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人間の習性を踏まえた政策アーキテクチャによる子どものデジタル環境整備 齋藤 長行(著) - 明石書店
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人間の習性を踏まえた政策アーキテクチャによる子どものデジタル環境整備 (ニンゲンノシュウセイヲフマエタセイサクアーキテクチャニヨルコドモノデジタルカンキョウセイビ) 行動インサイトが導く新たなアプローチ (コウドウインサイトガミチビクアラタナアプローチ)

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発行:明石書店
A5判
256ページ
上製
価格 5,400 円+税   5,940 円(税込)
ISBN
978-4-7503-6173-4   COPY
ISBN 13
9784750361734   COPY
ISBN 10h
4-7503-6173-9   COPY
ISBN 10
4750361739   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2026年9月30日
書店発売日
登録日
2026年9月10日
最終更新日
2026年9月28日
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紹介

青少年のデジタル環境をどう整備するか。精緻な実証実験と全国調査のデータ分析から、人間の習性に基づく「行動インサイト」を用いたアプローチの有効性を検証。自主・共同規制を軸とした、新たな政策アーキテクチャの再設計を提起する。

目次

 はしがき

序章
 0.1 青少年を取り巻くデジタル環境とリスク
 0.2 政策アーキテクチャ再設計に向けた課題
 0.3 方法と視座
  0.3.1 実験・調査方法及び分析方法
 0.4 本書の構成

第Ⅰ部 青少年のデジタル利用環境政策の構造と変遷

第1章 青少年のデジタル環境整備への取組と政策構造
 1.1 青少年のデジタル利用環境政策の国際的な取組
 1.2 日本における青少年のデジタル利用環境政策
 1.3 青少年のデジタル利用環境政策における自主規制・共同規制
  1.3.1 政府規制の特質
  1.3.2 政府規制の限界
  1.3.3 自主規制の特質
  1.3.4 自主規制の限界
  1.3.5 共同規制が担う責務
  1.3.6 青少年インターネット利用環境整備における共同規制
 1.4 自主・共同規制体制を支える啓発教育政策のエビデンス
  1.4.1 啓発教育の政策的責務
  1.4.2 エビデンスに基づく政策の有効性
  1.4.3 啓発教育の形態
  1.4.4 エビデンスを基にした啓発教育政策
 1.5 第1章の小括

第2章 実証調査を基にした啓発教育政策の課題
 2.1 経年調査データの分析による啓発教育の進展の評価
  2.1.1 経年分析評価に利用したデータ
  2.1.2 経年調査データの分析評価の方向性
  2.1.3 経年調査データの分析評価
   2.1.3.1 リテラシーテストの平均正答率の推移に対する検定
   2.1.3.2 学校における啓発教育経験に関する分析
   2.1.3.3 家庭における啓発教育経験に関する分析
  2.1.4 分析評価を踏まえた青少年保護政策の評価と課題
  2.1.5 啓発教育政策の課題
 2.2 啓発教育の受講経験と実際の安全対策実施との関係
  2.2.1 青少年のスマートフォンとフィルタリングの利用状況
  2.2.2 啓発教育の受講経験と実際の安全対策の実施との関係の評価
  2.2.3 分析のコンセプト
  2.2.4 青少年の啓発教育における学習経験に関する分析
   2.2.4.1 啓発教育受講機会数に対する年次比較
   2.2.4.2 学校と家庭における啓発教育機会の年次比較
  2.2.5 各学齢期における啓発教育経験とフィルタリング利用
   2.2.5.1 小学生の啓発教育経験とフィルタリング利用
   2.2.5.2 中学生の啓発教育経験とフィルタリング利用
   2.2.5.3 高校生の啓発教育経験とフィルタリング利用
  2.2.6 各学齢期における家庭のルールの設定数とフィルタリング利用
   2.2.6.1 小学生の家庭のルール数とフィルタリング利用
   2.2.6.2 中学生の家庭のルール数とフィルタリング利用
   2.2.6.3 高校生の家庭のルール数とフィルタリング利用
  2.2.7 分析結果に対する評価
  2.2.8 啓発教育政策の限界とそれを補う手立ての検討
 2.3 日欧の自主・共同規制体制の差異
  2.3.1 新たなオンラインリスクへの政策的対応
  2.3.2 人間の習性を踏まえた欧州のデジタル利用環境政策
 2.4 第2章の小括

