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聞き取り もうひとつの隔離 福岡 安則(著) - 解放出版社
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聞き取り もうひとつの隔離 (キキトリモウヒトツノ カクリ) ハンセン病療養所附属保育所に収容された子どもたちの人生 (ハンセンビョウリョウヨウショフゾクホイクショニ ュウヨウサレタコドモタチノジンセイ)

社会一般
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発行:解放出版社
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ18mm
重さ 375g
336ページ
並製
定価 3,000円+税
ISBN
978-4-7592-6814-0   COPY
ISBN 13
9784759268140   COPY
ISBN 10h
4-7592-6814-6   COPY
ISBN 10
4759268146   COPY
出版者記号
7592   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年9月30日
書店発売日
登録日
2023年7月14日
最終更新日
2023年9月14日
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書評掲載情報

2023-11-25 ふぇみん  第3370号(2023年11月25日)
評者: 書評 欄
2023-10-25 月刊「同和教育」であい  No.739(2023年10月)
評者: 本の紹介 欄
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紹介

ハンセン病問題に長年とりくんできた社会学者が、療養所附属保育所で育った人たちを中心にハンセン病罹患者の家族から丁寧に聞き取った苦悩の半生を、語り口を生かして記録。

目次

第1部 ハンセン病療養所附属保育所を生きて
1 「本妙寺部落」狩り込みに遭う
2 一歳のときに「湯之沢部落」解散
3 今も残る「光田氏反応」の注射痕
4 浮浪児に非ざるも浮浪状態に近し
5 大浜女史に養子に誘われて
6 母は愛生園へ、子らは青松園へ
7 理解があるのと家族になるのは違う
8 生母と会ったのは中学生のとき
9 裁判で父娘関係認められず
10 保母と実母のはざまで葛藤
11 ダンスホールで見初められて
12 「龍田寮」最後の保母たち

第2部 ハンセン病問題にみる人生被害
13 台風避難でも除け者にされて
14 金城雅春、愛楽園に死す
15 娘だけでなく孫娘までも
16 担任教師の声かけで偏見の魔法が解ける
17 船が見えなくなるまで手を振っていた
18 平成になっても「子どもは産むな」と
19 消毒で〝遺伝病〟が〝伝染病〟になった
20 父不在を野球一筋で埋める
21 無人のジャルマ島で生まれて
22 愛児を養護施設に預けて再入所
23 「潜伏期間が長い」の言葉に呪縛されて
24 生まれ変わっても、父の子に生まれたい
25 親の毅然とした生き方が負のイメージを超克

あとがき

前書きなど

 時代の変化を決定的に刻印づける歴史的な出来事の現場を生き抜いたひとに、じかに出逢えて、お話を聞くことができたとき、興奮でちょっと身が震えてしまう。
 わたしは、二〇〇一年の「らい予防法違憲国賠訴訟」の勝訴判決を受けて設置された「ハンセン病問題に関する検証会議」の検討会委員の役割を、二〇〇三年春、ハンセン病問題の被害当事者サイドからの依頼によって引き受け、ハンセン病療養所入所者の方たちの聞き取りに従事するようになった。二〇〇四年秋からは、当時、埼玉大学の博士後期課程の院生だった黒坂愛衣にも、ハンセン病家族の方たちの聞き取りに参加してもらった。以来、ひたすら、わたしたちはハンセン病回復者のみなさん、その家族のみなさんからの聞き取り調査を積み重ねてきた。
 そうするなかで、ハンセン病に罹りながら生涯、療養所に入所することのなかった「非入所」の母親をもつ男性が、二〇一〇年に単独で国を相手どって提訴した「鳥取訴訟」(この裁判は不当にも敗訴に終わったのだが)にも、二〇一六年、熊本地裁に二六〇人を超える原告が提訴した「ハンセン病家族訴訟」にも、わたしたちは深くかかわることになった。
 裁判所への「意見書」提出などの傍ら、広く世の中の人々に知ってほしいと、岩波書店の月刊誌『世界』に「ハンセン病回復者の語り・家族の語り」と題する全一一回の短期連載を、福岡と黒坂のリレー執筆で書き終えたとき、まだまだ多くの、伝えたいハンセン病家族たちの声が手許にあった。月刊誌『部落解放』への連載を快諾していただけた。
 連載の第一回は、二〇二〇年一一月号に掲載された。毎月毎月、二年を超えて、計二五回の連載を書きつづけるのは、けっこう大変な作業ではあったが、一つひとつの原稿に、自分なりの思いを込めて書き綴ったつもりである。
 わたしは、わたしがハンセン病家族訴訟で熊本地裁に提出した「意見書」のなかで述べた《集合的意識としての偏見》を打ち壊していく最大の手立ては、当事者のみなさんの体験と思いを、できるだけ生のかたちで多くの人が受け取り、当事者とのあいだに《共感性の担保された関係性》をつくりあげていくことだと、かたく信じている。そういう意味で、本書が一人でも多くの人に読まれることを望む。

著者プロフィール

福岡 安則  (フクオカ ヤスノリ)  (

1947年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得済退学。
埼玉大学名誉教授。博士(社会学)。
部落差別問題、在日コリアン問題などの差別問題の調査研究に従事。
2003年からはハンセン病問題にもかかわり、以下の著作がある。
『栗生楽泉園入所者証言集』全3巻(谺雄二・黒坂愛衣との共編、創土社、2009)
『生き抜いて サイパン玉砕戦とハンセン病』(話者・有村敏春、黒坂愛衣との共編、創土社、2011)
『質的研究法』(G・W・オルポート著、福岡訳、弘文堂、2017)
『「こんなことで終わっちゃあ、死んでも死にきれん」―孤絶された生/ハンセン病家族鳥取訴訟』(世織書房、2018)
『ハンセン病家族訴訟―裁きへの社会学的関与』(黒坂愛衣との共著、世織書房、2023)

上記内容は本書刊行時のものです。