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いつまで続く「女人禁制」 源 淳子(編著) - 解放出版社
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いつまで続く「女人禁制」 排除と差別の日本社会をたどる

発行:解放出版社
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ13mm
重さ 248g
208ページ
並製
定価 1,700円+税
ISBN
978-4-7592-6791-4
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2020年3月10日
発売予定日
登録日
2020年1月31日
最終更新日
2020年2月19日
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紹介

相撲の土俵上や信仰の場など、「伝統」「文化」「宗教」を理由とした女性排除の空間が日本社会に数多く存在する。第1部では、このような「女性排除」の構造を浮き彫りにすると同時に、第2部で、「部落差別」「ハンセン病者排除」「LGBT排除」など、「女性排除」の構造と相似した「マイノリティ排除」の実態を明らかにする。大相撲春巡業「宝塚場所」の際に、土俵上からの挨拶を拒否された中川智子宝塚市長のインタビューも掲載。

目次

第1部  「宗教」「伝統」のなかの女人禁制

土俵の女人禁制    畑 三千代
「命」か「伝統」か
あいさつは土俵上でしたい
各地から講義の声が沸き起こる
「ちびっこ相撲」からの女児排除
「わんぱく相撲全国大会」における女人禁制の現状
土俵って?
映画『菊とギロチン』を見た
賞は土俵上で手渡したい
キーワードは「伝統」「文化」「宗教」

【インタビュー】
なぜ土俵の上で挨拶できないのか  中川智子【談】
  ――宝塚市長のケース

高野山の「女人禁制」について  佐々木基文
はじめに
空海以前の全国の霊山
空海・弘法大師の時代
江戸時代―残された文書・書物から
高野山における「女人禁制」の解除の歴史
なぜ高野山にだけ「女人禁制」解除反対の大きな動きが起こったのか

「大峰山」の女人禁制について  森永雅世
「大峰山」とは
「大峰山」の組織
「女人禁制」の開放
女性の登坂者は何人もいた
「女人禁制」区域の縮小
花束さえ拒否した「女人禁制」
登頂体験
女性解放運動と「女人禁制」
「大峰山」関係者の姿勢
「『大峰山女人禁制』の開放を求める会」の結成
伝統、慣習よりも人権が優先する
「性同一障害」の人たちからの問題提起
「女人禁制」は負の遺産に


第2部  マイノリティから見た女人禁制

相似した「女人禁制」と部落問題  松村徳子
はじめに―次の各設問は正しいですか? 誤りですか?
「近世政治起源説」と「貧困定位論」
「部落史の見直し」
「ケガレ」と「キヨメ」
「ケガレ」思想の拡大
『延喜式』に見られる死体排除と女性排除
「ケガレ」と「女人禁制」
触穢思想と女性差別、部落差別
畏敬から賎視、そして排除へ
近世における部落差別
近世における女性
まとめにかえて

「精進落とし」をルーツとした日本人男性の買春意識と行動  池田恵理子
はじめに
「買春に対する男性の意識調査」からわかったこと
「買春ツアー」のルーツ「精進落とし」
相通じる日本軍慰安所と「精進落とし」
おわりに

ハンセン病禁制社会から考える  宮前千雅子
はじめに
前近代日本のなかのハンセン病問題
近代日本におけるハンセン病問題
「無らい県運動」
隔離施策を下支えした市民意識
戦後社会におけるハンセン病問題
おわりに―「女人禁制」について

セクシュアリティからみた「女人禁制」  土肥いつき
はじめに
セクシュアリティを考えるためのいくつかの要素
「非典型的」とされるセクシュアリティを持つ人々
セクシュアリティを考えるためのケーススタディ
性別二元制と異性愛規範
「女人禁制」は誰を排除するのか

遊郭はなぜもてはやされるのか  井上理津子
苦界か文化サロンか
「ポジティブに捉える」
遊女たちの境遇も「文化」か
花柳病と「商売哲学」
遊女の「守り神」の今
「バラ色」でなかったと捉え直しを

終章 「女人禁制」はなぜ許されるのか  源 淳子
そもそも「女人禁制」とは
現代も残る「女人禁制」
なぜ「女人禁制」となったのか
穢れ観の広がりと意味
「女人禁制」の解除
『皇室典範』の問題―近代
『皇室典範』の問題―現代
「女人禁制」はなぜ許されているのか

