著者プロフィール
立原透耶
(タチハラ トウヤ) (編)
小説家、翻訳家、研究者。
1991年に「夢売りのたまご」でコバルト読者大賞を受賞してデビュー以来、ファンタジー、SF、伝奇小説を中心に幅広い創作活動を続けている。創作活動と並行して、劉慈欣『三体』や馬伯庸『長安のライチ』の監修を務めるなど、中国SFの 翻訳・紹介に長年取り組み、日本における中国SF受容の発展に貢献してきた。近年では中国をはじめ東アジア各地のSF作家や研究者との交流を積極的に進め、講演、評論、翻訳、アンソロジー企画などを通じて国際的なSF文化交流の架け橋として活躍している。その功績により、2021年には日本第41回SF大賞特別賞、2023年には第13回華語科幻星雲賞および中国国際科幻大会国際交流功労賞を受賞したほか、第2回科幻星球賞突出貢献賞なども受賞している。
また、自身も精力的に創作を続けており、クトゥルー神話や伝奇幻想、中国古典文学を取り入れた独自の作品世界で知られる。猫を愛することでも知られ、文学・研究・翻訳・国際交流の各分野を横断しながら、東アジアSFの可能性を切り拓き続けている。
ファン・モガ
(ファン モガ) (編)
2019年、東京在住中に韓国語で執筆した「モーメント・アーケード」で第4回韓国科学文学賞、中短編部門で大賞を受賞しデビュー。同作は2022年、「韓国文学 ショートショートシリーズ」の1つとして日本語でも出版された。2021年、2024 年には韓国SFアワードを受賞。
その他、『Rikka Zine Vol.1』に短編「スウィート、ソルティ」を寄稿、日本の都市伝説を題材に日韓の友情を描いた『透明ランナー』を Kindle 版電子書籍とし て発表。『Sci-Fire2024』には済州島の神話を題材にした短編SF「一度きりの人生」を寄稿し、日韓共同企画メンバーとして『日韓SF交換日記』の出版にも携わった。未邦訳に短編集『夜の顔たち(밤의 얼굴들)』、中編『時計仕掛けのドッケビ(클락 워크 도깨비)』『ノーバディ・イン・ザ・ミラー(노바디 인 더 미러)』、長編『私たちが再び巡り逢える世界(우리가 다시 만날 세계)』など。
程婧波
(チョン ジンボー) (編)
小説を書くことを生業とし、毎日猫を愛でて英気を養う。人間観察者であり、ときどき走るランナーでもある。
中国科幻星雲賞・銀河賞・星球賞の三賞すべてを受賞した初の女性作家。作品は多くの国や地域で翻訳・紹介されている。1999年に創作活動を始めて以来、一度も筆を置くことなく書き続けてきた。近年は、ごく普通の人々、とりわけ女性たちの運命に目を向け、その胸の内に秘められた情熱、静かな強さ、そしてきらめきを描くことに心を惹かれている。
代表作の「さかさまの空(倒悬的天空)」「陥落の前に(赶在陷落之前)」「彼の時間の果てへ(去他的时间尽头)」などは、英語、日本語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、韓国語、 アラビア語をはじめとする多くの言語に翻訳され、海外の読者にも紹介されている。
劉慈欣は彼女のSF小説について、「SFとファンタジー双方の魅力を融合させ、 SFとファンタジーの境界において、私たちにまったく新しい体験をもたらしてくれる」と評している。
上田早夕里
(ウエダ サユリ) (著)
宇宙作家クラブ会員。日本SF作家クラブ会員。日本歴史時代作家協会会員。
2003年、『火星ダーク・バラード』で第4回小松左京賞を受賞し、プロ作家デビュー。2011年、『華竜の宮』で「SFが読みたい! 2011年版」ベストSF2010 国内篇第1位を獲得、同年、第32回日本SF大賞を受賞。本作を含む一連の作品群『魚舟・獣舟』『リリエンタールの末裔』『深紅の碑文』『獣たちの海』は、《オーシャンクロニクル・シリーズ》として、大規模海面上昇後の未来世界を描いている。2017年『夢みる葦笛』で「SFが読みたい! 2017年版」ベスト SF2016国内篇1位を獲得。
SFだけでなく歴史小説の執筆も手がけ、代表作として、近代史の四部作『破滅の王』『ヘーゼルの密書』『上海灯蛾』(2023年、第12回日本歴史時代作家協会賞「作品賞」受賞)『炎陽を撃て』、日本の室町時代を題材とした『播磨国妖綺譚』シリーズなどもある。
若木未生
(ワカギ ミオ) (著)
日本SF作家クラブ会員、日本推理作家協会会員。
1968年生まれ。東京都出身。早稲田大学文学部日本史専修中退。
