書店員向け情報 HELP
出版者情報
在庫ステータス
取引情報
地域福祉と全世代型包括的支援システム
基本的視座と重層的支援体制整備事業の先進的取り組み
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2026年6月5日
- 書店発売日
- 2026年6月9日
- 登録日
- 2026年5月21日
- 最終更新日
- 2026年6月5日
紹介
地域福祉を全世代型包括的支援システムへと転換するためには何が必要か。地域特性に応じた包括的支援と地域包括ケアのシステム構築に向かう全国的な動向を分析し、先進的な自治体や関係機関の実践事例を結果をもとに、その成果や今後の課題を明らかにする。
目次
刊行にあたって
第Ⅰ部 全世代型の包括的支援システムとしての地域福祉とは
第1章 総論:地域福祉における全世代型包括的支援システムの基本的視座と展望――重層的支援体制整備事業の先進的取り組みを通して[宮城孝]
はじめに
第1節 地方自治体における全世代型包括的支援システム構築の必要性
第2節 重層的支援体制整備事業における先進的な取り組みからの示唆
第3節 重層的支援体制整備事業――その効果と制度設計に関する検証
第4節 身寄りのない高齢者等の終身サポート事業の公的事業化に向けて
まとめにかえて
第2章 ヤングケアラーを通じてつながる人々[田中悠美子]
はじめに
第1節 ケアをする人への支援の必要性
第2節 ヤングケアラーの言葉の広がりと支援施策の動き
第3節 ヤングケアラーを軸につながるサポートネットワークづくり
おわりに
第3章 若者のひきこもり問題における包括的支援の課題と展望[唐潤中]
はじめに
第1節 研究の背景
第2節 研究の目的と方法
第3節 調査の結果
第4節 考察
第4章 文化権の保障がひらく「参加」支援の可能性[小野田由実子]
はじめに
第1節 社会福祉における「参加」の多義性・多元性
第2節 文化権(cultural right)とは
第3節 社会福祉実践において文化権を保障する意義
第4節 「表現」や「創造」によってひらかれる「参加」支援の新たな可能性
第5節 むすびにかえて
第5章 地域共生に向けて「障害のある人が働く店舗」が果たす役割[石井宏典]
はじめに
第1節 「障害のある人が働く店舗」の特徴
第2節 「障害のある人が働く店舗」の利用に関する調査
第3節 「障害のある人が働く店舗」の事例
第4節 地域共生に向けて「障害のある人が働く店舗」が果たす役割
第6章 リンクワーカーを中心とした高齢者の社会参加支援と地域づくりの支援モデル――松江市淞北台地域の活動事例に基づいて[蘇暁娜]
はじめに
第1節 リンクワーカーの定義と日本における現状
第2節 事例からみる地域型リンクワーカーの実践と役割
第3節 リンクワーカーによる地域における高齢者の社会参加活動の支援モデルとしての構造と意義
第7章 都市部男性高齢者の社会参加と重層的支援体制整備事業[高田麗]
はじめに
第1節 都市部男性高齢者への社会参加支援の重要性
第2節 都市部男性高齢者への社会参加支援手法に関する調査
第3節 社会参加に関する特性
第4節 アウトリーチの手法とその要素
第5節 特徴の分析
おわりに――都市部男性高齢者へのアウトリーチ手法のまとめ
第8章 身寄り問題の政策的展開と地域福祉実践――社協による高齢者等終身サポート事業を手がかりに[山崎禎広]
はじめに
第1節 身寄り問題の政策動向
第2節 身寄りのない高齢者を取り巻く課題と解決の方向性
第3節 社会福祉協議会による高齢者等終身サポート事業
おわりに
第9章 在宅看取りの実現をめざした在宅療養体制――神奈川県横須賀市を事例として[末田千恵]
はじめに
第1節 日本人の死亡場所の推移
第2節 神奈川県横須賀市の在宅看取りの促進要因
第3節 横須賀市の取り組みの成果についての調査結果
第4節 今後の課題
おわりに
第Ⅱ部 地方自治体における重層的支援体制整備事業の先進的取り組み
はじめに
1 研究課題
2 研究の背景
3 研究の目的
4 研究の対象と方法
5 倫理上の配慮
6 調査の時期と内容
第10章 北海道音更町――音更町の重層的支援体制整備事業における専門職の役割と機能:包括化推進員の取り組みをもとに[大島隆代]