あとがき

著者プロフィール

源 淳子  (ミナモト ジュンコ)  (編著

1947年島根県生まれ。「大峰山女人禁制」の開放を求める会の活動を始めて15年以上が経った。禁制か開放かの二者択一しかないので、実質は何も変わっていない。少しの希望も見えない運動を続ける理由は、ともに闘う仲間がいるからである。そのつながりは、私生活の悩みも聞いてもらい、そのありがたさが身に沁みる。大切にしたい。

畑 三千代  (ハタ ミチヨ)  (

「大峰山女人禁制」の開放を求める会共同代表。I女性会議なら代表。愛媛県出身。奈良に住んで四七年。初めて「大峰山」の「女人禁制」結界門の前に立ってから二一年。この間「大峰山」は表面上何も変わっていない。一方、ジェンダー平等意識は行きつ戻りつしながらも改善されつつある。あきらめず、したたかに活動を続けたい。

中川 智子  (ナカガワ トモコ)  (

一九四七年生まれ。一九九六年より衆議院議員(二期)。ハンセン病や薬害問題、被災者生活再建支援法等の成立に尽力。二〇〇九年、宝塚市長に就任(三期目)。二〇一八年四月六日に開催された大相撲宝塚場所における開催地首長あいさつが、女性首長は土俵上での挨拶はできない状況に問題提起し、日本相撲協会に土俵上は女人禁制という伝統に基づく方針を見直す議論を始めるよう要望書を提出した。

佐々木 基文  (ササキ キブン)  (

一九五〇年生まれ。一九七三年四月より兵庫県公立小中学校教員任用(一九八九年三月退職)。一九八九年四月より高野山真言宗兵庫宗務支所下西光院住職晋山。二〇一〇年四月より高野山真言宗人権委員長就任(二〇一四年四月退任)。二〇一四年四月に西光院住職を退任し名誉住職に就任(現在に至る)。二〇一四年七月より高野山真言宗社会人権局長就任(現在に至る)。

森永 雅世  (モリナガ マサヨ)  (

大峰山系の美しい山々を見ながら日々を過ごしています。地元に暮らすものとして、「女人禁制」という特定の性を拒む制度がなくなるように対話を続けたいと思います。それは、すべての人権を尊重することにほかなりません。人権擁護委員。

松村 徳子  (マツムラ ノリコ)  (

一九六三年奈良県生まれ。奈良女性史研究会所属。生家は街道沿いの料理旅館で、大峰山の山上参りに向かう男性たちや、「仲居さん」として、また「嫁」として働く女性たちの姿を見て育ちました。「水平社運動の時、女の人たちは何してはったんやろ?」子どもの頃の自分の問いに答えるためにも、女性への聞き書きを続けていきたいと思います。

池田 恵理子  (イケダ エリコ)  (

一九五〇年生まれ。NHKディレクターとして女性、戦争、教育、エイズ、「慰安婦」問題などの番組を制作。一九九〇年後半からは仕事の傍ら「慰安婦」支援と記録の活動を始め、二〇〇〇年の女性国際戦犯法廷の開催、二〇〇五年のアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)の創設に携わり、現在に至る。二〇一〇年よりwam館長、二〇一八年からは名誉館長。

宮前 千雅子  (ミヤマエ チカコ)  (

関西大学人権問題研究室委嘱研究員。リバティおおさか(大阪人権博物館)学芸員時代、大峰山の結界門の原寸大を展示するために、その高さや幅などを計測に行ったことが思い出されます。あれから二五年が経ちました。いまだにその禁制が解かれない現実は、医学部入試における女性差別と通底する課題だと実感します。

土肥 いつき  (ドヒ イツキ)  (

京都府立高校教員。全外教事務局次長。Stn21副代表。一九九二年頃より京都在日外国人生徒交流会をはじめ、気がつくと全国在日外国人生徒交流会(ゼンコー)の世話人になる。二〇〇六年にトランスジェンダー生徒交流会を開始。さらにゼンコー卒業生の会やカフェ玖伊屋などの世話人をしている。最近ではいろいろな交流会の参加者が混じって、混沌状態になっている。

井上 理津子  (イノウエ リツコ)  (

ノンフィクションライター。著書に『さいごの色街 飛田』『葬送の仕事師たち』『遊廓の産院から』など。 WEB「人権情報ネットワーク ふらっと」の取材で、源淳子さんを始め「大峰山女人禁制」の開放を求める会の人たちと知り合ったのは二〇〇四年。翌二〇〇五年に「大峰山に登ろうプロジェクト」に参加したことが思い出される。

上記内容は本書刊行時のものです。