1989年、大学在学中に青春小説「AGE」で第13回コバルト・ノベル大賞佳作入選。同年、学園伝奇 SF『ハイスクール・オーラバスター 天使はうまく踊れない』でデビュー。人気を博し、少女小説界のファンタジーブームを牽引するひとりとなる。また、2025年にはロックバンドを題材とした青春音楽小説『グラスハート』シリーズが、佐藤健主演&企画プロデュースのもと実写ドラマ化。Netflixにて世界独占配信され、大きな話題となった。
平家物語を愛し、源頼朝に傾倒する。源平合戦ものとして『われ清盛にあらず 源平天涯抄』『戦をせんとや生まれけむ 源平英傑抄』がある。ほか、代表作として、近未来SFアクションエンターテインメント『真・イズミ幻戦記』シリーズなど。
平安時代にあっても未来世界にあっても、書きたいものは人間のやわらかなこころ、青春の光。
甘木零
(アマキ コボル) (著)
1964年生まれ。日本SF作家クラブ会員。元茨城県県立高校教諭。
2015年 日本SF大会米魂内企画「SF創作講座」において森下一仁賞を受賞し 、その後ゲンロン大森望SF創作講座を受講したことから SF 文芸同人誌『Sci-Fire(サイファイア)』に参加。2021年より同誌責任編集者を務めている。『Sci-Fire』は掲載者の多くが新 人賞を受賞し毎年プロ作家を輩出するとともに、掲載作品が年間ベストアンソロジーに選出されている。同誌はプロ作家の寄稿も多く、韓国作家 YKユーン「三種の時間」やファン・モガ「一度きりの人生」の翻訳も掲載している。
作家としては、2022年『小説すばる』「千字一話」リレー連載の「私の常識はあなたの非常識」で商業誌初掲載。同年『ユリイカ』今井哲也特集にエッセイ寄稿など。
ミン・ジヒョン
(ミン ジヒョン) (著)
2019年、初の長編小説『僕の狂ったフェミ彼女』を発表。男性話者の一人称視点から描いたフェミニズム恋愛小説として韓国国内で大きな反響を呼んだ。台湾・日本・中国など7か国語に翻訳され、日本では2026年にNetflixで映画化が予定されている。
その他、オープンリレーションシップを題材にした長編小説『私の最高の彼氏とその彼女』、二人の女性の出会いが互いの人生を変えるSF長編小説『忘却する者へ祝福を(망각하는 자에게 축복을)』を発表。後者は2026年秋に日本語版の出版が予定されている。
脚本家としては、2019年放映の韓国ドラマ『レバレッジ~最高の詐欺師たち (레버리지 : 사기조작단)』を手がけた。現在、韓国で出版社「Louder Books」を設立し、小説・漫画アンソロジー『韓国に男が多すぎて(한국에 남자가 너무 많아서)』、翻訳書『異性愛という悲劇(이성애의 비극)』、ドキュメンタリー映画をもとにした『ホルモン(호루몽)(仮)』などを刊行。
チョン・ヘジン
(チョン ヘジン) (著)
2007年、ライトノベル『月下の洞事務所(월하의 동사무소)』でデビュー。以後、推理やスリラー、時代劇、SF、エッセイ、漫画原作を手掛ける。韓国SF作家連帯、幻想文学ウェブマガジン『鏡』などで活動中。
代表作として短編集『アトランティス少女(아틀란티스 소녀)』『キムパ天国へ行く道(김밥천국 가는 날)』、 長編『マリ物語(마리 이야기)』『ヨンヒ物語(연희 이야기)』、ノンフィクションなど共同著書を含め、100冊以上を出版している。
第5回中国国際SF大会では、「巴蜀三万里(파촉 삼만리)」が全世界SF作品公募「100年後の成都」部門で特別賞を受賞。『科幻世界』に「針の先に人が(针尖上的人)」を寄稿しており、2023年成都で開催された世界SF大会では「三国志の影響を受けた日韓コンテンツ」をテーマに講演を開いた。
2026年の『日韓SF交換日記 あなたの言葉を聞くための対話』には「闘争と前進のさなかで」を寄稿。
チョン・ドギョム
(チョン ドギョム) (著)
大学では脳認知科学科を専攻、ニューロンと神経伝達物質によって脳が働く仕組みを学んだ。ところが有機化学と分子生物学に打ちのめされ、「私の愛する脳はこんなものじゃない」と思うようになった。このもどかしさを解消すべく、脳のあちこちを解剖して実験できるSF小説を書き始めた。
2022年、第2回POSTECH SFアワードのミニフィクション部門で「人面花(인면화)」が佳作を受賞し、作家活動を開始。「離島ニューロン(외딴 섬 뉴런)」「揮発、発火(휘발, 발화)」などの短編を発表し、2024年に初の単行本『五月と六月も光が射して(오뉴월에도 빛이 내리고)』を出版した。