はじめに――音更町の地域特性
第1節 重層的支援体制整備事業実施までのプロセス
第2節 重層的支援体制整備事業の具体的な内容について
第3節 包括化推進員の役割と機能――包括化推進員のかたの声をもとに
おわりに――重層的支援体制整備事業の今後の展望と音更町からの示唆
コメント 連携・協働の要としての包括化推進員を中核とした重層的支援の展開[宮城孝]
第11章 岩手県遠野市――新たな地域支え合いを「つなぐ・つながる・ひろがる」ことで「福祉でとおのづくり」を[宮城孝]
第1節 遠野市の地域特性
第2節 重層的支援体制整備事業開始までの経緯
第3節 重層的支援体制整備事業の具体的な内容について
第4節 今後の課題と展望
コメント 遠野市のトータルケアシステムを源流とした重層的支援体制整備事業の展開――ハートフルプランから続く体制整備が支えるもの[大島隆代]
第12章 栃木県市貝町――人口減少が続く小規模自治体における社会資源を活用した重層的支援体制の整備[倉持香苗]
はじめに
第1節 栃木県市貝町の地域特性
第2節 包括的支援システムの構築(重層的支援体制整備事業)に向けた取り組みの経緯
第3節 重層的支援体制整備事業における取り組み内容
第4節 今後の課題と展望
コメント 小さな町が描く、これからの支え合いモデル――「新しく作らない」方針が示す持続可能な支援体制[張梦瑶]
第13章 長野県伊那市――行政と社会福祉協議会の「響働」で推進する重層的支援体制:制度福祉と地域福祉・まちづくりの一体的展開[洪心璐]
はじめに
第1節 長野県伊那市の地域特性について
第2節 重層的支援体制整備事業に向けた取り組みの経緯
第3節 重層的支援体制整備事業における取り組み内容
第4節 今後の課題と展望について
コメント 伊那市版重層的支援体制整備事業のススメ――特長と普及[野口定久]
第14章 東京都狛江市――包括的支援体制の構築を福祉基本条例に位置づけ、「支援・つなぎ・出会い」の重層化を公民協働で進める[宮城孝]
第1節 東京都狛江市の地域特性について
第2節 包括的支援体制(重層的支援体制整備事業)の構築に向けた取り組みの経緯とその特徴
第3節 重層的支援体制整備事業における取り組み内容
第4節 今後の課題と展望について
コメント 狛江市の重層的支援体制整備事業の展開――他地域への先駆的示唆となる事業の評価体制[大島隆代]
第15章 神奈川県藤沢市――神奈川県藤沢市における重層的支援体制整備事業の展開と課題:地域包括ケアを基盤とした「藤沢モデル」の実践[張梦瑶]
はじめに
第1節 神奈川県藤沢市の地域特性について
第2節 重層的支援体制整備事業に向けた取り組みの経緯
第3節 重層的支援体制整備事業の具体的な内容について
第4節 実施に伴う課題と今後の展望
第5節 藤沢モデルの意義と他自治体への示唆
おわりに
コメント 全世代・全対象型地域包括ケアシステムと生活困窮者自立支援事業を実施し、先駆的に重層的支援体制整備事業を構築した藤沢市の現在と今後[熊田博喜]
第16章 愛知県豊川市――既存の支援機関等の機能や専門性を生かした連携支援システムの構築[呉世雄]
第1節 豊川市の地域特性と福祉課題
第2節 包括的支援システム構築(重層的支援体制整備事業)の経緯と背景
第3節 重層的支援体制整備事業における取り組み内容
第4節 重層的支援体制整備事業の仕組みと特長
第5節 今後の課題と展望
コメント 地域の力を結集して臨む重層的支援体制整備事業――豊川市の実践にみる地域共生のかたち[山本美香]
第17章 香川県さぬき市――おもいやりネットワークを活用した包括的支援[長谷川真司]
はじめに
第1節 地域的な特徴
第2節 包括的支援体制の構築(重層的支援体制整備事業)に向けた取り組みの経緯
第3節 おもいやりネットワーク事業の概要
第4節 重層的支援体制支援事業の実施体制と取り組み内容
第5節 成果と今後の課題
コメント 社会福祉法人、社会福祉協議会、民生委員・児童委員の三者によるネットワークの活用[中島修]
第18章 鳥取県北栄町――自治会・小中学校圏域・町全域のネットワークで進める包括的支援体制構築の取り組み[松嶋まゆみ]
第1節 鳥取県北栄町の地域特性について
第2節 包括的支援システムの構築に向けた取り組みの経緯
第3節 重層的支援体制整備事業における取り組み内容
