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地域の未来と外国人
外国人起業家・高度人材がもたらす変容と課題
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2026年6月30日
- 書店発売日
- 2026年7月17日
- 登録日
- 2026年5月21日
- 最終更新日
- 2026年7月2日
紹介
人口減少下の地域社会は、いかに未来を描けるのか。外国人起業家・高度人材の実証分析を通じ、制度の課題と可能性を検証。地域と外国人がともに築く持続可能な未来像を提示する。
目次
はじめに[大石奈々]
第1部 外国人の起業
第1章 外国人・移民の起業――研究動向と日本における政策変容[大石奈々]
1.はじめに
2.移民の起業――その研究の歴史と変遷
3.日本における先行研究
4.日本における外国人起業家をめぐる状況
5.外国人起業家の誘致支援策の展開
6.今後の課題
第2章 データでみる地方における外国人の起業[五十嵐彰]
1.はじめに
2.起業にまつわる理論と仮説
3.起業のしやすさの分析
4.起業後の利益の分析
5.起業にまつわる障壁
6.まとめ
第2部 地方における外国人の起業――各地域の事例
第3章 「外国人起業支援」と地方創生――福岡県福岡市[藤原直樹]
1.はじめに
2.福岡市における外国人起業支援の取り組み
3.外国人にとって起業の場所としての日本と福岡市
4.外国人にとっての起業の難しさ
5.外国人起業者の国籍と起業者およびエスニックコミュニティ
6.終わりに――地方都市における外国人起業支援
第4章 世界から京都へ:外国人起業家たちのモビリティ――京都府京都市[武田淳]
1.はじめに
2.研究方法
3.京都の外国人起業家のマイグレーション軌道――国際移動とキャリア
4.外国人起業家としての強みと弱みの狭間で
5.まとめと展望
第5章 「二段階の移住プロセス」における外国人起業支援――宮城県仙台市[ジェレミー・ブレーデン、藤原直樹]
1.はじめに
2.仙台市のスタートアップ・エコシステムと地方創生
3.外国人による起業活動の実態―パターンと支援体制
4.外国人起業家の視点
5.外国人起業家とスタートアップ・エコシステムの新展開
第6章 「留学生起業支援」と地方創生――大分県別府市[藤原直樹、ジェレミー・ブレーデン]
1.はじめに
2.別府市における大学誘致と留学生起業支援の経過
3.留学生の地元定着を促進するための起業支援内容とその成果
4.留学生起業家の国籍と事業内容の特徴
5.留学生の来日と別府市での起業理由
6.留学生にとっての起業時の課題と役立った支援制度
7.終わりに―地方都市における外国人起業支援
第7章 ライフスタイル起業と地域包摂――長野県白馬村[大石奈々、リチャード・チェンホール]
1.はじめに
2.白馬村のリゾート地としての発展と外国人の移住
3.白馬村における外国人の起業とその背景
4.コミュニティの多様性と地域包摂
5.外国人起業家が起業や事業の継続において抱える課題
6.定住か帰国か――外国人起業家の葛藤
7.外国人起業家の増加とコミュニティへの影響
8.おわりに
第8章 外国人起業家の集住と地域の取り組み――北海道ニセコ地区[大石奈々]
1.はじめに
2.国際リゾートとしての発展と外国人起業家の役割
3.「ライフスタイル起業家」による新たな観光資源やニーズの発掘
4.外国人起業家にとっての課題
5.外国資本の流入と持続可能なコミュニティとしてのニセコ地区
6.コロナ禍の影響とその後の労働市場
7.おわりに――ニセコ地区における外国人起業家の受け入れと地域包摂
第3部 地方における多様な高度外国人材と起業家の受け入れ――地域の視点
第9章 地方における高度外国人材の誘致――その可能性と課題[柴崎洋平]
1.はじめに
2.外国人労働者を増やしている国、日本
3.ブルーカラーワーカーは地方、ホワイトカラーワーカーは都会という構造から脱する
4.どんな業種・職種で海外人材を採用できるのか
5.当社が受託した地方自治体の高度人材獲得・受入事業例
6.経済産業省によるインターンシップを通じた、地方における高度人材受け入れ
7.おわりに
第10章 外国人の受け入れと地域変容――地域住民の視点から[山川和彦]
1.はじめに
2.「乗っ取られたマチ(街・町)」か?――ニセコの重層性
3.まちの多文化コーディネーター
4.地域の財産としての留学生
5.まとめ――モデルとして将来のまとめ
column 多様な外国人起業家・高度外国人材の受け入れ――島根県出雲市・福岡県北九州市・熊本県(熊本県・熊本市・菊陽町)の事例から[大石奈々・藤原直樹・山川和彦]
