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清代の衛生防疫システムとその近代的変容
- 初版年月日
- 2026年1月20日
- 書店発売日
- 2026年1月21日
- 登録日
- 2025年12月5日
- 最終更新日
- 2026年1月8日
紹介
近代衛生の概念は、いつ、どのようにして中国社会に受け入れられたのか。清代の防疫体制の形成と変容を精緻にたどり、「衛生」という語が伝統から近代へと転生していく過程を明らかにする。西洋科学と東洋思想が交錯するその軌跡は、単なる制度史を超えて、近代化の精神史をも照らし出す。清代から近代まで続く「衛生」をめぐる思考の系譜を、歴史の深層から掘り起こす一疫病と人間、国家と社会、科学と文化の関係を問い直す、本格的衛生史研究。
目次
日本語版への序
序 論
一 「衛生」の登場
二 中国百年来の衛生史研究
三 研究の趣旨
四 研究のアプローチと枠組み
第一章 近代における「衛生」概念の登場
一 はじめに
二 「衛生」の伝統的概念と近代的概念
1.伝統的な「衛生」
2.近代的衛生概念と伝統との区別
三 「衛生」概念の変動の始まり(一八七四―一八九四)
1.近代日本における「衛生」の形成とその中国に対する初期の影響
2.西洋衛生知識の流入と「衛生」概念のひそやかな変化
(1)近代西洋衛生知識の流入と概念の表現
(2)「衛生」概念のひそやかな変化
四 「衛生」概念の変動の進展(一八九四―一九〇五年)
1.「衛生」概念の変動に対する日清戦争の影響
(1)日本からの影響の強まり
(2)積極化する中国社会の「衛生」への態度
2.「衛生」という用語の広まりと言葉の内包の変化
五 近代的「衛生」概念の確立(一九〇五―一九一一年)
六 小結
第二章 清代における衛生観念の発展と変遷――疫病に対する観念
一 はじめに
二 疫病の予防(避疫)と治療(治疫)――前近代における疫病に対する観念
三 清末における衛生防疫の観念の変化
四 小結
第三章 清代における衛生規制とその近代的変化
一 はじめに
二 清代前期の相関規制
1.環境の清潔と衛生
2.河川(堀)の清掃
3.遺体と棺の処理
三 清末における衛生行政の導入と設立
1.清潔
2.検疫
四 清末衛生行政の基本的特徴
五 小結
第四章 清代都市における水環境問題を探る
一 はじめに
二 類型と性質――主要史料概観
三 穢濁と清澄――史料が示す正反対の景観
四 抜粋を超えて――史料とその映し出す歴史景観の分析
五 小結
第五章 清代における汚物の処理とその近代における変遷
一 はじめに
二 前近代における中国の汚物処理
三 租界における汚物の処理――上海公共租界を例に
四 衛生問題の政治化と汚物処理方法の変化
五 余論――汚物の処理と近代公衆衛生概念の形成
第六章 清代の清潔観念と実践、およびその近代における変化
一 はじめに
二 伝統的認識における「清潔」と疾疫
三 衛生防疫という視角からの近代的「清潔」観念の形成
四 清潔行為の行政化
五 健康か自由か――身体の近代的選択
六 小結
第七章 清末検疫制度の導入およびその権力関係
一 はじめに
二 検疫実施の契機および各主体の心態と認識
1.朝廷と官府
2.士紳エリート
3.一般民衆
三 検疫中の衝突、利益の絡み合いと権力関係
四 余論――近代衛生行政の要件としての検疫の成立
第八章 清末期における衛生防疫と近代的身体の形成
一 はじめに
二 清朝前期における衛生防疫と身体への束縛
三 清末の衛生防疫の身体に対する干渉
四 衛生防疫と近代的身体の形成
1.士紳エリート
2.一般民衆
五 小結5
結 語――「近代」の〝緊箍児(きんこじ)〟
付録一 嘉慶道光時期の疫病とその社会的影響
一 時間と空間の分布
1.時間的分布
2.空間的分布
二 重要な疫病
1.コレラ(霍乱)
2.疫喉――ジフテリア
3.ペスト
三 基本的特徴と背景
四 社会への影響
五 小結
付録二 本音と建前――二〇世紀中国の疫病と公衆衛生の俯瞰
一 疫病概況
二 公衆衛生の俯瞰――防疫を中心として
1.衛生行政の発端と衛生機構の沿革
2.ペストと衛生防疫機構の創立
3.清潔、防疫と衛生運動
4.予防接種と天然痘の撲滅
5.大衆動員型の住血吸虫症対策運動
6.新形勢下の伝染病――エイズの予防制御
三 二〇世紀の疫病と公衆衛生
訳者あとがき
図版一覧
参考文献
索引(人名/事項)
上記内容は本書刊行時のものです。