第4節 今後の課題と展望について
コメント 小規模自治体の強みを活かし、「人と人の想いやつながりを重ねる」地域づくりの推進[宮城孝]
第19章 熊本県益城町・合志市――熊本地震後の被災者支援を基盤として構築された重層的支援体制事業[金吾燮/仁科伸子]
第1節 地域的背景と構造的特徴
第2節 重層的支援体制整備事業の導入背景――震災経験を基盤とする包括支援への転換
第3節 益城町における重層的支援体制整備事業の構成
第4節 合志市における重層的支援体制整備事業の構造と意義
第5節 考察――地域包括ケアから地域共生社会への展開
第6節 まとめ
コメント 住民の「支援を受ける側」から「支援する主体」への転換と新たな包括的支援体制の構築[中島修]
資料
重層的支援体制整備事業による包括的支援システム構築に関するインタビューガイド
日本地域福祉学会 地域福祉と全世代型包括的支援システム研究プロジェクトメンバー一覧
前書きなど
刊行にあたって
本書は、2021年6月に刊行された『地域福祉と包括的支援システム――基本的な視座と先進的取り組み』の続編である。
(…中略…)
本書は、2部構成となっており、第Ⅰ部では、「全世代型包括的支援システムとしての地域福祉とは」と題し、近年、地域福祉において地方自治体における包括的支援体制の構築を図ることが目指され、その具体的な事業として、2021年度から重層的支援体制整備事業が全国の市町村自治体にて実施されたことに伴い、あらためて地域福祉を全世代型包括的支援システムとして捉え直し、その基本的な視座と今後の展望について論じたものとなっている。第1章では、本研究プロジェクトの研究代表である筆者が、総論として、先ず地域福祉をイノベーションの視座から全世代型包括的支援システムへと転換することの必要性について論じている。そのうえで、厚生労働省が2025年5月に公表した「地域共生社会の在り方検討会議」の中間とりまとめの内容に関して、本研究プロジェクトが、重層的支援体制整備事業の先進的取り組みとしてヒアリング調査を実施した11の事例の研究成果から検討を行っている。この3年から4年の重層的支援体制整備事業による実験的な取り組みには、地域福祉が全世代型包括的支援システムとして機能するうえで多くのヒントや可能性が含まれており、それらを全国に普及・発展させるうえでの課題についても検討したものとなっている。
第2章から第9章では、地域福祉を全世代型包括的支援システムとして再構築するために、地域住民として子どもから障害者、高齢者、さらに人生の最終期までを対象として、今後どのような取り組みがなされるべきかについて具体的なテーマを設定し、中堅・若手の研究者による実証的に論述した内容となっている。その内容としては、ヤングケアラー、ひきこもりの若者、障害者、高齢者と対象を広く設定するとともに、方法論としては、重層的支援体制整備事業の内容でもある、包括的な相談支援、アウトリーチ、多機関協働、参加支援、地域づくりなどが含まれている。そこには、各対象の特性を踏まえつつ、地域福祉を全世代型包括的支援システムとして再構築するために、多くの具体的な展開方法のあり方が示されている。
第Ⅱ部では、「地方自治体における重層的支援体制整備事業の先進的取り組み」と題し、本研究プロジェクトが選定した北海道から九州の11の自治体における重層的支援体制整備事業の先進的な取り組みについて、メンバーによるヒアリング調査の結果をもとに分析した内容となっている。
重層的支援体制整備事業は、これまでの地域福祉に関する施策と比較し、行政組織の改編やそのマネジメント、民間の専門機関や住民組織との連携・協働、社会的に孤立している人々へのアウトリーチや参加支援、包括的な相談支援、社会福祉以外の領域との連携による地域づくりなど、非常に多様な要素を含んでおり、これらを総合的、計画的に実施していくことは、高度な事業設計や計画化、多様な主体との調整など高いマネジメント能力が求められる。ここで取り上げた11の自治体において、本事業がどのように設計され、どのようにマネジメントされ、どのような成果を生み出したのかを読み取っていただければ幸いである。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。
