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移民第2世代のオートエスノグラフィー
当事者10人による意味世界の探究
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2026年3月31日
- 書店発売日
- 2026年4月1日
- 登録日
- 2026年2月27日
- 最終更新日
- 2026年3月27日
紹介
日本への移民第2世代である10人の研究者たちが、自らの経験を記述し体系的に分析し、語りを研究へと高めていく「オートエスノグラフィー」の方法を用いた画期的な論集。移民研究の新たな可能性を提示するとともに、読み物としても興味深い作品である。
目次
序章 オートエスノグラフィーとは何か[樋口直人]
1 日本に上陸したオートエスノグラフィー
2 移民研究におけるオートエスノグラフィー
3 移民第2世代によるオートエスノグラフィーの可能性
3-1 分析の密度と精度
3-2 「他人事」ではない問題設定
3-3 サバルタン・オートエスノグラフィーの可能性
4 移民研究におけるオートエスノグラフィーの射程
第1章 中国帰国者三世になる[山崎(王)哲]
1 はじめに
2 先行研究
3 方法とデータ
3-1 方法――オートエスノグラフィーと感情
3-2 データ――中国帰国者三世としての自己物語
4 中国帰国者三世になる人生
4-1 過去を想起する
4-2 過去をつなぐ
5 おわりに
5-1 中国帰国者三世になる経緯
5-2 自己をめぐる戸惑い
5-3 本章のまとめ
第2章 大学進学に囚われた私[大川ヘナン]
1 研究テーマに囚われる
2 入水自殺としての研究
3 失敗を積み重ねる原体験
3-1 移民としての出発点
3-2 植え付けられた劣等感
3-3 「できなさ」を受け入れる
3-4 「取柄のない」私
4 努力では越えられない壁
4-1 進学に関心のない親
4-2 学力の逆転と進学の壁
4-3 成績が良くても進学できない現実
4-4 どこにもなかった「成功の場所」
5 私の進学の現実
5-1 進学という執着
5-2 進学の意味を問う
6 外れ値として生きる
7 漂流
第3章 移民家族の分離・統合と初期適応――エスニックコミュニティと地域社会の役割[チャンテ 村井 ロサ メルセデス]
1 はじめに
2 父親と離れるまで
3 来日前の経験――移民の始まり
3-1 別れと再会の日々
3-2 離れ離れだった父親との交流
4 来日後の家族の再統合と初期の適応経験
4-1 旅立つ立場となった私の体験
4-2 父親との再会と関係性の再出発、ぶつかり、葛藤
4-3 パン屋再興から子どもへの教育投資へ
4-4 教会活動と家族の変容
4-5 地域社会への帰属意識と音楽活動
4-6 定住の意味と「使命」
5 来日後の学校生活とキャリア形成
5-1 学校生活における適応と言語習得の課題
5-2 高校進学の経緯
5-3 定時制高校での経験――日本語習得と自立への過程
5-4 勉強と仕事の狭間で固めた進学への意志
5-5 進学希望の実現における社会関係資本の機能
6 おわりに
第4章 期待と現実のはざまで――同胞をめぐる葛藤[劉昊]
1 違和感の正体
2 日本への憧れ
3 通説に従ってみる
3-1 仲間を欲しがる
3-2 胖媽媽(パンママ)
3-3 「店」をめぐる物語
4 通説に逆らってみる
4-1 同胞に資本化される
4-2 嫌悪感の拡張
5 自分への不信感
6 おわりに
第5章 空港で切り刻まれる感覚[王昊凡]
1 はじめに
2 小学生時代――〈日本〉と出会う
3 中学・高校時代――違和感との出会い
4 大学生時代――新たな知との出会い
5 修士・博士課程――切り刻まれる感覚との再会
6 現在へ
7 おわりに
第6章 自由を求めて――在日ブラジル人移民2世の解放のオートエスノグラフィー[吉岡(ヨシイ)ラファエラ]