『日韓SF交換日記』寄稿の「発見した人たちに捧ぐ」では、江南駅での女性殺害事件や「N番部屋」と呼ばれるデジタル性犯罪を目の当たりにしながら読んでいた韓国女性SF作家たちの作品を、フェミニズム文学の観点で解説。「現実を変えられるSFの力」を自身の作品にも宿らせたいと語る。
王侃瑜
(ワン カンユー) (著)
オスロ大学文化研究博士、復旦大学創意写作修士および管理学学士。上海作家 協会専業作家、中国作家協会会員、世界華人SF協会主席団メンバー、上海市科学 普及作家協会SF専門委員会副主任委員、SF研究学会(SFRA)中国代表を務める。
これまでに、上海文化芸術賞、未来文学家大賞、華語科幻星雲賞、科幻星球賞、ヒューゴー賞、欧州大学連盟学際・横断研究賞など、国内外の数多くの賞を受賞、またはノミネートされている。
作品は『収穫』『花城』『上海文学』『長江文芸』『小説界』『天涯』『香港文学』『萌 芽』『科幻世界』などに掲載され、各種アンソロジーや年間傑作選にも収録されて いる。また、十数言語に翻訳されている。
中国語・英語によるバイリンガル作家であり、主にSF(サイエンス・フィクション)およびスペキュレイティブ・フィクションを創作するほか、散文、評論も手がける。同時に学術研究や文集編纂にも従事している。
著書に短編集『雲霧2.2(云雾2.2)』『海鮮飯店(海鲜饭店)』。編著として『春の訪れる方法(春天来臨的方式)』『中国SF 新しい声(中国科幻新声音)』、および映画『流転の地球(流浪地球)』制作記録の英語版などがある。
沙陀王
(シャートゥオワン) (著)
エンジニア、仕立て屋、詩人、小説家。
代表作に『数千兆年の彼方(千万億光年之外)』がある。これまでに未来科幻大師賞や光年賞を受賞。短編「愛の代価(爱的代価)」などは、『鏡像意識』『もう一つの星 不存在(另一顆星球 不存在)』『愛情 不存在(爱情 不存在)』『猫 不存在』などのSFアンソロジーに収録されている。個人短編集『地球よ、応えてくれ(地球、请回答)』を刊行。
「私の創作には、毛むくじゃらの生き物たちをめぐる物語が少なくない。猫、小鳥、 ミツバチ──そうした生き物たちは、観察の対象であると同時に、創作の源泉で もある。陽だまりの中で花粉をたっぷり付けたミツバチのお尻を眺めるのは、とても幸せな時間だし、彼らを主人公にした物語を書くのもまた楽しい。これまで 私は、犬やイノシシ、クジラ、さらにはドラゴンについての小説も書いてきた。
もちろん、猫を題材にした作品もたくさんある。猫が嫌いな人なんているだろ うか。子猫は少しくすぐったい綿毛のようであり、成猫はずっしりとした湯たんぽのようだ。ゴロゴロと喉を鳴らす猫を抱いていると、不思議な安心感に包まれる。
猫を見つめていると、しばしば「この子はいったい何を考えているのだろう」 と思う。猫のまなざしは犬とは違う。犬は憧れも警戒も、感情を率直に表現する。一方で猫は、どこまでも神秘的で、自分自身の世界を生きている。人々が猫に魅 了され、これほど多くの猫の物語を生み出してきた理由は、きっとそこにあるのだと思う」(著者より)。
路航
(ルーハン) (著)
中国・広州在住。中山大学修士課程修了。若手SF作家。中国作家協会会員、中国科普作家協会会員。広東省作家協会 SF委員会副主任。
大学院修了後は長年にわたり対外ビジネス分野に従事。趣味はバードウォッチング、登山、ドローン操縦、SF読書などで、中国の伝統的な無形文化遺産(非物質文化遺産)の研究にも熱心に取り組んでいる。
2021年頃からSF読者としての立場から創作者へと活動の軸足を移し、主に自身の経験や趣味を題材とした作品を発表している。これまでに『科幻世界』『科幻立方』『十月少年文学』『文艺报』『科学启蒙』などの雑誌に、「通済橋(通济桥)」「心語者(心语者)」「鳥を守る笛(護护鸟笛)」など多数のSF作品を掲載。著書に『星際醒獅隊』『太陽系大掃除(太阳系大扫除)』『回音壁』 などがある。作品は中国国内外のさまざまなアンソロジーに収録され、多くの雑 誌で再録されたほか、音声作品化もされている。また、英語やポルトガル語にも 翻訳されている。
これまでに第12回全国優秀児童文学賞の候補作に選出されたほか、華語科幻星 雲賞、中国科幻大会星球賞、冰心児童図書賞、釣魚城科幻大賞、合肥科幻大賞、 晨星賞、光年賞など数多くの賞を受賞している。