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対話が開く人権教育 山中 信幸(著) - 解放出版社
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対話が開く人権教育 (タイワガヒラクジンケンキョウイク) 子どもの尊厳を守る教室のつくりかた (コドモノソンゲンヲマモルキョウシツノツクリカタ)

教育
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発行:解放出版社
四六判
縦188mm 横127mm 厚さ15mm
重さ 305g
264ページ
並製
定価 2,000 円+税   2,200 円(税込)
ISBN
978-4-7592-2177-0   COPY
ISBN 13
9784759221770   COPY
ISBN 10h
4-7592-2177-8   COPY
ISBN 10
4759221778   COPY
出版者記号
7592   COPY
Cコード
C0037  
0:一般 0:単行本 37:教育
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2026年7月10日
書店発売日
登録日
2026年4月27日
最終更新日
2026年7月3日
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紹介

「思いやりをもちなさい」と教えることは、人権教育ではない。善意から生まれた教師の言葉や実践が、知らず知らずのうちに特定の子どもを傷つけ、排除していることがある。人権を軸にした教育とは、特別な授業をつくることではなく、言葉の選び方、問いの立て方、子どもの声の聴き方という日々の小さな選択を変えることから始まる。「なぜこの問いかけは特定の子どもを苦しめるのか」「聞くことと聴くことはなぜ根本的に違うのか」。本書はそうした問いに、著者自身の失敗と省察をとおして誠実に答えていく。

目次

はじめに

序章●人権教育とは何か
人権教育への根本的問い
人権教育という取り組み
人権教育の目標と内容
人権教育と道徳教育の違い

第1章●人権を基軸にした教師の伝え方
教師の「伝え方」が学びを変える
教師の自己満足と思い込み
人権を基軸にした伝え方
「聴く」と「聞く」

第2章●人権を基軸とした問いとは
問いのもつ力と教育的意味
人権を基軸とした問いの理論的基盤と実践的意義
対話的問いの教育学的意義
実践的な問いの改善方法:失敗から学ぶアプローチ
発達段階に応じた問いの設計と実践的展開
問いのパターン化と効果的な活用法
段階的な問いの展開:体系的アプローチ
授業実践における効果的な運用と配慮事項
あすから使える問いの事例集
継続的な改善のために

第3章●人権を基軸とした生徒と教師の関係性のつくり方
従来の権威的関係の限界
指導者から学習促進者(ファシリテーター)への役割変化
学習促進者(ファシリテーター)としての具体的役割
一人ひとりの個別性を深く理解する
対話的関係の構築
学習共同体の創造
トラウマへの理解と配慮
保護者や同僚との協働
持続可能な関係性の構築

第4章●人権に配慮した楽しい授業をつくる教師とは
楽しい授業の本質を問い直す
多様性を学習の資源として活かす
深い学びが創造する持続的な楽しさ
効果的な学習方法の実践
教師自身の成長と楽しさの実現
実践における課題と克服方法
持続可能な教育実践にむけて
次世代の教師へのメッセージ

第5章●人権教育の課題とその解決にむけて
人権教育を推進するうえでの課題
教育内容・方法の課題
評価の課題
継続的な実践改善
保護者・地域社会との連携の課題
教科教育と人権教育の関係

おわりに

前書きなど

 いま、私たちが生きる世界は、かつてないほど複雑化し、不確実性を増しています。経済的格差は広がり、社会の分断は深まり、異質なものへの不寛容が顕在化しています。こうした状況のなかで、教育に何ができるのか。いや、教育は何をすべきなのか。この問いが、私の頭を離れません。
 長年の教育実践を通じて、私はひとつの確信をもつにいたりました。それは、意味のある教育とは、知識や技能の伝達にとどまらず、一人ひとりの存在そのものを肯定し、その尊厳を守ることから始まるということです。どのような背景をもち、どのような特性をもっていようとも、すべての子どもには、かけがえのない価値があります。この当たり前の事実を教育の中心に据えること。つまり人権を教育の柱に据えることです。それが、私が長年の実践と省察を経て到達した結論です。
 本書を執筆した動機は、私個人の経験を超えて、より大きな社会的使命感によるものです。分断が進む現代社会において、次世代を育てる教育者に、人権教育の実践的な指針を提供したい。理論だけでなく、現場で直面する具体的な課題に対して、どのように向き合えばよいのか。その道筋を示したいと考えたのです。
 私がとくに強調したいのは、教師と子どもの関係性の質です。知識を一方的に注入する関係ではなく、互いに学び合い、成長し合う関係。上下の序列ではなく、水平的な信頼にもとづく関係。そのような関係性のなかでこそ、子どもたちは安心して自己を表現し、他者と深くかかわることができるようになります。
 また、多様性をどうとらえるかという視点も重要です。従来の教育は、「標準」からの逸脱を「問題」として扱ってきました。しかし、本来、多様性こそが学びを豊かにする源泉です。異なる背景、異なる考え方、異なる表現方法。これらが交差する場所でこそ、創造的で深い学びが生まれます。
 学校という場所は、単なる知識伝達の場ではありません。そこは、多様な人々が出会い、対話し、ともに生きることを学ぶ、小さな社会です。この場所でどのような経験をするかが、子どもたちの人生観、価値観、そして将来の社会参加のあり方を形づくります。
 私たちがめざすべきは、すべての子どもが尊重され、その可能性を最大限に発揮できる学習環境を創造することです。一人ひとりの教育者が、自らの実践を見つめ直し、改善していくこと。その積み重ねが、やがて大きな変化を生み出します。

著者プロフィール

山中 信幸  (ヤマナカ ノブユキ)  (

中学・高等学校で勤務後、川崎医療福祉大学教授。
専門は開発教育・教師教育学・人権教育。現在は複数の大学で非常勤講師。
社会教育士、開発教育ファシリテーターとして授業づくり、伝え方・問い方、人権教育等の研修講師。
主な著書:『ファシリテーション型生徒指導 対話が生みだす学びの共同体』(新評論、2025年/単著)、『SDGsと開発教育 持続可能な開発目標のための学び』(学文社、2016年/共著)、『身近なことから世界と私を考える授業Ⅱオキナワ・多みんぞくニホン・核と温暖化』(明石書店、2012年/共著)、その他。

上記内容は本書刊行時のものです。