1 自由に対する憧れの芽生え――解放アスピレーションの原点
1-1 来日から小学校時代
1-2 中学校時代
2 自由の具現化――教育を通じた解放アスピレーションの加熱
2-1 高校時代
2-2 学部生時代
3 自由の揺らぎ――父の死を通じた解放に対する疑念
3-1 大学院進学
3-2 繰り返される剥奪
4 自由の再構築――進学支援の活動と研究者としてのキャリア形成
4-1 同胞支援に対する使命感
4-2 当事者・支援者・研究者のはざまで
5 終わりのない自由の探求――スカラー・アクティビストとして生きる
6 おわりに――解放アスピレーションという新たな枠組みの提案
第7章 拘らないことへの拘り――ある中国帰国者3世の生活世界から見えてくるモノ[南誠(梁雪江)]
1 はじめに
2 氏と育ち
3 後進国中国での家族生活
3-1 故郷の原風景
3-2 ケガの功名
3-3 「小さな大人」と家族の「変」
4 先進国日本での新たな物語
4-1 新たな「変」
4-2 それぞれの道
4-3 生成する自己
5 呼びかけと変身
5-1 警察の呼びかけ
5-2 言語と呼び名
6 おわりに
第8章 移動する私――「日系ペルー人」の私を求めて[小波津ホセ]
1 はじめに
2 本章の目的・概念整理
2-1 本章の目的と技法
2-2 私と筆者のポジショナリティ(立場性)
2-3 概念の整理
3 日本社会への抵抗とアイデンティティの崩壊――2000年代
3-1 2005年、21歳、日本
3-2 1984年、0歳、ペルー
3-3 2005年、21歳、ペルー
3-4 2006年、22歳、ペルー
4 「日系人」とは――戦後から1990年代
4-1 「日系人」の誕生
4-2 「日系人」とは誰か
4-3 「日系人」の出稼ぎ労働者
5 「日系ペルー人」の私――2007年から現在
5-1 2007年、23歳、日本――「研修生」の私
5-2 2011年、27歳、日本――「通訳者」の私
5-3 2012年、28歳、日本の大学生――「往来」する私
6 おわりに――「日系ペルー人」の私
第9章 アイデンティティ・クライシスと憎しみを超えて――制度的枠組みを乗り越えるための、私のもう一つの回復の物語[白皛皛(白皓)]
プロローグ
1 本章の目的と課題
2 小・中学校時代――見えなくなった名前の影の中で揺らぐ自己
2-1 小学6年生の選択――通称名〈白川ひかり〉の誕生
2-2 転校先での間違った「取り出し」といじめ――中国出身のアウティング
3 高校時代――主体的選択と贖罪意識の交錯
3-1 日本名使用の「主体性」の変遷――〈白川ひかり〉を利用する意識の芽生え
3-2 私の贖罪――公営住宅の部屋の隅で一人静かに泣いていた母
4 大学・社会人・留学時代――日本名の内在化と葛藤
4-1 日本名〈白川ひかり〉の内在化
4-2 帰国後の日本語教師時代――キャリア願望と国籍要求の葛藤
4-3 日本人として日本語学校に勤務する苦しさと葛藤、中国らしさの希求
5 複雑に絡み合う思考様式と制度とアイデンティティ
5-1 制度の絡み合いとその影響
5-2 問いへの応答として――回復の手前で取り込まれる二重の「憎しみの物語」
エピローグ
第10章 「Contra la Marea」――潮に逆らって[オチャンテ カルロス]
1 はじめに
2 動機の無自覚――文化を守ろうとする思いとその背景
3 なぜ私は自分の物語を書こうと思ったのか
4 「潮に逆らって」――海と父の思い出
5 アイデンティティと葛藤
6 祖父の人生とインディオの象徴
7 友人セサル――馴染みのある種族との初めての出会い
8 ケチュア民族への想い
9 インティ=太陽というケチュア語の名前との出会い
10 民族ルーツと向き合い始めたきっかけ
11 最後に
あとがき
執筆者紹介
上記内容は本書刊行時のものです。
