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家具からインテリアへ 三宅 敦子(著) - 彩流社
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家具からインテリアへ (カグカラインテリアヘ) ヴィクトリア朝小説にみるイギリス室内装飾文化史 (ヴィクトリアチョウショウセツニミルイギリスシツナイソウショクブンカシ)

文芸
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発行:彩流社
A5判
縦215mm 横155mm 厚さ23mm
重さ 482g
320ページ
定価 4,000 円+税   4,400 円(税込)
ISBN
978-4-7791-3017-5   COPY
ISBN 13
9784779130175   COPY
ISBN 10h
4-7791-3017-4   COPY
ISBN 10
4779130174   COPY
出版者記号
7791   COPY
Cコード
C0098  
0:一般 0:単行本 98:外国文学、その他
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2025年3月7日
書店発売日
登録日
2025年2月5日
最終更新日
2025年3月5日
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紹介

なぜイギリスの中流階級は、インテリア自慢をしてきたのか
〈趣味〔テイスト〕〉 をキーワードに、
階級制度に根ざした室内装飾文化の形成をたどり、
ディケンズ、ギッシング、ジェイムズの小説にみられる室内装飾表象を分析する。

中流階級が支配的社会勢力となったヴィクトリア朝イギリス。貴族階級との差異化を意識した中流階級は、家庭生活と社会的体面〔リスペクタビリティ〕の維持に重きをおくようになる。1851年のロンドン万博を機に促された「デザイン改革」は、中流階級が従うべき「よき趣味〔テイスト〕」に基づく室内装飾を広めていった。「よき趣味〔テイスト〕」を反映した家具への関心は、「審美改革」の影響を受け、パーソナリティの表象となるインテリアの誕生へと連なってゆく。

目次

序章  「私」を語るインテリア
 第1節 自己演出の舞台装置としての室内装飾
 第2節 イギリス室内装飾文化に関する近年の研究動向
 第3節 英米室内装飾文化研究の新たな視点としての「趣味」
 第4節 本書の視点と特色、および考察領域

第1章 室内装飾文化誕生の背景
 第1節 イギリス文化史研究の変遷と室内装飾文化への関心の誕生
 第2節 十九世紀イギリス中流階級の定義とその研究史
 第3節 ヴィクトリア朝中流階級と家庭の神聖化
 第4節 中流階級の居住空間を〈読む〉
  ──ベンヤミン、ポー、ブルデュー、そしてボードリヤール

第2章 デザイン改革の明示的な始まりとしてのロンドン万博
 第1節 ロンドン万博の文化史的意義に関する先行研究
 第2節 国民の趣味の教化を目指したロンドン万博
 第3節 ヘンリー・メイヒューの小説に表象された趣味の教化の場としてのロンドン万博
 第4節 ヘンリー・メイヒューの小説で諷刺された教化されない国民たち
 第5節 『デザインと製品のための雑誌』というデザイン改革の言説

第3章 諷刺されるデザイン改革と展示される装飾品
     ──ディケンズが描く室内装飾
 第1節 『ハード・タイムズ』で諷刺されたヘンリー・コールとデザイン改革
 第2節 ヘンリー・コールのデザイン改革と功利主義
 第3節 「恐怖の館」で諷刺されたサウス・ケンジントン・システム
 第4節 書簡と伝記に反映されたディケンズの室内装飾への関心
 第5節 『荒涼館』で諷刺されたロンドン万博と展示される室内装飾品

第4章 デザイン改革から審美改革へ
     ── 1870年代以降の室内装飾文化
 第1節 デザイン改革の終焉
  ──道徳的価値観から美的価値観へ
 第2節 英米における家庭芸術文献(室内装飾指南書)とインテリア・デザイン産業の確立
 第3節 『家庭におけるよき趣味についての手引書』に反映されたデザイン改革から審美改革への移行
 第4節 W. J. ロフティの指南書シリーズ「家庭の芸術」
  ──下層中流階級への審美改革の普及と投資対象化する室内装飾品
 第5節 W. J. ロフティの指南書シリーズ「家庭の芸術」にみるプロフェッショナル化する女性の室内装飾業者
 第6節 所有者の個人的特徴の表現としてのインテリア
 第7節 ヒール・アンド・サン社の家具カタログにみるデザイン改革から審美改革への変遷
 
第5章 十九世紀末の小説に表象された審美改革
     ──ギッシングとジェイムズが描く室内装飾
 第1節 『余った女たち』に描かれたデザイン改革と審美改革
 第2節 『女王即位五〇年祭の年に』に表象された、虚栄心の象徴としての書斎への憧れと知覚でとらえるインテリア
 第3節 『女王即位五〇年祭の年に』で諷刺された十九世紀末の審美主義
 第4節 『ポイントンの蒐集品』に表象された十九世紀末の審美改革
 第5節 変容する審美学とヘンリー・ジェイムズの印象理論

終章  趣味の民主化、室内装飾を描く小説、そして内面描写としての室内装飾

著者プロフィール

三宅 敦子  (ミヤケ アツコ)  (

西南学院大学外国語学部教授。著書に『近現代イギリス小説と「所有」』(共著、英宝社、2014年)、『日常のかたち――美学・建築・文学・食』(共著、筑波大学出版会、2023年)ほか。訳書に、ピーター・ゲイ『快楽戦争――ブルジョワジーの経験』(共訳、青土社、2001年)、エドワード・W・サイード『人文学と批評の使命――デモクラシーのために』(共訳、岩波書店、2006年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。