第11章 オーストラリアとカナダの地方優遇移民政策[古谷徳郎]
1.はじめに
2.地方優遇移民政策
3.オーストラリアの事例
4.カナダの事例
5.共通点と相違点
6.日本への示唆
7.結語
終章 多文化志向の「地域未来モデル」の構築に向けて[大石奈々]
1.多文化志向の地域未来モデル
2.「経営・管理」ビザの厳格化
3.外国人起業家と高度外国人材が拓く地域の未来
4.オーバーツーリズムを超えて
5.おわりに
編著者紹介
前書きなど
はじめに
(…前略…)
3.本書の目的と構成
本書は、日本の地方を選んで事業を行っている外国人起業家やそこで働く高度外国人材に焦点を当て、その起業の背景や移住プロセスを明らかにする。最近は、「経営・管理」ビザの悪用に関する報道が増えているが、実際にはそのようなケースは一部にすぎず、まじめに事業に励み、地域社会に貢献している外国人起業家は決して少なくない。ではどのような人々が、どのような理由で、ある特定の地方を選び、起業しているのだろうか。彼・彼女らは起業に際し、どのような課題に直面し、どのように乗り越え、地域経済の活性化に貢献しているのか。彼・彼女らにとって、地方で働くメリットは何なのか。こうした点について理解を深めることで、今後の日本、特に地方が今後、より多くの外国人起業家や高度外国人材を惹きつけ、経済の活性化とコミュニティの発展に寄与してもらうためには何が必要なのか、どのような施策が必要なのかについて示唆を得られるだろう。
本書は、こうした研究関心をもとに2021年に立ち上げた『高度外国人材の起業・投資を通じた多文化志向の地方創生モデル構築と実践に向けた国際共同プロジェクト』の成果をまとめたものである。トヨタ財団の助成を受けたこのプロジェクトは、全国レベルでの計量調査に加え、地域レベルでの聞き取り調査を行った。
これらの調査から得たデータの分析をもとに、第1部では、外国人起業家の受け入れに関して、世界と日本における既存の研究や日本における制度を概観し(第1章)、全国調査の結果に基づいた日本の外国人起業家の全体像を提示する(第2章)。
第2部(第3章から第8章)は事例研究から成る。国家戦略特区や経済産業省の外国人創業推進事業(スタートアップビザ制度)など国の枠組みで外国人の起業支援を進めている自治体(第3章[福岡県福岡市]、第4章[京都府京都市]、第5章[宮城県仙台市])、留学生の起業促進政策を進めている自治体(第6章[大分県別府市])、外国人の起業に特化した施策はとっていないが実際に外国人の起業が進んでいる地域(第7章[長野県白馬村]・第8章[北海道ニセコ地区])の分析となっている。特にこれらの事例研究は、少子高齢化や産業の衰退という共通課題を抱える他の多くの自治体にとって参考になり得るものであり、ベストプラクティスとその成功要因を特定する。これらの各事例において、マクロレベル(起業・投資・観光・留学生政策等)、メゾレベル(多文化共生関連プログラム、外国人の情報アクセス等)、ミクロレベル(各自治体における外国人の社会包摂、課題解決など)の分析を提示する。
第3部は「地方における多様な高度外国人材と起業家の受け入れ――地域の視点」と題し、海外から地方への高度外国人材の誘致における課題についての実務家の視点(第9章)、外国人の受け入れによる地域変容(第10章)、多様な高度外国人材と外国人起業家の受け入れ(コラム[島根県出雲市・福岡県北九州市・熊本県])について論じる。第11章では豪州とカナダにおける高度外国人材の地方誘致・定住政策を紹介する。終章では全体の章をもとに、多文化志向の地域活性化モデルを提示し、今後、地方における高度外国人材や外国人起業家の誘致と定住をどのように進めていくべきかについて論じる。
地方にとって少子高齢化による人口・労働力減少は待ったなしの課題だ。こうした状況の中で、外国人の起業や投資、またそれに伴った高度外国人材の就労の拡大によって人口増や経済の活性化に成功している自治体の成功要因および施策のベスト・プラクティスを分析すること、また各自治体と地元住民および外国人と地域組織が、どのような課題に直面し、その解決のためにどう協力しているかを分析することは、多くの自治体にとって参考になり得るのではないか。高度外国人材や起業家は決して一様ではなく、今後の自治体における外国人の誘致政策には、外国人コミュニティの多様性、在留資格や就業セクター、定住志向性を勘案した視点が求められ、また、課題解決のために外国人に参加してもらうことも有効だろう。本書では外国人が地域のために尽力している事例もとりあげる。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。
