……。
鈴木優人さん(指揮者・チェンバロ奏者)
「音楽とスイーツの幸せな結婚(マリアージュ)!
お菓子と音楽、そして歴史を多角的にひもとく本書は、
読むだけで味覚・聴覚が刺激され、創造的なインスピレーションが得られる一冊。
バロック音楽もたくさん登場、うれしいかぎり」
木村成克さん(千歳烏山「ラ・ヴィエイユ・フランス」パティシエ)
「菓子職人が伝統菓子にノスタルジーを感じるように、
音楽家はクラシック音楽にあこがれを感じるのかもしれません。
私たち菓子職人にとっても興味深い歴史エピソードが満載の本書は、
これから私のバイブルのひとつになることでしょう」
目次
はじめに
01 中世の香り
《教皇マルチェルスのミサ》とカスタニャッチョ
02 ヘンリー8世の純情
《グリーンスリーヴズ》とメイズ・オヴ・オナー
03 17世紀のイングランド
──イタリア的でもなく、フランス的でもなく
ヘンリー・パーセルとトライフル
04 ヴェネツィアのバロック──人生とお菓子
ヴィヴァルディとトローネ
05 「もてなし」としての音楽とお菓子
テレマンとバウムクーヘン
06 大作曲家と新しい飲みもの
バッハとコーヒー
ヘンデルと紅茶
スカルラッティとチョコレート
07 家柄でもなく、財力でもなく
──19世紀帝政時代のパリ社交界で必要なもの
リストとシャルロット
08 ヴィクトリア朝の残り香
エルガーとヴィクトリア・サンドウィッチ・ケーキ
09 ノスタルジアとしての森
フンパーディンクと黒い森のケーキ
10 劇場とホテルがタッグを組んだセールス・プロモーション
メルバとピーチ・メルバ
11 ご当地菓子を麗しきバレリーナで売りこむ
パヴロワとパヴロワ
12 音楽の都、お菓子の都ウィーン
ザッハートルテ
エステルハージ・シュニッテン
リンツァートルテ
13 アメリカのフロンティア精神
フォスターとクッキー
14 フランスのなかのスペイン
ラヴェルとガトー・バスク
15 1920年代のニューヨークのエネルギー
《ラプソディ・イン・ブルー》とチーズケーキ
16 心の扉を叩くソナタとマドレーヌ
──『失われた時を求めて』
フォーレとマドレーヌ
17 詩人の心象を支えたお菓子
北原白秋とカステラ
おわりに
RECIPE
参考文献
前書きなど
はじめに
クラシック音楽とお菓子には似たところがある、とつねづね感じてきました。
生演奏も、お菓子の味わいも、その場かぎりの刹那のもの。もちろん楽譜やレシピであるていど再現はできますが、演奏家やお菓子職人が違えば、味わいも変わりますし、同じ人であっても、時や場合に応じて表現は変化するものです。
どちらも、生きていくために必要不可欠なものではないかもしれないけれど、ともに強く豊かな心を育み、人生の喜びや悲しみ、苦しさや楽しさをしっかりと受けとめるための助けになります。
そして教会、王侯貴族、市民社会と、時代や地域によってその舞台は移り変わっても、そこに集う人々の音楽とお菓子に寄せる思いが、その魅力を今日のわたしたちに伝えてくれました。
ならば、音楽とお菓子の交わるところに目を向けてみたら、音楽好きにもお菓子好きにも新しい楽しみをお届けできるのではないか──そんな思いから生まれたのがこの本です。
本書が、音楽に潜んでいるお菓子の気配、お菓子の中に埋もれた音楽の記憶に思いをはせるきっかけとなればと願っています。
上記内容は本書刊行時のものです。