第Ⅱ部 行動インサイトに関する政策レビュー及び先行研究レビュー

第3章 人間の習性を踏まえたデジタル利用環境政策の検討
 3.1 情報通信政策への行動インサイトの適用
  3.1.1 政府規制の代替としての自主規制・共同規制
  3.1.2 政府規制の代替としての行動インサイトを適用した政策
  3.1.3 行動インサイトを適用した政策と自主規制・共同規制との補完性の検討
 3.2 情報通信政策における行動インサイトを適用した政策の有効性の検討
  3.2.1 行動インサイトを適用した公共政策の導入
  3.2.2 国際機関における行動インサイトを適用した消費者保護政策
  3.2.3 行動インサイトを適用した消費者保護研究のレビュー
   3.2.3.1 デフォルトバイアスの問題に対する消費者保護政策と関連先行研究
   3.2.3.2 認知的バイアスの問題に対する消費者保護政策と関連先行研究
   3.2.3.3 顕著性に関する消費者保護政策と関連先行研究
   3.2.3.4 選択肢過多の問題に対する消費者保護政策と関連先行研究
   3.2.3.5 行動インサイトを適用した政策アプローチの有効性

第4章 伝統的政策アプローチと行動インサイトを適用した政策アプローチの比較検証
 4.1 日本と英国における自動更新契約に対する政策
 4.2 日英両国の情報通信政策の比較
 4.3 通信役務契約の自動更新契約規制におけるオプトアウト方式による契約の問題
  4.3.1 通信役務契約の自動更新契約規制におけるオプトアウト方式による契約の問題
  4.3.2 日英における消費者保護政策の差異
 4.4 人間の習性を踏まえた政策アーキテクチャへの問題提起
 4.5 先行政策・先行研究レビューを踏まえた実証分析の方向性

第Ⅲ部 人間の習性の観点から考える行動インサイトの政策適用の可能性

第5章 スマートフォンの適切な利用時間を促すナッジの検証
 5.1 スマートフォンの適切な利用時間を促すナッジの検証
 5.2 実証するアプリの選定
 5.3 実験対象とする被験者
 5.4 実証実験概要
 5.5 スマートフォンの適切な利用時間を促すナッジの検証
  5.5.1 被験者のスマートフォンの利用時間
  5.5.2 うながしグループの補正
  5.5.3 各グループの使用時間推移
  5.5.4 うながしに対する被験者の意識に対する評価
 5.6 考察
 5.7 第5章の実証実験の小括

第6章 保護者の適切なデフォルト設定に対する意識調査
 6.1 保護者の適切なデフォルト設定に対する意識調査
  6.1.1 リバタリアン・パターナリズム視点からみる愛護会の取組
  6.1.2 選択アーキテクチャとしてのデフォルト
  6.1.3 当事者の自由選択を確保するリバタリアン・パターナリズム
 6.2 研究コンセプト
 6.3 保護者に対する利用時間帯に対する意識調査
  6.3.1 各学齢期における携帯端末の利用を控える時間として適切と考える時間
  6.3.2 家庭のルールの有無と携帯端末の利用を控える時間として適切と考える時間との関係
  6.3.3 雁が音中学校校長の国会での意見陳述テキストに対するSCAT分析
  6.3.4 本取組のストーリー・ライン
  6.3.5 本取組の論理記述
 6.4 調査・分析結果を踏まえた考察
  6.4.1 青少年保護政策におけるリバタリアン・パターナリズムの有効性
  6.4.2 地域社会への伝播の要因
 6.5 第6章の調査の小括

第7章 青少年保護政策の強度の適切性の検証
 7.1 香川県条例とインターネット依存度テスト
 7.2 条例に対する問題意識
 7.3 分析の方向性
 7.4 調査の概要
 7.5 インターネットとゲームの利用に関する分析
  7.5.1 インターネットとゲームの利用時間
  7.5.2 IATによるインターネット依存度の評価
  7.5.3 SWLSによる幸福感の評価
  7.5.4 ゲーム・プレー時間とIATとの関係性
  7.5.5 インターネットの利用時間とIATとの関係性
  7.5.6 ゲームに対する愛着とゲーム・プレー時間
  7.5.7 ゲームに対する愛着レベルにおけるIAT平均スコア
  7.5.8 ゲームに対する愛着レベルにおける幸福感
  7.5.9 インターネットに対する行動意識とIATとの関係性
 7.6 第7章の意識調査の小括

第8章 研究の総括
 8.1 スマートフォンの適切な利用時間を促すナッジの検証
 8.2 保護者の適切なデフォルト設定に対する意識調査
 8.3 社会にとって許容されるデフォルトの設定を検討するための調査
 8.4 人間の習性を踏まえた政策アーキテクチャ
  8.4.1 問題提起1「デジタル環境整備における啓発教育政策の限界とは何か」
  8.4.2 問題提起2「行動インサイトが啓発教育政策の補完的役割を果たすことができるか」
  8.4.3 問題提起3「パターナリズム的な行動インサイトの適用を防ぐためにはどのような手立てが必要か」
  8.4.4 研究命題「デジタル利用環境政策は、人間の習性を踏まえた上で、政策アーキテクチャを再設計すべきではないか」
 8.5 本研究の限界と今後の研究課題
  8.5.1 行動インサイトの啓発教育に対する補完可能性の再考
  8.5.2 本書の限界を踏まえた上での今後の研究課題

