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エスニック・エンパワメント教育
在日ブラジル人による脱「デカセギ」戦略
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2026年9月10日
- 書店発売日
- 2026年9月4日
- 登録日
- 2026年8月3日
- 最終更新日
- 2026年8月21日
紹介
日本に移住したブラジル系移民2世である研究者が、自らの体験と豊富な実態調査をもとにまとめた成果。「デカセギ」としての抑圧的な状況からの脱却を目指してエスニック・マイノリティ自身が主体となって行う、定型・非定型の教育実践について分析する。
目次
はしがき
序章 研究の目的と方法
1 問題関心
2 先行研究の検討
2.1 ブラジリアン・ディアスポラとブラジル系移民のトランスナショナルな生活
2.2 在日ブラジル人コミュニティの発展と課題
2.3 移民のエンパワメントとエスニック・コミュニティ
3 分析枠組みと課題設定
4 調査の概要と筆者のポジショナリティ
4.1 調査の概要
4.2 フィールドの概要
〈定型的エスニック・エンパワメント教育〉――ブラジル学校およびブラジルの通信制大学
〈非定型的エスニック・エンパワメント教育〉――パティスリー講習及び語学学校
4.3 筆者のポジショナリティ
5 本書の構成
第1章 在日ブラジル人のトランスナショナルな移動と教育的排除の経験
1.1 日本人のブラジルへの移住
1.2 日系ブラジル人の日本への出稼ぎとトランスナショナルな生活
1.3 在日ブラジル人の教育課題
1.4 在日ブラジル人の進学を阻む構造的障壁
1.5 本章のまとめ
第2章 定型的エスニック・エンパワメント教育①――ブラジル学校の事例…
2.1 在日ブラジル学校の誕生ストーリーと校長から見た在日ブラジル人の課題
2.1.1 ブラジル学校X校の誕生ストーリー
2.1.2 ブラジル学校Y校の誕生ストーリー
2.1.3 ブラジル学校Z校の誕生ストーリー
2.1.4 ブラジル学校の校長から見た在日ブラジル人の教育・職業的課題
2.2 在日ブラジル人の親のトランスナショナルな教育戦略の変化
2.2.1 ブラジル学校の生徒の親の従来のトランスナショナルな教育戦略
2.2.2 将来展望とトランスナショナルな教育戦略の変化要因
2.2.3 親子間の交渉を通じた新たなトランスナショナルな教育戦略の構築
2.3 ブラジル学校の生徒の進学/進学希望パターン
2.3.1 直接的大学進学の困難性
2.3.2 迂回的大学進学の検討/断念
2.3.3 代替的進学の検討/断念
2.4 ブラジル学校による「ボーダーレス・ストラテジー」の創出
2.4.1 ブラジル学校における従来の進路指導とその限界
2.4.2 X校の事例
2.4.3 Y校の事例
2.4.4 Z校の事例
2.4.5 ボーダーレスストラテジーの特徴
2.5 在日ブラジル学校卒業生のキャリアパス
2.6 本章のまとめ
第3章 定型的エスニック・エンパワメント教育②――ブラジルの通信制大学の事例
3.1 ブラジルの通信制大学の設立とコーディネーターから見た在日ブラジル人の課題
3.2 ブラジルの通信制大学による教育実践の特徴
3.3 ブラジル学校とブラジルの通信制大学の関係性
3.4 ブラジルの通信制大学の卒業生のキャリアパス
3.5 本章のまとめ
第4章 非定型的エスニック・エンパワメント教育①――パティスリー講習の事例
4.1 パティスリー講習の開講と講師から見た在日ブラジル人の課題
4.2 パティスリー講習の教育実践の特徴
4.3 パティスリー講習受講生のキャリアパス
4.4 本章のまとめ
第5章 非定型的エスニック・エンパワメント教育②――語学学校N校の事例
5.1 在日ブラジル人の英語学習に対する意味づけ…
5.2 在日ブラジル人の英語学習手段
5.3 語学学校N校の開校と講師から見た在日ブラジル人の課題
5.4 語学学校N校における教育実践
5.4.1 英語習得促進のための工夫
5.4.2 授業外のサポート体制
5.5 英語学習者のキャリアパス
5.6 本章のまとめ
第6章 トランスナショナルな教育連帯ネットワークの形成と選択機会の向上
6.1 工場労働の限界と新たな選択肢の模索
6.2 トランスナショナルな教育連帯ネットワークの形成
6.3 エスニック・エンパワメント教育を通じた選択機会の向上
6.3.1 教育における選択機会の拡大
6.3.2 キャリアにおける選択機会の拡大
6.3.3 ライフスタイルにおける選択機会の拡大
6.4 本章のまとめ
終章 トランスナショナルな社会空間における移民の包摂に向けて
1 各章のまとめ
2 エスニック・エンパワメント教育を通じた移民の包摂促進の可能性
3 本研究から得られる理論的示唆
4 エスニック・エンパワメント教育の拡充に向けた政策的示唆
5 エスニック・エンパワメント教育の拡充に向けた実践的示唆
6 今後の課題
参考文献
あとがき
初出一覧
前書きなど
序章 研究の目的と方法
(…前略…)
5 本書の構成
本研究では、在日ブラジル人コミュニティ内で実践されてきたエスニック・エンパワメント教育に着目し、トランスナショナルな社会空間における移民の包摂におけるその潜在的な可能性について検討する。
第1章では、在日ブラジル人の日本への移動や、国境を越えたつながりについて検討する。在日ブラジル人が置かれた不安定な雇用状況を理解することで、トランスナショナルな社会空間におけるキャリア形成の困難性について考察する。
第2章では、定型的エスニック・エンパワメント教育の事例として、在日ブラジル学校に通う生徒や卒業生、その親へのインタビューをもとに、かれらの将来展望やトランスナショナルな教育戦略が長期滞在化に伴いどのように変化してきたのかについて検討する。また、そうした変化の背景要因や、新たな戦略を行使するうえで、かれらがどのような困難に直面し、ブラジル学校は生徒の多様な進路をどのようにサポートしているのかについて検討する。
第3章では、ブラジル学校と同じく定型的エスニック・エンパワメント教育に分類されるブラジルの通信制大学の内実について学生やコーディネーターへのインタビューをもとに検討する。また、ブラジル学校との関係性についても整理する。
第4章では、非定型的エスニック・エンパワメント教育の事例として在日ブラジル人パティスリーの講師が提供しているノンフォーマルなパティスリー講習の事例を紹介する。パティスリー講習の受講生が主に女性であることから、女性のエンパワメントにおけるパティスリー講習の役割についても考察する。
第5章では、非定型的エスニック・エンパワメント教育の1つで、パティスリー講習とも関わりが深い、語学学校N校における教育実践を明らかにする。本研究の調査協力者のなかで英語を学習したことのある人のインタビューの語りから、在日ブラジル人の英語学習に対する意味付けや、語学学校N校がそれに応えるためにどのような工夫をしているのかについて検討する。
第6章では、エスニック・エンパワメント教育を通じて形成されるトランスナショナルな教育連帯ネットワークについて考察する。また、本研究で対象としたすべてのエスニック・エンパワメント教育の比較を通じて、在日ブラジル人個人のキャリア形成やコミュニティ全体のエンパワメントにおけるその教育的役割について検討する。
終章では、本研究の議論を踏まえて、トランスナショナルな社会空間における移民の包摂の実現に向けた政策的・実践的な示唆を提示し、本研究の意義や課題について述べる。
上記内容は本書刊行時のものです。