 参考文献リスト
 付録 第6章の刈谷市立雁が音中学校校長の国会における意見陳述テキストに対するSCAT分析結果

 あとがき

前書きなど

序章

 (…前略…)

0.4 本書の構成

 第Ⅰ部では、青少年のデジタル利用環境政策の政策構造を概観するとともに、そこで講じられている啓発教育の効果を検証する。第1章では、デジタル利用環境政策は、情報発信者の表現の自由の問題、デジタル技術に関する情報の非対称性の問題、政府により法規制を制定した場合に必要となる社会的コストの問題などから政府介入が難しい政策分野であることについて言及する。
 このような政策構造上の課題を解決するために、デジタル利用環境政策は、民間の自主的取組を政府が支援するとともにその取組が十分に講じられるように政府が民間に対して牽制し、必要であれば介入するという共同規制体制が講じられている。この共同規制を推進する一つの手段として、啓発教育政策が導入されている。(…)
 第2章では、啓発教育に関するエビデンスを基にその効果を評価する。(…)仮に、分析の結果が啓発教育の提供が実際の青少年の安全対策行動への結びつきが示されなかったとしたら、啓発教育の内容を見直す必要が生ずるであろう。(…)
 このような状況の中、欧州諸国では、利用者のリテラシー向上を目的とした啓発教育が実施されている一方で、デジタル・サービス法(DSA)やAI規制法にみられるように、啓発教育だけに人々の行動変容を委ねることなく、一定の法規制も講じてデジタル環境のガバナンスの維持が目指されている。このことからも、本問題解決の糸口として、人間の習性を踏まえた政策を検討する必要があることについて言及する。
 第Ⅱ部では、行動インサイトに関する先行政策及び先行研究をレビューする。第3章では、人間の習性を踏まえた政策である行動インサイトを適用した政策に関する先行研究をレビューするとともに、本政策アプローチを先行して講じている欧米諸国の政策をレビューする。(…)
 さらに第4章では、この行動インサイトを適用した政策の理論的根底として、認知科学や神経科学の分野において言及されている二重過程理論について考察する。(…)

 (…中略…)

 前章までの議論を受け、行動インサイトのアプローチを基にした青少年のデジタル環境における安全行動を促す方略の有効性を検証することが求められる。そこで、第Ⅲ部では、行動実験と実証調査で得られたデータを分析することにより、行動インサイトの有効性の検証と政策適用上の諸問題について考察する。
 第5章ではスマートフォンの長時間使用が社会問題化している高校生を被験者として、彼らのスマートフォンの使用時間を実測するとともに、彼らにスマートフォンの適切利用を促すナッジを行うことが、その使用時間の抑制に効果があるかを実証する。(…)
 (…)第6章では、愛知県刈谷市児童生徒愛護会が講じた施策である「夜9時まで」のスマートフォン利用の呼びかけを題材に、青少年を家庭で保護監督する保護者におけるデジタル機器の利用時間のデフォルト値に対する受容感について、実証調査のデータを基に分析する。(…)
 第7章では、デジタル・サービスを利用する当事者である青少年のデジタル機器の利用状況と意識に対する分析を行う。その結果から、当事者にとって望まれる行動インサイトの適用の方向性を検討する。

 (…中略…)

 第8章では、第5章から第7章にかけて行った本書で実施した実証実験及び調査データの分析結果を基に、本書の命題であるデジタル利用環境政策における人間の習性を踏まえた政策アーキテクチャの再設計について論じる。(…)

 (…後略…)

著者プロフィール

齋藤 長行  (サイトウ ナガユキ)  (著)

山形県出身。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科後期博士課程修了。博士(メディアデザイン学)。筑波大学大学院人文社会ビジネス科学学術院博士後期課程早期修了。博士(国際日本研究)。経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局(STI)ポリシーアナリスト、東京国際工科専門職大学工科学部教授、お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーション研究所客員教授等を経て、2023年4月より仙台大学体育学部スポーツ情報マスメディア学科教授。総務省情報通信政策研究所特別研究員を兼務。委員活動として、OECD「インターネット上の青少年保護に関する理事会勧告改定専門家会議」専門家委員、総務省「青少年のインターネット・リテラシー指標に関する有識者検討会」委員、総務省「ICT活用のためのリテラシー向上に関する検討会」委員、環境省「日本版ナッジユニット」有識者、こども家庭庁「青少年インターネット環境整備法の在り方等に関する検討ワーキンググループ」有識者等を歴任。受賞歴として、文化経済学会若手研究者奨励賞優秀賞受賞、Plaque of Appreciation, ASEAN-Japan Forum on Media and Information Literacy(MIL)、国際公共経済学会学会賞受賞、社会情報学会「優秀文献賞」受賞、eLearn2025 Outstanding Paper Award, AACE受賞。

上記内容は本書刊行時のものです。